今こそチームスローガン「突ッパ」。ロッテは原点に立ち返り、逆境を突破する。

千葉ロッテマリーンズ
チーム・協会

【チームスローガン「突ッパ」のボードを手にする井口監督】

  2020年の千葉ロッテマリーンズのチームスローガンは「突ッパ」だ。そこにはペナントレースを1位で突破しクライマックスシリーズを突破し、日本一になるという指揮官の想いが詰まっている。今、ペナントレースは佳境に突入している。10月24日の試合前現在で首位の福岡ソフトバンクホークスとは9・5ゲーム差に広がった。優勝マジックは4。10月9日の直接対決で勝利しゲーム差ナシまで詰め寄りながら、イッキに引き離された。数字的には絶体絶命の状態。しかし、だからこそ今、原点に立ち返りたい。チームスローガン「突ッパ」。この苦境、逆境を突破してこそチームとしても成長がある。

 「やるか、やられるか。それしかない」。10月23日のバファローズ戦の試合前。井口資仁監督は記者団に囲まれると力強く、そう言い放った。優勝経験のない若手の多いチームはシーズン終盤に入り、萎縮しているようにも見える。そんな今、必要なのは斬るか斬られるか、やるか、やられるかの開き直りであり、侍魂となる。少なくともプレッシャーに押しつぶされてファイティングポーズが見えないようなマウンドさばき、打席での立ち振る舞いだけは熱く応援してくれるファンのためにも絶対に見せて欲しくはない。指揮官はそう考え、端的に口にした。

 あれは石垣島での春季キャンプに向けての出発日となった1月30日だった。季節外れの桜が咲いた。家の主の出発に合わせたかのように井口資仁監督の自宅リビングに飾られていた鉢植え盆栽の桜が開花した。

 「ちょうど出発の日にね。ここ数日暖かかった影響なのかな。まさか1月にこんなに綺麗に咲くとは思ってもいなかった。心が癒されたね」。空港で出発便を待っている時に井口監督が嬉しそうに話をしてくれた。知人からプレゼントされた鉢植え盆栽の桜。咲くのを楽しみに冬を過ごし毎日、自ら大事に水をやりながら一番目立つ自宅リビングに飾り続けてきた。開幕を迎える時期ぐらいに咲いて欲しいと思っていた中で意表を突かれる形でキャンプイン出発の朝に合わせるように綺麗に咲き誇った。旅立ちの朝に咲いた桜に特別な感情を抱いているようだった。

 桜は古来、穀物の神様が宿る花と言われ人々にとって神聖な存在であるという。今でも春の訪れを象徴する花であり、誰もがその開花を待ちわびる。厳しい冬を乗り越える桜は日本人の心のよりどころとなっており、古来から人々の心を魅了し続けている。

 その後はまさかの連続となった。新型コロナウィルスの影響で開幕は延期となり、待っていたのは自宅待機の日々だった。ようやく開幕の日を迎えたのは6月19日。野球が出来なかった鬱憤を晴らすようにマリーンズは勝ち続けた。開幕戦こそ敗れたが、そこから怒涛の8連勝。石垣島春季キャンプでの鍛錬の成果、ミーティングなど緻密な準備を重ね、大きな花を咲かせた。厳しい時期を乗り越えての勝利だった。2020年のパ・リーグを引っ張っていたのは間違いなく千葉ロッテマリーンズだった。チームの中心にはチームスローガン「突ッパ」があった。どんな逆境も壁も突破する。スローガンに込められた強い想いでチームは一つに繋がった。まさに言霊のようだった。

 今まさにもう一度、突ッパの魂が必要な時である。全員でもう一度、石垣島キャンプに出発したあの日に抱いた尊い目標を思い出したい。石垣島行きの航空機。右側の窓からは雪化粧された富士山をしっかりと確認することが出来た。雄大なる日本一の山を見ながら日本一を誓った。開幕が遅れ、ようやくシーズンが始まった時、野球がやれる幸せを感じ、こんな時だからこそ多くの人に野球を通じて感動を提供しようと誓ったことを思い出そう。まだ、シーズンが終わったわけではない。多くの人の心を動かす事が出来るような綺麗な花を咲かせるチャンスはまだある。

文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章

 
 
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