「自分らしく」。ロッテ荻野貴司外野手が貫くモットー。今こそ荻野らしくマリーンズを引っ張る

千葉ロッテマリーンズ
チーム・協会

【チームを引っ張る荻野貴司外野手】

  「自分らしく」。躊ちょなく、そう書き込んだ。2017年1月13日。荻野貴司外野手は子供たちとの触れ合いイベントに参加をするため千葉市の小学校を訪問した。校長室に通されると大きな紙に「子供たちに一言、書いていただけませんか?」と要望された。だから自身が小学校の時から胸に刻んでいる言葉を力強く書き込んだ。

 「ボクは小学校の時、背が低くてクラスの中でも小さい方から数えて三番目ぐらいでした。一番小さかった時もあったかもしれない。その中で、『自分らしく』という言葉を胸に日々を過ごしていました。子供たちにも『自分らしく』生きて欲しいと思います」

 決して野球エリートではなかった。体が小さかった小中学校時代。パワー面では圧倒的に不利で、力の差を感じた。中学校では一時、野球の練習に通わなくなった時期もあった。ただ、「自分らしく」という原点に立ち返った時、どんなに身体的な差があり壁にぶち当たっても「野球が好き」という事実が最後には浮かんできた。体が小さい分、足は誰よりも速かった。だから、さらに自分らしく、それを磨こうと誓った。

 高校は野球名門の私立高校ではなく、一般入試で県立郡山高校に進学をした。県立で私立の強豪校を倒したい。それが荻野にとって一番、「自分らしく」思えた。強い信念の下、高3夏は決勝まで勝ち進んだ。最後の相手は奈良の名門・天理高校。3番遊撃でスタメン出場をしたが、残念ながら3対8で敗れた。大きな夢は叶える事は出来なかったが、自分らしく過ごせた充実した日々だった。それから「自分らしく」という言葉がより深く刻まれて、座右の銘となった。

 大学、社会人を経てマリーンズに1位指名で入団。プロに入った時点でも決して体格的に恵まれているとは言い難かった中、やはり持ち前の俊足を売りに生きると誓った。ルーキーイヤーの2010年3月20日、ビジターで迎えた西武との開幕戦。荻野は2番中堅でプロデビューをした。五回の第3打席にセーフティバントでプロ入り初ヒットを記録。開幕から自慢の俊足を武器に疾走した。その活躍に引っ張られるようにチームは首位を突っ走った。しかし毎日の激走に右ひざがパンクした。交流戦途中にリタイヤ。46試合の出場で打率・326、1本塁打、17打点、25盗塁の成績を残し、一軍の舞台から姿を消した。新人王本命と言われた中での無念の戦線離脱だった。結局その後、3度右ひざの手術を行いリハビリを終え、ようやく一軍に戻っても、怪我に悩まされるシーズンは続いた。2013年には右足を肉離れ。2014年には左肩を脱臼した。2015年には左足を肉離れ。2016年も脇腹を肉離れするなど戦線を離脱した。

 忘れられないのは2013年。自己最多の102試合に出場して打率2割7分5厘、チーム最多の26盗塁と機動力で大きく貢献した年だ。激しい上位争いを繰り広げる中で迎えた9月30日の日本ハム戦(現ZOZOマリン)だった。延長十回に先頭として四球で出塁するとその後、一、三塁とチャンスが広がり、福浦和也内野手(現二軍ヘッド兼打撃コーチ)の左翼への浅い飛球にホームに飛び込んだ。まさに、その足でもぎとったサヨナラ犠飛。しかし、その前の走塁で、足に違和感があった。それでも三塁に到達した荻野は、痛みを訴えることなく、そのまま出場を続けると浅い当たりに果敢に突っ込んで勝利をもぎとっていた。翌10月1日に行われた診断結果は右大腿(だいたい)二頭筋肉離れ。全治まで3週間以上。チームは仙台でイーグルスとのCSファイナルステージまで勝ち進んだが、自身はテレビ観戦をせざるをえなかった。それでも荻野は愚痴一つこぼさなかった。自分らしく全力で走った結果。悔いはないとばかりに前を向いていた姿が印象的だった。

 「振り返ると怪我ばかり。ただ足は自分の持ち味。全力で走った結果の事に後悔はしていない」
 
 小学校訪問をした時の荻野も全力だった。子供たちと積極的にたわむれた。鉄棒では逆上がりを披露し、登り棒にも上り、子供たちを喜ばせた。沢山の質問に丁寧に答え、楽しい時間を過ごした。そしてこの日は社会人のトヨタ時代から付けていた背番号「4」とのお別れの日でもあった。

 「楽しい事も辛い事もありました。この番号には慣れ親しんでいたし、好きだったけど、心機一転やることにしました。『0』からの再スタートの気持ちでこの番号をいただきました」

 背番号を変えた荻野は昨年19年に初めて規定打席に到達。打率315、10本塁打、28盗塁でベストナインとゴールデングラブ賞を受賞した。「自分らしく」のスタイルを貫いて掴んだ成績だった。今年はアクシデントにも見舞われ満足いく数字とはいかないが随所で荻野らしいプレーでチームの勝利に貢献している。ペナントレースも残りわずか。福岡ソフトバンクホークスとの熾烈な優勝争いは、まだ続いている。諦めない。残り試合で悔いなきプレー、荻野らしいプレーを約束する。全力で駆け抜ける。荻野がマリーンズの勝利のために、ファンのためにチームを引っ張る。

千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章
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