「頂点を、つかむ。」 マリーンズ戦記 6月12日 ベイスターズ戦 5対4 勝利 交流戦勝ち越しで終了

千葉ロッテマリーンズ
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【千葉ロッテマリーンズ井口資仁監督】

 雨天を切り裂く強烈な一発でゲームは幕をあけた。6月12日のベイスターズ戦。ZOZOマリンスタジアムは試合前から突然の大雨に見舞われた。試合実施すら危ぶまれるような強い雨粒がグラウンドを叩きつけた。試合開始は30分遅れた。そんな中、マリーンズは集中力を切らさなかった。初回、いきなり先制パンチを浴びせた。マーティンの7号2ランで先制すると六回に同点に追いつかれるが、エチェバリア、荻野の適時打で勝ち越しに成功。さらに八回にも荻野が追加点。マリーンズらしい繋ぎの野球で勝利を呼び込んだ。勝ち投手は佐藤奨真。育成出身で今年3月に支配下登録されたばかりの若者がヒーローとなった。

 「最初の一発は大きかった。そして最後までしっかりと点を取れたことで勝ちにつながった。エチェバリアも、荻野もつないでくれた。ここまで打線がなかなか先発の(佐藤)奨真を援護出来ていなかった中、援護できてよかった。」

 試合後の井口監督は満足そうな表情を浮かべた。一番のヒーローはなんといっても先発の佐藤奨真。指揮官が昨年から目を付けていた選手だった。

 「下で先発としてしっかりと抑えていた。春のキャンプから一軍の先発候補として考えながら起用をしてきた」と振り返る。

 シーズン中、指揮官は必ず二軍戦を映像でチェックをしている。試合前の監督室で、時には移動のバスの中でリアルタイムに見ることが多い。昨年、二軍戦を目にしていた中で目に留まったのが育成選手の佐藤奨だった。ファイターズに在籍をしていた武田勝やイーグルスの辛島のような投手という印象を受けた。そして自由自在に操るカーブは一軍で十分に通用すると判断していた。だからこそ今年2月の石垣島キャンプではさらにその武器を磨かせた。

 「カーブのコントロールの練習をキャンプからやってもらった。そこが彼の生命線。カーブが入れば有利なカウントを作れる」と井口監督。背番号「64」の初勝利は偶然ではなく、昨年からしっかりと準備された必然。カメラマンからニューヒーローとの2ショット写真を要求されると破顔した。

「きょうもバッターに絞らせなかった。しっかりと丁寧に投げていた。一発は打たれたけど、タイミングを変えながら自分の投球術で抑えてくれた。バッターに絞らせない。低め低めに投げていた」と絶賛だ。

 課題だった立ち上がりもピッチングコーチ、バッテリーでしっかりと考え取り組んで、この日を迎えた。

「欲を言えば疲れた時に高めに球が浮いていたけど、さらに低くというのが出来ればローテーションで十分に回れる投手。次もこういうピッチングをしてくれたらと思う」と目を細めた。

 5月24日、広島から始まった交流戦全日程が終了した。10勝8敗。パ・リーグが苦戦した今年の交流戦の中でリーグで唯一、勝ち越しを決めた。最大13・5ゲームあった首位イーグルスとのゲーム差はわずか7・5ゲーム。昨年はバファローズが交流戦で優勝をしてその後、リーグ戦も制した。今年はマリーンズの番。頂点への道筋は限りなくハッキリと照らされている。

「ようやく思い描いていた打線に近くなってきた。なんとかこれを続けながらさらに状態を上げていきたい。打線でカバーできるように、マリーンズらしい野球をやっていきたい。交流戦最後、非常にいい形で終われた。リーグ戦は北海道から始まるけど、しっかりと戦って勝っていきたいと思います」

 井口監督は力強く巻き返しを宣言し踵を返し、会見会場を後にした。まずは借金を返済し上位進出。前半戦までに頂点を射程圏に捉える。「頂点を、つかむ。」。マリーンズは一貫して春季キャンプからこの目標に突き進んできた。苦しい時はあった。辛い時はあった。借金が9まで膨らみ、心が折れそうになる時もあった。それでも誰も諦めていなかった。前を見て一歩ずつ進んできた。そして今がある。試合前の雨天から一転、6月独特の美しい晴れ間が広がったようにハッキリと目の前に道が開かれている。頂点へと繋がる一本道。令和の常勝軍団へ。マリーンズの快進撃が始まった。
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