石川開催のSVリーグオールスターに選手はどう臨んだか? それぞれの思い、優しさで生まれた笑顔
熊本大震災を経験した選手は
水町泰杜は能登の子どもたちと自分を重ね合わせていた 【写真提供:SV.LEAGUE】
同じ鎮西高、早稲田大の先輩後輩。「(チームTOMO監督の)ティリ(ロラン)さんに着てもらうことも考えたけれど、僕は直系(の後輩)なので」と満面の笑みを浮かべた。
昨年、能登地方を襲った大地震より8年前の2016年、2人の故郷である熊本も地震で大きな被害を受けた。高校2年生だった宮浦は練習場所の体育館を失い、中学3年生だった水町も大きな被害に直面したが「当時は子どもだったので状況がわかっていなかった」と振り返る。
だが、だからこそ今、当時の自分をバレー教室に参加した子どもたちに重ねる。
「大人に比べて、子どもは気にしていないけれど、その反面、すごく不安になることもある。僕は、とにかく子どもたちは笑っているのが一番いいと思うので、今日のバレー教室も楽しそうで、笑顔でやってくれていたからよかったな、と思うし、僕も小さい頃に日本代表選手のバレーボール教室に参加した時も、大きい選手がいるだけでうわー、ってなるんですよ。今日参加してくれた子どもたちも同じように、SVリーグを目指してくれたら嬉しいし、今はちっちゃい子たちがいつか大きくなるのをすごく楽しみにしています。でも、僕に教えられた子どもは『周りは大きかったけど、1人だけちっちゃいやつがいたな』って思うかもしれないですけどね(笑)」
コンディション不良の選手も見せ場を作る
長岡望悠はスパイクで「感謝」を示した 【写真提供:SV.LEAGUE】
「プロ選手が来てくれる、一緒にバレーをしてくれる。僕が子どもだったら嬉しいだろうな、と思ったので一生懸命、できることをやろうと。僕らが石川県で試合をすることで、全国からたくさんの方々も来て下さって、石川のホテルや飲食店も潤えば、それも僕らなりにできる復興支援の活動でもある。その時々、コンディションの問題はありますけど、この先も同じようにこういう活動の場があれば僕は積極的に参加したいです」
実際にオールスターゲームでは、選手としてではなく審判としてコートに立ち、観客を盛り上げた。
「あれが僕にできる精いっぱい(笑)。盛り上げられていたなら嬉しいですけど、僕たちはバレーボール選手なので、また来週からのシーズン、後半戦に向けてまたここから、もう一回頑張っていきたいです」
男子選手だけでなく、女子選手も同じ。オールスターゲームの出場時間は限られたが、ファン投票で選出されたことに対する「感謝も示したかった」というSAGA久光スプリングスの長岡望悠はこう言った。
「スパイク1本ですけど、プレーする姿をお見せできて私も安心したし、今日という日、スポーツを通して何か小さな光でもお届けできていたら嬉しい。女子はPFU(ブルーキャッツかほく)があるので、この先も石川県で試合があります。パワースポットじゃないですけど、この場所から、光や元気がつながっていったら、こんなに嬉しいことはないです」
2月1日から再開するSVリーグは後半戦へ、オールスターで見せたバレーボールの楽しさをまた違う形で、これからにつなげていくために。それぞれができることを、この先も1人1人が続けていく。