1人ひとりが役割果たし、悔しい敗戦を乗り越えて2連勝!【NECレッドロケッツ】

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【NECレッドロケッツ】

 2セット先取してから逆転負けに終わった先週(1月30日)の東レアローズ戦のショックは、金子監督が思っていた以上に尾を引いたという。

「あの負けは我々にとって非常に悔しいもので、選手もその悔しさから逃げられない現実を受け止めるのに時間がかかったかなと思います。ですから今週に向けた準備も、とても難しいものになりました」

 それでも次の試合は待ってはくれない。「セミファイナルに向けて、今週の試合がとても大切」というネリマンの言葉は、ある意味でチームの合言葉となって、スカイホール豊田で行われる2連戦の原動力になっていた。

 おりしもVリーグ機構は6日、今季のV・レギュラーラウンドの順位決定方法を、勝利数の多いチームを上位とする方法から、勝率の高いチームを上位とする方法に変更する旨を決定した。これは、コロナ禍により全スケジュールの日程消化が困難になり、消化試合数にばらつきが出てしまうことによるもので、レッドロケッツも未消化の2試合分を行えないという残念な思いは残る。

東レ戦、敗戦のショックを受け入れるのに時間がかかったと話した金子監督 【NECレッドロケッツ】

 ただ、金子監督が「(コロナ禍の)こういう状況で始まったリーグなので、当初から自分たちが後悔しないように全部勝つことが大事という話はしていました」と言うように、目の前の試合で勝利を目指すというスタンスは、これまでと変わらなかった。

 同日のトヨタ車体クインシーズ戦では、その思いが存分に発揮され、セットカウント3-0で快勝。

 昨年11月のホームゲームで完敗した相手に雪辱し、V・レギュラーラウンドの2位、または3位を確定させた。さらにこの試合では、リベロの佐藤がVリーグ通算100試合出場(ベンチ入り数)を達成し、来年度のレッドロケッツ入りが内定している川上が途中交代でVリーグデビューを飾るなど、明るい話題がチームの勝利に花を添えている。

Vリーグ通算100試合出場(ベンチ入り数)を達成した佐藤 【NECレッドロケッツ】

11連続得点を挙げて相手をまったく寄せつけない

 翌7日のKUROBEアクアフェアリーズ戦でも、レッドロケッツの勢いは続いた。

 立ち上がりから上野がネット際に落ちるサービスエースを3本決めるなど、いきなり6点を先制。7-2からは、ネリマンが今度はエンドラインいっぱいを狙った連続サービスエースで相手の守備を混乱させ、11連続得点を挙げて相手をまったく寄せつけなかった。

好調を維持する上野 【NECレッドロケッツ】

 25-7。わずか17分で第1セットを終えると、第2セットも古賀のサービスエースが口火となって、序盤から主導権を握った。

 曽我は難しい2段トスを思い切りよく叩き込み、島村はブロックやブロードに加え、サーブでもエースを奪って存在感を見せつけた。8-5、16-11と着実にリードを広げながら、終盤にはリリーフサーバーで登場した川上のサーブから古賀がダイレクトで押し込むなど、3連続得点。25-19でこのセットも危なげなくレッドロケッツがものにする。

キレのある動きを見せた曽我 【NECレッドロケッツ】

 リベロの小島は、前日のトヨタ車体戦で「自分が拾ったときの味方の攻撃の枚数が、もっと増やせたと感じる場面が何度かありました。テンポも含めて、昨日(6日)はチームに助けられた印象です」と、自身のプレーに納得できていなかった。

 しかし、開幕して以降、数字に表れない貢献度は試合を重ねるたびに増しているように見える。小島自身もそのことを強く意識しているという。「たとえばブロックフォローは、自分が大事にしてきましたし、コートの外でも信頼関係というか、自分がいたら安心してもらえるようなものを作ろうと努力してきたつもりなので、そこは少しずつ花が咲いてきたかなと思っています」

コメントに謙虚さが滲み出る小島だが、貢献度が非常に高い小島 【NECレッドロケッツ】

第3セットに入っても攻守で相手を圧倒

 小島の素早く、守備範囲の広いディフェンスはますます安定感が光り、レッドロケッツは第3セットに入っても攻守で相手を圧倒した。

 序盤にネリマンと古賀が次々とスパイクを決めると、曽我のバックアタックで10-4とした直後からは、セッターの澤田は上野のミドル攻撃を生かし、相手に的を絞らせなかった。サーブで乱されたボールを小島が懸命につなぎ、古賀がブロックで得点に結びつけた終盤のワンプレーは、ミスはみんなでカバーし合いながら全員で1点を取りに行くという姿勢が象徴されたシーンだった。

多彩な攻撃の舵をとる澤田 【NECレッドロケッツ】

「サリナが今、日本で一番のアウトサイドヒッターだということを自信を持って公言できます。」ネリマン

古賀を木村沙織に続くぐらいレジェンドなプレイヤーになっていると語るネリマン 【NECレッドロケッツ】

 第3セットを25-16で終えた試合後、記者会見に呼ばれたのは、この試合で22点をマークしたネリマンと、同じく19点を挙げた古賀だった。

 この試合、いや、今季のレッドロケッツの攻撃陣を力強く牽引してきた2人のエースは、互いを認め、リスペクトし、刺激し合っている。

 「私は、サリナが今、日本で一番のアウトサイドヒッターだということを自信を持って公言できます。誰よりも努力しているし、(元東レで日本代表の)木村沙織さんに続くぐらいレジェンドなプレイヤーになっていることを一緒にやっていて感じています。このまま優勝して、自信を持って、サリナをオリンピックに送り出したい」とネリマンは話した。

それに対して古賀は「そんなふうに言ってくれて感謝しかありません。ネリは、オフェンスでは私がフロントで苦しいときにバックアタックで決めてくれるし、オフェンスに目が行きがちですが、ディフェンスでもチームへの貢献度が一番。私がブロック1枚で跳んだときでも、このコースには(後ろに)ネリがいるから抜かせてもいいと選択肢が増えました」と応えた。

すべての試合で圧巻のパフォーマンスを見せる古賀 【NECレッドロケッツ】

 リーグ屈指ともいえる強力な2人がそろったことで、レッドロケッツは今まで以上に盤石な強さを手にしつつある。

 昨年10月からほぼ毎週の試合をこなしてきた疲労感はあるだろうが、チーム内でそれを口にする者などいない。次週のV・レギュラーラウンド最終戦を経て、いよいよV・ファイナルラウンドへ――。すべてが終わった後、あのときああしておけば…という悔いだけは残すことなく、ラストスパートを全員で、全力で駆け抜けてほしい。

レッドロケッツに、また楽しみな新星が加わった。

Vリーグデビューを果たした川上 雛菜(かわかみ ひな) 【NECレッドロケッツ】

■Hot Topics 川上雛菜 (筑波大)

 来年度の内定選手として、チームに合流したのは1月中旬。愛知大会でのベンチ入りを金子監督から告げられたのは、試合前日の金曜日の会場練習前に集合したときだった。そのときの心境を川上は「ちょっと驚きました」と明かしつつ、「今までリリーフサーバーをやったことがないので、どういう気持ちで臨んだらいいかわかりませんでしたが、とにかく思い切ってやろうという気持ちでいました」と振り返る。

 決してサーブを武器にしているわけではないという。ただ、チーム練習でAB戦を行ったとき、Bチームに入った川上は「Aチームから絶対にサービスエースを取ってやる」と、強い思いでプレーした。実際、好サーブで相手を崩す場面もあり、金子監督はそこを高く評価し、川上のベンチ入りを決断している。

 Vリーグデビューの瞬間は、まもなく訪れた。トヨタ車体クインシーズ戦の第1セット、20-13の場面だ。

 その後もすべてのセットでリリーフサーバーとして出場を果たし、KUROBEアクアフェアリーズ戦でも第2、第3セットに登場。川上のサーブからチームが連続得点を挙げた場面もあった。

「リリーフサーバーは普通、競った場面などで出ると思いますが、金子さんは自分が新人ということを考慮して、点差がある場面で使ってくださったのかなと。昨日も今日もすべてのセットでリードした展開で出させてもらったので、緊張はありましたが、思い切りプレーしようという気持ちを出せました。チイ(佐藤)さんの『ブレイクできるだけですごいよ』という言葉や、先輩方が『ヒナ、ナイス!』と言ってくださり、良いプレーができたかどうかよりも褒めてもらえて良かったと思いました」

 川上が自信を持っているのは、サーブレシーブやレシーブ。その上で、チームメイトとなった古賀の姿を間近で見て、「得点の取り方やチームを引っ張る姿勢など、学ぶところはとても多いですし、憧れています」と感じているという。

 「NECというチームに入れて良かった」と嬉しそうな表情を浮かべながらも、「いつまでもお客さんみたいにいてはいけない。早くチームに馴染んで貢献できるようにがんばりたいです」と意気込みは力強い。

 レッドロケッツに、また楽しみな新星が加わった。
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著者プロフィール

V.LEAGUE DIVISION1 WOMEN(V1女子) に加盟する女子バレーボールチーム。日本リーグで優勝1回、Vリーグでは優勝7回、天皇杯・皇后杯1回、黒鷲旗でも2回の優勝実績がある。2021年、これまでの歴史を継承しながら、更なる進化を遂げるためチームのリブランディングを実施し、ホームタウンを神奈川県川崎エリア、東京エリアとした。チームのエンブレムであるロケット胴体部の三層のラインは、ロケットに搭乗しているチーム、サポーター、コミュニティを表現。チームに関わるすべての皆さまに愛され、必要とされる欠かせない存在になることを目指す。

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