「頂点を、つかむ。」。 マリーンズ戦記 6月7日 ドラゴンズ戦 代打逆転3ラン

千葉ロッテマリーンズ
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【千葉ロッテマリーンズ井口資仁監督】

 一撃で決めた。湿った空を切り裂き、打球はあっという間にレフトスタンドに突き刺さる。2点ビハインドの六回に飛び出した代打山口の逆転3ラン。ベンチで信じて見守った井口資仁監督は吠えた。本拠地ZOZOマリンスタジアムにドラゴンズを迎えて行われたゲームで好調の波に入った打撃陣を象徴するような逆転劇が生まれた。

 「なかなか援護できていなかった中で、一発で決めてくれた。いい集中力をもってやってくれた」

 試合後の会見で指揮官は背番号「51」が1打席の中に凝縮した集中力を褒め称えた。

 好機が萎みかけた二死一、二塁だった。初球チェンジアップを見逃し。2球目のストレートは外れてボール。カウント1ボール、1ストライクから3球目だった。読みはインコースストレート。多少、カーブも頭にあった。その中でドラゴンズ先発の小笠原から投じられたのはチェンジアップ。読みは外れても気持ちで負けていなかった。うまくボールをバットに乗せた。一閃。白球は夜空に吸い込まれるように飛んでいった。

 「引っかからないように。一発で仕留めようと思っていた」と山口を満足そうな表情で振り返った。

 「スタートで出れない悔しさもあると思う。そういうのをしっかりと打席でぶつけてくれた」と井口監督も試合後の記者会見で山口への賛辞を続けた。

 試合は中盤だったが2打席凡退の安田に代打を送った。これまでの2打席の状況と山口の勝負強さなどを加味して決断を下した。勝負手だった。すると最高の結果が待っていた。

 「代打はボクも現役の最後に経験をしている。本当に難しい。ただ、いい集中力を持っては入れたら、いつも以上の力が出る。そういう意味では集中力を高めて入ってくれた」と井口監督。誰よりも打撃を極めたからこそ代打の難しさは分かる。この1打席で試合をひっくり返す一発を打つことがどれほど難易度の高い作業であるかを知るからこそ褒め称えた。
 
 投手陣では先発の石川が5勝目。6回3分の1を投げて11安打と打たれたが要所を締めた。二回には無死満塁を無失点。さすがの投球に指揮官も「本当に粘り強く投げてくれた。打たれながらもしっかりと低めに丁寧に投げていた。それも彼の持ち味。しっかりと投げてくれたことがまず大きかった」と労った。
 
 そして忘れてはいけない勝利のキーマンは2番手東條だ。1点リードの一死三塁。一打同点の場面で福留、ビシエドを連続三振で仕留めた。伝家の宝刀スライダーがこの日も冴えた。井口監督も「しっかりとピンチを三振でしのいでくれた。あそこが一番大きかった」と目を細める。そして3安打3打点のエチェバリア選手も忘れてはいけない。「徐々に調子は上がっている。マーティン、レアードと彼が上がってくるとポイントゲッターになる。得点力は上がってくる」と信頼は厚い。
 
 これで2連勝。連勝は5月20日、21日以来となる。投打が、かみ合う形に指揮官は自信を深め頂点を見据える。

 「打線が少しずつ上がってきている。マリンで1週間ある中で初戦にこういう試合ができた。残り5試合もしっかりと戦っていきたい。しっかりとした野球をしていきたい。明日、早い段階で打線が援護できるように明日、やっていきたい」と井口監督。

 山口はお立ち台に上がると恒例の一句を披露した。「梅雨入りも ボクの打撃は 日本晴れ」。関東は梅雨入りとなっているが、一方でマリーンズ打線は梅雨が明けた。青く澄み渡る空。もう雲一つ見えない。今、マリーンズの目の前は視界が大きく開かれている。連勝街道に乗っていく。首位のホークスとは8ゲーム差。目標とする頂点がハッキリと見えるようになってきた。
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