サッカーW杯・出場選手ランキング【OMF編】

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 世界の超一流選手が集う4年に一度の祭典、ワールドカップ(W杯)。今回のカタール大会への出場が見込まれる選手の中で、最高のタレントと言えるのは誰か。
 7つのポジションに分けて、それぞれにランキングを作成した。ポジションごとに設けた5つの評価項目を各10点満点で採点し、その合計点をもとに導き出したランキングだ。第3回は攻撃的MF/トップ下(OMF)編をお届けする。(監修:片野道郎)
※上位と解説コラムはスポナビアプリのみでご覧いただけます。

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※複数の選手が合計値で並んだ場合は監修者の判断で優劣をつけた。

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解説

デ・ブライネは攻守両局面での貢献度が全カテゴリーを通して一番

デ・ブライネが特に優れているのが状況判断とプレー選択の的確さ。パスやドリブルで局面を進めるだけでなく、あらゆる形で攻撃の最終局面にも絡む【Getty Images】

 少し前までは「中盤」という言葉でひと括りにできたMFだが、モダンサッカーの戦術的進歩によって、特に攻撃の局面における機能と役割が二極分化しつつある。その境界線となっているのは、自陣からのビルドアップにどこまで関与するか、そしてファイナルサードの攻略にどれだけ関与するか、という2点だろう。

 ここに挙げた「攻撃的MF」は、トーマス・ミュラー(ドイツ)やメイソン・マウント(イングランド)、クリスティアン・エリクセン(デンマーク)のように「トップ下」という呼び方が似合うくらい高い頻度でフィニッシュに絡んでいくタイプから、ルカ・モドリッチ(クロアチア)やペドリ(スペイン)、ロドリゴ・デ・パウル(アルゼンチン)のようにアタッカーよりも1列低いところからスルーパスやアシストのパスを送り込むタイプまで、プレースタイルには幅がある。しかし共通しているのは、ビルドアップ時には早いタイミングで敵陣に進出して「受け手」となり、ファイナルサード攻略時にはボールのラインより上まで上がって直接、間接的にフィニッシュに絡んでいくという点だ。

 CFやウイング/サイドアタッカーがフィニッシュそのものを担う存在だとしたら、攻撃的MFは主にそのお膳立てを担いながら、時には自らもフィニッシュに絡んでいくという役回りと言える。その一方で、守備の局面ではCFやウイング以上の仕事をこなすことを求められ、そしてまたそれに応える能力を備えているところが、MFとして位置づけられるゆえんである。

 このカテゴリーでトップに立つのは文句なしでケビン・デ・ブライネ(ベルギー)だろう。中盤でボールを持てば、敵守備ラインの間を割る質の高いパスやスピードに乗った持ち上がりで局面を一気に進め、ファイナルサードでは敵最終ラインの裏に送り込む絶妙なロークロスやスルーパス、強烈なミドルシュート、タイミングのいい裏抜けからのフィニッシュと、あらゆる形で攻撃の最終局面に絡んでいく。

 特筆すべきは、リスクの大きい強引なプレーよりも理に適った効果的なプレーを常に優先する状況判断と、プレー選択の的確さ。ベルギーが生み出すチャンスはほとんどすべて、彼が何らかの形で絡んでいる。試合全体を通した攻守両局面での貢献度を質と量の両面から考慮すれば、全カテゴリーを通してデ・ブライネを上回るプレーヤーはいないのではないか。

B・フェルナンデスはモダンな攻撃的MFの見本のような選手

ペドリは今大会中に20回目の誕生日を迎えるスペインの至宝。卓越したボールテクニックと創造性を備えたゲームメーカーだ【Getty Images】

 そのデ・ブライネがキャリアの絶頂期でこのW杯を迎えるとすれば、絶頂期を過ぎてもなおトップレベルのパフォーマンスを保ち続けているワールドクラスが、2位モドリッチと3位ミュラー。今年37歳になったモドリッチは、今なおたった1本のパスで試合の流れを一変させるマジックを見せてくれるだけでなく、コンスタントにボールに絡んで試合のリズムをコントロールするゲームメーカーとしての顔も併せ持つ。

 かたやミュラーは、トリッキーなパスワークも切れ味鋭いドリブル突破も持ち合わせていないが、ピッチ上の状況を的確に読み取とって、オフ・ザ・ボールの動きで前線にスペースを作ったり使ったりしながら、周囲との連携によって決定機を生み出す戦術感覚に関しては、右に出る者がいない。基本的なテクニックだけでも読みとプレー選択によって決定的な違いを作り出せるという、お手本のようなプレーヤーだ。

 4位のブルーノ・フェルナンデス(ポルトガル)は、2ライン(DFとMF)間からのパスワークで決定機を演出する「10番」タイプのクオリティと、MFらしいハードワークを両立させたモダンな攻撃的MFのサンプルのような選手。傑出したスピードやダイナミズムは持ち合わせていないが、優れたチャンスメイクとアシストの能力はそれを補って余りある。

 7位のエリクセンもタイプ的に近く、攻撃のクオリティでは引けを取らないが、守備の局面における貢献度でやや見劣りする分、評価が低くなった。やはりタイプ的に共通点が多い8位のデ・パウルは、ラスト30メートルの攻撃性能で2人にやや引けを取るが、その分、守備も含めたプレーの「量」的側面での貢献度が高い。

 一方、優れたテクニックにダイナミズムとインテンシティを併せ持ち、縦のスピードを活かしたスペースアタックや強力なミドルシュートでフィニッシュに絡んでいくのが、5位のフェデリコ・バルベルデ(ウルグアイ)と6位のマウント。マウントはよりトップ下的な攻撃的MFだが、バルベルデは中盤のあらゆるポジション、さらにはウイングやサイドバックすらもこなす万能性を備えている。ウルグアイ代表では逆にそれが災いして何でも屋的な使われ方をしているのがやや気の毒だ。

 9位のペドリは、「(アンドレス・)イニエスタとシャビを足して2で割った」と評されるスペインらしいテクニカルなゲームメーカー。フィニッシュに絡む頻度は低いが、ポゼッションの確立とそこからの仕掛けでは質と量の両面で大きな貢献を果たす。10位のセルゲイ・ミリンコビッチ=サビッチ(セルビア)は、190センチを超える長身にエレガントな身のこなしと高いテクニックを備え、ポストプレーからドリブル突破、アシスト、シュートまで敵陣における攻撃のあらゆる局面に多角的に絡む異才だ。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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