岡田から和田へ。引き継がれるマリーンズの魂

千葉ロッテマリーンズ
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【岡田のグラブを手に守備をこなす和田選手】

 嬉しくもあり、驚きもした。千葉ロッテマリーンズOBで現在、栃木ゴールデンブレーブスで外野守備走塁コーチを務める岡田幸文氏はテレビで古巣の試合をチェックしていた時にある事に気が付いた。それは今年育成から支配下登録され開幕から一軍入り、その後もスタメン出場するなど大ブレーク中の和田康士朗外野手が自分が現役時代にプレゼントしたグラブを今も使っていることだ。あの時のグラブ。なんとも言えない嬉しさがこみ上げてきた。

 「いつも気になってマリーンズの試合はチェックしています。グラブをあげた時、凄く嬉しそうだったのは今でも鮮明に覚えています。ボクも育成出身なので待遇面の厳しさも分かっている。だから彼にプレゼントした。そのグラブを支配下選手になって一軍にいる今でも使ってくれているのは嬉しい。彼の実直な性格を表していると思う」と岡田氏。

 岡田氏は09年に支配下登録をされると翌10年6月2日、本拠地でのジャイアンツ戦で一軍デビュー。プロ初安打、プロ初打点、2盗塁を記録する衝撃的なデビューを飾ると翌年からはレギュラーに定着。プロ10年間、通算910試合に出場した。和田は5月31日に支配下登録をされると8月16日のファイターズ戦(ZOZOマリンスタジアム)でプロ初スタメン。3安打3盗塁3得点でヒーローとなり現在も盗塁数はリーグトップだ。

 「ボクはあの時、和田は間違いなく一軍で活躍する選手になると思っていた。足があるし肩も強い。守備範囲も広い。でもまだスタートライン。ボクも育成からはい上がってきた。これからが勝負なので自分の持ち味を生かして活躍して欲しいと思う」と岡田氏は後輩を評する。
 
 グラブは2年前にプレゼントした。あれは岡田氏が引退した2018年。シーズン途中で二軍落ちした同氏は細身で育成枠の新人外野手と一緒に練習をする機会が増えた。守備練習をしていた時に和田の使い古されたグラブが目に留まった。「ちょっとグラブを見せてみろよ」。若き育成選手の商売道具をジッと見つめた。練習が終わり、ロッカーに戻るとまた声を掛けた。「一つグラブが余っているから使ってみるか?」。和田はあまりの嬉しさに大声を上げて即答した。育成で入団したばかりの若者にとって岡田氏は境遇も似ている憧れの大先輩。その人からグラブをもらえたことが嬉しくて仕方がなかった。手にはめてみるとピッタリだった。そしてなんとも使いやすそうだった。和田はこの時、プロの一軍外野手のグラブを知った。

 「同じ育成出身でクラブチームを経験されている。左バッターで左投げ。すごく共通項があってずっと憧れていました」と和田も当時の事を懐かしそうに振り返る。それからも一緒に練習をする機会が多かった。足には自信があったが守備は苦手だった。同氏の守備を近くで見ながら色々と教えてもらった。その時に掛けられた言葉を今も大切にしている。

 「守備は苦手で緊張していつもミスしたらいけないと思ってガチガチになっていた。そんな時に岡田さんに『全然、ミスしてもいいからおもいきってやれ』と言ってもらえた。それからリラックスして守れるようになった」と和田。

 引退が決まった時に今までの感謝の気持ちを述べると「頑張れよ」と励ましてくれた。今年開幕前に支配下登録が決まると一軍スタッフを通じて「おめでとう」と祝福された。岡田氏は「まだスタート地点。これからもっともっと活躍してもらいたい」とエールを送る。同氏の守備範囲の広さをファンは背番号「66」とかけて、エリア66と呼び称された。背番号「63」もまた憧れの大先輩のようにこれからは攻撃だけではなく守備で存在感を見せつけていく。守備範囲の打球はすべてキャッチする。強い気持ちで外野の守備に就く。

千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章
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