サッカーW杯・出場選手ランキング【CB編】
記事
世界の超一流選手が集う4年に一度の祭典、ワールドカップ(W杯)。今回のカタール大会への出場が見込まれる選手の中で、最高のタレントと言えるのは誰か。
7つのポジションに分けて、それぞれにランキングを作成した。ポジションごとに設けた5つの評価項目を各10点満点で採点し、その合計点をもとに導き出したランキングだ。第5回はセンターバック編をお届けする。(監修:片野道郎)
※上位と解説コラムはスポナビアプリのみでご覧いただけます。
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解説
ファン・ダイクとクリバリは甲乙つけがたい
センターバック(CB)も、近年、求められるクオリティの優先順位が少なからず変化したポジションのひとつだ。
かつて、ボールを奪われた時には迅速にリトリートして自陣でのブロック守備に移行するのが基本だった時代にCBに求められたのは、なによりもゴール前で敵FWとのデュエルに勝利する1対1の強さ、ハイボールやクロスを弾き返す空中戦の強さだった。高さがあってフィジカルコンタクトに強い大柄な体格を備えていることが重要であり、スピードやアジリティはプラスアルファ、言ってみればボーナスのようなものと考えられていた。
しかし、攻撃時にラインを高く押し上げ、ボールを奪われてもそれを保ったままゲーゲンプレッシングで即時奪回を狙うのが当たり前になってきた近年は、そこでプレスをかわされた後、背後のオープンスペースで敵FWに走り負けない、そしてかわされないスピードとアジリティが、高さや強さと同じかそれ以上に求められるようになってきた。とりわけボールを支配して試合を進めるのがデフォルトになっている強豪チームでは、もはや必須条件とすら言える。
さらに、後方からパスをつないで攻撃を組み立てる戦術が広まり、それに対して前線からハイプレスを仕掛けてくるチームも増えたことで、CBにはかつてのMF並みのゲームメイク能力やドリブルによる持ち上がりなど、攻撃への貢献も強く求められるようになった。ビルドアップに積極的に関与できるテクニックと戦術眼も、強豪チームのCBには必要不可欠となっている。
これらを含めた評価基準に照らすと、トップを争うのはフィルジル・ファン・ダイク(オランダ)、カリドゥ・クリバリ(セネガル)というプレミアリーグでしのぎを削る2人。ともに身長190センチオーバー、体重90キロ前後という大柄な体格だが、それに似合わぬスピードとアジリティを併せ持ち、ゴール前での1対1で圧倒的な強さを見せるだけでなく、オープンスペースでのカウンター対応でも伸びのあるスプリントを見せ、1対1、2対2という困難な状況を苦にすることなく相手を食い止める。
タイプ的にきわめて似通っており優劣をつけるのは難しいが、違いがあるとすれば、ファン・ダイクが最終ラインの連携に頼らず個人能力にモノを言わせて1対1で状況を解決しようとする傾向が強いのに比べ、組織的守備を重視するイタリアで長くプレーした(昨季までナポリに8年在籍)クリバリは、個人能力だけでなく周囲との連携を意識して守る度合いが強いこと。そしてビルドアップにおいてショート、ミドルのパスワークでは優劣がないものの、ロングパスの精度でファン・ダイクに軍配が上がるところ。総合評価では甲乙つけがたいが、クラブで手にしたタイトルなどの実績面からファン・ダイクを上位とした。
ブラジル代表のペアは頭脳派CBの代表格
この2人に続くのは、身長180センチ台前半とCBとしては小柄な体格ながら、それを補う読みと戦術眼、そして傑出したスピードとアジリティを武器に、ハイラインディフェンスを支えるCBとしてはまったく引けを取らないパフォーマンスを見せるチアゴ・シウバ、マルキーニョスというブラジル代表のCBペア。絶対的な高さが求められる空中戦(とりわけ正面からのハイボール対応)では大型CBにやや引けを取るものの、高い瞬発力と優れたタイミングの感覚はそれを補うレベルにある。
また1対1守備でもフィジカルコンタクトで相手を圧倒できない分、ポジション取りや身体の当て方といったマンマークの技術と個人戦術でそれを十二分にカバーしている「頭脳派CB」の代表格だ。守備的MFとしても十分に通用するハイレベルなビルドアップ能力も、CBにも攻撃への貢献が求められる現代では大きな長所だ。ブラジル代表が中盤から上にきわめて攻撃的なプレーヤーを4人、5人と起用できるのも、最終ラインを高く保って守れる彼らの存在あってこそ。38歳になってもなお衰えを感じさせないプレーを見せ続けるT・シウバは驚異的だ。
5位のルベン・ディアス(ポルトガル)は、そのT・シウバほどのスピード、ファン・ダイクほどのフィジカルは持たないものの、双方をバランスよく高いレベルで兼ね備えたワールドクラス。1対1など個人能力の高さだけでなく、ラインコントロールやパートナーとの連携など組織的守備にも優れている。
それと比べると6位のウィリアム・サリバ、7位のラファエル・ヴァランヌというフランス代表勢は、よりファン・ダイクに近いパワフルな大型CB。いまや彼らのように190センチ級の高さにトップクラスのスピードと十分なアジリティ、そして安定したテクニックを備えていなければ、世界のトップレベルでは通用しない時代になりつつある。
8位のカイル・ウォーカーは本来はサイドバックだが、イングランド代表では3バックの右CBに定着してW杯に臨む。ここ数年、欧州トップレベルのクラブチームでもよく見られるようになった現代的な3バックでは、左右のCBにビルドアップへの参加はもちろん、積極的な持ち上がりから敵陣でのクロス、さらにはフィニッシュへの関与まで、攻撃の局面に幅広く参加することが求められるようになった。CBとしてのウォーカーはその代表格と言っていいだろう。
9位のクリスティアン・ロメロはタイプ的にはT・シウバやマルキーニョスに近いが、アルゼンチン人ならではの激しい闘争心を全面に打ち出したデュエルの強さが大きな武器。10位のニクラス・ジューレ(ドイツ)はそれとは対照的に、100キロ近い重量級ゆえ一見「遅い」ように見えるが、ゴール前での強さはもちろん、意外なスピードと的確な読みでオープンスペースでの守備もこなす大型CBだ。
(企画・編集/YOJI-GEN)