サッカーW杯・出場選手ランキング【SB/WB編】
記事
世界の超一流選手が集う4年に一度の祭典、ワールドカップ(W杯)。今回のカタール大会への出場が見込まれる選手の中で、最高のタレントと言えるのは誰か。
7つのポジションに分けて、それぞれにランキングを作成した。ポジションごとに設けた5つの評価項目を各10点満点で採点し、その合計点をもとに導き出したランキングだ。第6回はサイドバック/ウイングバック編をお届けする。(監修:片野道郎)
※上位と解説コラムはスポナビアプリのみでご覧いただけます。
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解説
超攻撃的なテオ・エルナンデスとハキミ
かつてはライン際を縦に上下動する「専門職」だったサイドバック(SB)/ウイングバック(WB)も、戦術の進化によって新たな機能や役割を求められるようになったポジションのひとつだ。
例えばビルドアップ時に担う役割は、チームの戦術によって少なからず変わってくる。ファーストサードに留まり、CBと連携してサイド経由の組み立ての「出口」として機能するSBもいれば、早いタイミングで敵陣に進出し、MFや時にはFWと同じ高さで攻撃の幅を取るウイング的な機能を担うSBもいる。前者のケースでは、ライン際に開くのではなくピッチの内側に入ってMF的に振る舞う「偽SB」も見られるようになってきた。
それも含めて近年の大きな傾向として言えるのは、守備の局面よりも攻撃の局面における貢献度が重視されるようになってきていること。プレッシャーが強まり、1プレーあたりの時間とスペースがますます圧縮されるなかで、サイドはそれを多少ながらも得られる唯一に近いゾーンになっている。そこを使って違いを作り出す役割を担うのは主にウイングだが、SB/WBが担うケースも増えてきている。
その典型と言えるのが2位に挙げたテオ・エルナンデス(フランス)。爆発的なスピードと強力な左足からのクロスやシュートで、自陣からのロングカウンターはもちろん、敵陣でのファイナルサード攻略でも違いを作り出す超攻撃的SBだ。フランス代表のディディエ・デシャン監督はその攻撃性能を評価しながらも、守備に安定感を欠くという理由で昨夏のEUROまでは招集を控えてきたが、3バックを戦術オプションに加えた2021年秋以降は、サイドアタックを担う攻撃的なWBとして重要な戦力と位置づけている。
3位のアシュラフ・ハキミ(モロッコ)も圧倒的なスピードを活かした突破力を武器に、ラスト30メートルでは縦だけでなく、ゴールに向かって斜めに仕掛けるウイング的なプレーも駆使してフィニッシュに絡む超攻撃的なタイプ。モロッコ代表でもその攻撃参加は大きな武器だ。
スペインのカルバハルは完成度が際立つ
T・エルナンデスやハキミが、サイドをえぐるだけでなくフィニッシュにも絡むアタッカータイプなら、ライン際を上下動する古典的なSBとしてピカイチの完成度を誇るのがダニエル・カルバハル(スペイン)だ。
攻撃の局面では自陣でのビルドアップに関与した後、チームが敵陣に進出した後はタイミングのいい攻撃参加でサイドに数的優位を作り出し、質の高いクロスやパスでファイナルサード攻略をサポートする。さらに守備の局面でも、迅速な帰陣と粘り強い1対1守備でサイドからの侵入を許さず、逆サイドにボールがある時に中央に絞るポジショニング、後方からの走り込みへの対応など最終ラインの一員としての組織的な動きもハイレベル。攻撃力の高さと引き換えに守備力の低さを大目に見てもらっているSBが増えているなか、カルバハルの完成度の高さは際立っている。総合評価では彼をトップに置くべきだろう。
同じバランス型としては4位ダニーロもカルバハルにほとんど引けを取らないクオリティを備えている。攻撃志向の強いブラジル代表にとっては、常にボールのラインより後方に留まるバランサーとして、アンカーのカゼミーロとともに欠かせない存在だ。10位のバンジャマン・パバール(フランス)も攻守両局面で信頼できるバランス型だ。
5位のジョアン・カンセロ(ポルトガル)は、所属するマンチェスター・シティではSBながら頻繁にピッチの内側に入ってゲームメイクを担い、ファイナルサードの攻略にも関与するMF的な「偽SB」として特異な地位を築いている。ポルトガル代表での振る舞いはよりオーソドックスなSBに近いが、それでもしばしば中に入り込んでMF的な振る舞いを見せる。攻撃の局面で多角的な貢献を果たす一方で、守備に関しては1対1と組織的連携の両面ともに計算が立ちにくいところが弱点だ。
同じポルトガル代表の左SBヌーノ・メンデス(6位)は20歳という若さながら、恵まれたフィジカルと高いテクニックを活かした積極的な攻撃参加で台頭中。ただし守備に関してはまだ向上の余地を多分に残している。
7位リース・ジェームズ(イングランド)、8位ナウエル・モリーナ(アルゼンチン)、9位フィリップ・コスティッチ(セルビア)も、それぞれ高い攻撃力を最大の長所とするタイプ。いずれも豊富な運動量でライン際を上下動する縦の動きが持ち味だが、その中では元々ウイングとして育ったコスティッチはクロスの質が際立っている。
(企画・編集/YOJI-GEN)