25年J1・J2「補強・戦力」を徹底分析!

王者・神戸は現有戦力重視…初昇格・岡山は健闘 J1リーグ全20クラブの補強診断【後編】

YOJI-GEN

3人の外国籍FWを放出した広島は磐田でブレイクしたジャーメイン良を獲得。この新エースがリーグ制覇のカギを握る 【舩木渉】

セレッソ大阪

補強診断:D/戦力ランキング:71(16位タイ)
昨シーズン:10位
監督:アーサー・パパス(新任)
 3年半にわたった小菊昭雄体制が終わり、かつて横浜FMでコーチを務めたアーサー・パパス新監督を招へい。その横浜FMで仕事をともにしたDF畠中槙之輔(←横浜FM)を獲得したものの、IN・OUTの収支はややマイナスに映る。近年、攻撃陣をリードしたFWレオ・セアラ(→鹿島)、MFカピシャーバ(→清水)がそろって退団。さらに、FW山崎凌吾(→長崎)、FW山田寛人(→鳥栖)、MF為田大貴(→磐田)と計算の立つ日本人アタッカーもチームを離れた。

 代わってFWラファエル・ハットン(←バイーア)、FWチアゴ・アンドラーデ(←トロント)と2人のブラジル人アタッカーを獲得。相手DFの背後を取るのがうまいハットンはレオ・セアラが務めた1トップを任されそう。アンドラーデはカピシャーバが担っていた左サイドでの起用が濃厚だ。爆発的なスピードが武器だが、チームにフィットするかどうかは未知数と言える。

 楽しみなのは、武者修行から帰ってきたFW中島元彦。J2の仙台で昨季13得点をマークし、満を持して帰還する。ただし、ファーストトップタイプではないため、最前線のコマは明らかに不足している。ゼロトップを含め、新監督にはさまざまなアイデアが求められることになる。

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ヴィッセル神戸

補強診断:D/戦力ランキング:92(1位)
昨シーズン:優勝
監督:吉田孝行(4年目)
 リーグ2連覇の立役者で、昨季のリーグMVPの武藤嘉紀の慰留に成功したが、そこに注力しすぎたのか、ストーブリーグの動きは寂しいものだった。キャプテンの山口蛍(→長崎)がチームを離れ、左サイドバックの初瀬亮も海外移籍の可能性が高まっているが(編注:6日にシェフィールド・ウェンズデイFCへの移籍が発表)、武藤や大迫勇也のようなビッグネームだけでなく、レギュラークラスの補強もなかった。

 岡山から獲得したアカデミー出身のDF本山遥や東京V出身の技巧派・橋本陸斗(←YS横浜)はいずれも魅力的な選手だが、どちらかと言えばバックアッパーとして評価されたはず。ゆえに、補強診断としては低評価とならざるを得ない。

 とはいえ、戦力は依然としてリーグ屈指。3連覇を目指すに足るタレントを抱えていると強化部が判断するのもうなずける。一方で、現状維持は後退の始まりとも言う。新陳代謝を怠れば、競争力の低下を招きかねない。もちろん、神戸のことだからシーズン中の補強は十分にあり得るだろう。

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ファジアーノ岡山

補強診断:C/戦力ランキング:66(20位)
昨シーズン:J2・5位
監督:木山隆之(4年目)
 クラブ史上初のJ1に臨む今季、レギュラークラスが全員残留したのは、木山隆之監督のスタイル継続、戦術浸透という点で非常に大きい。GKには佐々木雅士、DFには立田悠悟といずれも柏からJ1経験のある選手を獲得し、競争力を高めることに成功した。

 そして、なんと言っても元日本代表MF江坂任(←蔚山)の加入だろう。大宮、柏、浦和で主力としてJ1を戦った経験者の加入は、J1初挑戦となるチームにとって心強いことこの上ない。

 FC東京から期限付き移籍で加入するMF佐藤龍之介はU-20日本代表の中心選手で、江坂とともに攻撃に違いを生み出せる存在。また、徳島から獲得したFWブラウンノア賢信も楽しみな逸材だ。189cmながらスピードにあふれるアタッカーは昨季のJ2で7ゴールをマーク。プロ契約を結んだ横浜FMではチャンスを得られなかったが、J2、J3のクラブを渡り歩いてJ1に返り咲いたストライカーが期待通りの活躍をすれば、チームのJ1残留も見えてくる。

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サンフレッチェ広島

補強診断:B/戦力ランキング:91(2位)
昨シーズン:2位
監督:ミヒャエル・スキッべ(4年目)
 主力に成長したボランチの松本泰志(→浦和)は移籍したが、MF田中聡(←湘南)、MF井上潮音(←横浜FC)と実力者を迎え入れた。また、岡山、群馬を期限付き移籍で渡り歩いたMF仙波大志が経験を積んで復帰。ボランチは一気に層が厚くなり、満田誠をシャドーに専念させることが可能になった。

 前線ではFWゴンサロ・パシエンシア(→未定)、FWピエロス・ソティリウ(→APOEL)、FWドウグラス・ヴィエイラ(→未定)の3人が去ったが、代わって昨季19ゴールと大ブレイクしたジャーメイン良を磐田から獲得。高さとスピードと献身さを兼ね備え、最前線でもシャドーでもプレー可能なストライカーの存在は、指揮官に新たな戦術オプションをもたらすに違いない。

 MF柏好文(→甲府)の退団によって層が薄くなった左サイドには、札幌の不動の左ウイングバック・菅大輝を獲得。東俊希とのハイレベルなポジション争いは見ものだろう。昨季はリーグ2位と涙をのんだが、スキッベ体制4年目を迎え、念願のリーグ制覇に向けて着実な補強を敢行した。

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アビスパ福岡

補強診断:C/戦力ランキング:75(13位タイ)
昨シーズン:12位
監督:金明輝(新任)
 5シーズンにわたって指揮を執った長谷部茂利監督の離任に加え、5年間在籍した前寛之(→町田)と4年間在籍した宮大樹(→名古屋)も退団。チームの印象が大きく変わりそうだ。

 チームをよく知る2人のベテランが抜けた穴は小さくなくい。もっとも、長らく3バック、2ボランチで戦ってきたが、金明輝新監督が鳥栖時代に採用していた4-3-3を主戦システムと考えているのだとしたら、必ずしも痛手ではない。アンカーに鳥栖時代の教え子であるMF松岡大起が在籍し、このポジションのスペシャリストであるMF秋野央樹(←長崎)も獲得。さらにはインサイドハーフの候補として東京Vで10番を担ったMF見木友哉と、鹿島で5得点9アシストをマークしたMF名古新太郎を獲得。2人は金監督の志向するサッカーにマッチする選手たちだ。

 また、左サイドバックの志知孝明(←広島)とセンターバックの上島拓巳(←横浜FM)は福岡に在籍経験があり、クラブのことをよく知っている。左ウイングでの起用が濃厚な藤本一輝は町田で金監督の指導を受けており、戦術上のキーマンになりそう。非常に実のある補強が行えた印象だ。

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(企画・編集/YOJI-GEN)

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