夜空に雄叫びがこだました。２点リードの八回二死一、三塁。打者を渾身のストレートで空振り三振に仕留めると先発のロメロが「バモス！　バモス！、バモス！」とマウンド上で絶叫。そして神に感謝をした。

　「まずは神に感謝をする。それが私の決まりだ。いい時も悪い時もある。どんなことがあっても、すべて神に感謝をしている」　

　ロッカーに戻ったロメロは興奮から解き放たれ、冷静に振り返った。

　初回からロメロは集中をしていた。古巣ドラゴンズ相手にテンポよくアウトを重ねていく。三回まで３者凡退で抑える好投。打線も二回に山口の本塁打で先制をした。七回にも荻野の適時打で追加点。試合の流れを一度も相手に渡さず、最後はクローザーの益田が３人で締めて、マリーンズは４連勝となった。

　井口資仁監督も試合後の記者会見で先発ロメロを褒めた。

　「八回までしっかりと投げ切ってくれた。どんどんストライク先行をしながら有利なカウントを作ってくれた。ロメロらしいピッチング。ストレートで空振り三振がとれているし、いい時の状態に戻ってきている。しっかりとコントロールできている。本当に今日は締まったいい試合だった」　

　ロメロの好投を引き出したのは捕手の佐藤都。オープン戦からバッテリーを組み、時には冷静になだめ、ある時には巧みにリードで乗せていった。この試合では２度の三振併殺も大きかった。走者を気にするロメロを２度、盗塁を刺すことで援護をした。ロメロは佐藤都を指をさしながら賞賛した。

　指揮官も息の合った２人を信頼している。「あの２人はいいコンビでやっている。その中で（佐藤）都志也が盗塁を刺したのはやっぱり大きかった」。バッテリーで掴んだ勝利に満面の笑みを浮かべた。

　打っては山口が先制本塁打。振り返れば６月７日の初戦での起死回生の代打逆転３ランがこの３連戦の流れを作った。「本来の状態に戻ってきている。チーム内で競争をしてくれれば、必然とチームも上を向いている。今年はレギュラーとして期待をしていた選手。本来の力、形が出てきた。これが彼の実力。最後まで持続していって欲しい」と指揮官。今季３０本塁打を公約に掲げ、井口監督も期待をしていた。それだけにここまでの成績はまだまだ物足りないが、ここから巻き返すことは可能とばかりに大きな期待をかける。その期待値は生半可なものではない。

　ドラゴンズに同一カード３連勝。これで４月１日から５日にかけて４連勝して以来の４連勝。交流戦通算２００勝のメモリアル勝利ともなった。交流戦も残すことあと３試合だ。

　「残り３つ、ホームで交流戦がある。何とかこの勢いで３つともとれるようにしたい。しっかりと勝っていきたい。まだまだ借金があるので、しっかりと早く返せるように立て直していく」

　まずはベイスターズ３連戦も３連勝をする。そして指揮官が見据えるのはそのさらに先。借金返済。そして順位を一つ一つ上げ、頂点だ。打のヒーローの山口は今日６月９日がロックの日であることから「ロックの日　バットが奏でる　ホームラン」と恒例の一句を読み、スタンドのファンから喝さいを浴びた。マリーンズにとってロックの日はまさにノリノリの一日。投打が、かみ合い、勢いは加速する。頂点までノーストップで駆け上がる。もう誰も止められない。