王者・神戸は現有戦力重視…初昇格・岡山は健闘 J1リーグ全20クラブの補強診断【後編】
セレッソ大阪
昨シーズン:10位
監督:アーサー・パパス(新任)
代わってFWラファエル・ハットン(←バイーア)、FWチアゴ・アンドラーデ(←トロント)と2人のブラジル人アタッカーを獲得。相手DFの背後を取るのがうまいハットンはレオ・セアラが務めた1トップを任されそう。アンドラーデはカピシャーバが担っていた左サイドでの起用が濃厚だ。爆発的なスピードが武器だが、チームにフィットするかどうかは未知数と言える。
楽しみなのは、武者修行から帰ってきたFW中島元彦。J2の仙台で昨季13得点をマークし、満を持して帰還する。ただし、ファーストトップタイプではないため、最前線のコマは明らかに不足している。ゼロトップを含め、新監督にはさまざまなアイデアが求められることになる。
※リンク先は外部サイトの場合があります
ヴィッセル神戸
昨シーズン:優勝
監督:吉田孝行(4年目)
岡山から獲得したアカデミー出身のDF本山遥や東京V出身の技巧派・橋本陸斗(←YS横浜)はいずれも魅力的な選手だが、どちらかと言えばバックアッパーとして評価されたはず。ゆえに、補強診断としては低評価とならざるを得ない。
とはいえ、戦力は依然としてリーグ屈指。3連覇を目指すに足るタレントを抱えていると強化部が判断するのもうなずける。一方で、現状維持は後退の始まりとも言う。新陳代謝を怠れば、競争力の低下を招きかねない。もちろん、神戸のことだからシーズン中の補強は十分にあり得るだろう。
※リンク先は外部サイトの場合があります
ファジアーノ岡山
昨シーズン:J2・5位
監督:木山隆之(4年目)
そして、なんと言っても元日本代表MF江坂任(←蔚山)の加入だろう。大宮、柏、浦和で主力としてJ1を戦った経験者の加入は、J1初挑戦となるチームにとって心強いことこの上ない。
FC東京から期限付き移籍で加入するMF佐藤龍之介はU-20日本代表の中心選手で、江坂とともに攻撃に違いを生み出せる存在。また、徳島から獲得したFWブラウンノア賢信も楽しみな逸材だ。189cmながらスピードにあふれるアタッカーは昨季のJ2で7ゴールをマーク。プロ契約を結んだ横浜FMではチャンスを得られなかったが、J2、J3のクラブを渡り歩いてJ1に返り咲いたストライカーが期待通りの活躍をすれば、チームのJ1残留も見えてくる。
※リンク先は外部サイトの場合があります
サンフレッチェ広島
昨シーズン:2位
監督:ミヒャエル・スキッべ(4年目)
前線ではFWゴンサロ・パシエンシア(→未定)、FWピエロス・ソティリウ(→APOEL)、FWドウグラス・ヴィエイラ(→未定)の3人が去ったが、代わって昨季19ゴールと大ブレイクしたジャーメイン良を磐田から獲得。高さとスピードと献身さを兼ね備え、最前線でもシャドーでもプレー可能なストライカーの存在は、指揮官に新たな戦術オプションをもたらすに違いない。
MF柏好文(→甲府)の退団によって層が薄くなった左サイドには、札幌の不動の左ウイングバック・菅大輝を獲得。東俊希とのハイレベルなポジション争いは見ものだろう。昨季はリーグ2位と涙をのんだが、スキッベ体制4年目を迎え、念願のリーグ制覇に向けて着実な補強を敢行した。
※リンク先は外部サイトの場合があります
アビスパ福岡
昨シーズン:12位
監督:金明輝(新任)
チームをよく知る2人のベテランが抜けた穴は小さくなくい。もっとも、長らく3バック、2ボランチで戦ってきたが、金明輝新監督が鳥栖時代に採用していた4-3-3を主戦システムと考えているのだとしたら、必ずしも痛手ではない。アンカーに鳥栖時代の教え子であるMF松岡大起が在籍し、このポジションのスペシャリストであるMF秋野央樹(←長崎)も獲得。さらにはインサイドハーフの候補として東京Vで10番を担ったMF見木友哉と、鹿島で5得点9アシストをマークしたMF名古新太郎を獲得。2人は金監督の志向するサッカーにマッチする選手たちだ。
また、左サイドバックの志知孝明(←広島)とセンターバックの上島拓巳(←横浜FM)は福岡に在籍経験があり、クラブのことをよく知っている。左ウイングでの起用が濃厚な藤本一輝は町田で金監督の指導を受けており、戦術上のキーマンになりそう。非常に実のある補強が行えた印象だ。
※リンク先は外部サイトの場合があります