王者・神戸は現有戦力重視…初昇格・岡山は健闘 J1リーグ全20クラブの補強診断【後編】
大宮から海を渡り、ポーランド、ドイツでプレーした奥抜侃志。日本代表にも選出されたアタッカーがG大阪のリーグ制覇のラストピースとなるか 【池田タツ】
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アルビレックス新潟
昨シーズン:16位
監督:樹森大介(新任)
また、期限付き移籍していたJ2の藤枝で昨季16ゴールをマークした矢村健が逞しくなって帰還。新得点源として期待がかかる。さらに、今年に入って待望の新外国籍選手も獲得。元オーストラリア代表DFのジェイソン・ゲリア(←メルボルン・ビクトリー)はかつて千葉で2シーズンプレーしており、日本のスタイルに戸惑うことはないはず。ミゲル・シルヴェイラ・ドス・サントス(←PFCソチ)はブラジルのアンダー代表歴のある技巧派MFで、高木善朗や長谷川元希らとトップ下のポジションを争うことになるだろう。
決して多くない予算で可能な限りの補強を敢行したという印象なので、最大の焦点は樹森新監督の手腕となる。トップチームで指揮を執った経験はないが、S級ライセンスの研修先に新潟を選び、新潟のスタイルをよく知っている。新監督が前任者の戦術を進化させられるかどうかが、チーム躍進のカギとなりそうだ。
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清水エスパルス
昨シーズン:J2・優勝
監督:秋葉忠宏(3年目)
ほかにも大分で主軸を担ったボランチの弓場将輝、C大阪から突破力抜群のウインガー、カピシャーバを獲得し、戦力を整えた。なかでも注目なのは、現役ブルガリア代表FWアフメド・アフメドフ(←スパルタク・ヴァルナ)だ。ゴール感覚に優れ、前線で起点にもなれるうえ、ドリブル突破、チャンスメイク、トランジションの速さも備えるオールラウンダータイプ。エースの北川航也との連係に期待が膨らむ。
ただし、補強全体を見れば、J1での実績十分な選手はカピシャーバだけ。既存のレギュラークラスの中にもJ1での経験が少ない者もいる。J2では個の能力を前面に押し出してライバルを圧倒できたが、J1ではそうはいかない。それだけに、アフメドフ、カピシャーバの早期フィットが求められる。
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名古屋グランパス
昨シーズン:11位
監督:長谷川健太(4年目)
母国に復帰したGKランゲラック(→メルボルン・ビクトリー)に代わる選手としては、5年半ぶりのJリーグ復帰となる元日本代表GKシュミット・ダニエル(←ヘント)を獲得。残念ながらシュミットはチーム合流後、右ヒザ内側半月板損傷によって離脱を余儀なくされたが、長い目で見れば、7シーズン在籍したワールドクラスの守護神の穴を埋めるのにこれ以上ないピースだと言える。
それ以外の補強を見ても、浅野雄也(←札幌)、宮大樹(←福岡)、原輝綺(←清水)、佐藤瑶大(←浦和)と、計算の立つ選手ばかり。全体的な選手層は間違いなく厚くなっている。長谷川体制も4年目を迎え、いよいよリーグ制覇も射程圏内に入った。
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京都サンガF.C.
昨シーズン:14位
監督:曺貴裁(5年目)
中盤は塚川孝輝(→FC東京)、金子大毅(→磐田)がチームを去ったが、このポジションはもともと川﨑颯太、米本拓司、平戸太貴、松田天馬、福岡慎平、武田将平と人材が豊富なうえ、ブラジルのヴィトーリアからMFジョアン・ペドロを獲得。技術と展開力に優れ、ハードワークもこなすブラジル人ボランチが前評判通りのプレーを披露できれば、中盤の序列も変わってきそうだ。
最終ラインでは浦和から期限付き移籍中の宮本優太のレンタル延長に成功。ポルトガルのリオ・アヴェからブラジル人センターバックのパトリック・ウィリアムも獲得した。三竿雄斗(→パース・グローリー)と鈴木冬一(→横浜FM)が抜けた左サイドバックは不安要素のひとつだが、左利きのセンターバックが3人いるため、いざとなればコンバートするという手もあるだろう。22年にJ1復帰を果たして以来、3年連続して下位に沈んだが、今季はダークホースの香りが漂う。
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ガンバ大阪
昨シーズン:4位
監督:ダニエル・ポヤトス(3年目)
さらに、武者修行に出た先でしっかりと結果を残した唐山翔自(←熊本)、南野遥海(←栃木)を呼び戻した。彼らは間違いなくG大阪の未来を担う選手たち。昨季ブレイクした坂本一彩(→ウェステルロー)の流出を忘れさせてくれるだろう。
着実に上積みをもたらす補強は、ダニエル・ポヤトス体制も3年目を迎え、すでにチームのベースが築きあげられていることを感じさせる。ところが、2月に入ってダワンの北京国安への移籍が決まり、痛恨の放出となった。ボランチには鈴木徳真、ネタ・ラヴィ、美藤倫がいるものの、いずれも攻撃面にストロングポイントを持つ選手たち。ダワンに代わるハードワーカー、バランサー、ボールハンターの獲得が急務だ。
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