サントリー・髙橋藍×ジェイテクト・小川智大が後半戦への意気込みを語る!  「戦いたくない嫌な相手だけど、勝負して、勝つ!」

田中夕子

狙う側と狙われる側、2人の駆け引きに注目

互いに笑顔で話す髙橋藍(写真左)と小川智大(写真右)だが、試合に向けてすでに駆け引きは始まっている!? 【写真:スポーツナビ】

――髙橋選手がイタリアから日本のSVリーグ、サントリーサンバーズ大阪へ加入し、小川選手もジェイテクトSTINGS愛知へ移籍。それぞれのチームに対してはどんな印象を持っていますか?

小川 藍が入って、これまで以上にチームの雰囲気が明るくなって、ポジティブな空気が強くなりましたね。サントリーは前から強いチームで、どちらかといえば静かに戦いながらもずっと強い、というイメージだったんです。でも藍や(アレクサンデル)シリフカ選手が入って、チームを勝たせるために闘志を打ち出す選手が増えた。藍や西田(有志)、水町(泰杜)選手はスター性に満ち溢れているので、戦う側からすると、彼らにいい場面でサーブが回ってくると本当に嫌です(笑)。

髙橋 僕からすれば、ジェイテクトはバランスがいいチームなので嫌ですよ。サントリーは(ドミトリー)ムセルスキー選手のようにビッグスパイカーがいる、という印象が強いと思いますが、ジェイテクトは選手それぞれのレベルが高い。宮浦選手がいて、(リカルド)ルカレッリ選手、(トリー)デファルコ選手がいてミドルには(髙橋)健太郎さんがいてセッターは関田さん。その錚々たるメンバーが揃う中で、ディフェンス面、レセプションでも軸になっているのがリベロの小川さんなのでそこをどう崩すか。サーブを打つときから考えるし、一番は小川さんをいかに狙わず打つか、と意識しています。

小川 そこでいろいろ駆け引きをしているんだけどね。藍は俺のことを知っているから、あんまり動けないし、嫌なところはあるよね。ショートサーブも上手いから、頭の中では「そろそろ来るだろうな」と思っているけど、裏をかいて速いサーブも打ってくる。だから今はまさに研究途中。ファイナルで勝てるように、藍のことをずっと見ているので、その上を行かれるかもしれないけど負けないように頑張ります。ジェイテクトはまだ課題もミスも多いけど、その状況をどう打開させるか。それができたときは自分自身の成長にもつながると思っているので、たとえネガティブな状況でも逃げずにやっていく。それが僕自身の課題であり、ジェイテクトを強くする要は自分だと思っているので、もっと頑張ろう、って思います。藍はどう? サントリーは弱点ないんじゃない?

髙橋 シーズン当初はケガ人もいて、新しいチームになったばかりだったのもあってなかなか上手くいかなかったんですけど、だんだんチーム力が上がってきて、まとまってきた印象はあります。自分自身もコンディションが上がってきたし、強くなってきた手応えもありますけど、周りも上がってきているのは間違いないので、自分たちもさらに変化して、進化していかないといけない。苦しいときはムセルスキーに頼ってしまうのも課題なので、ファイナルで最後に勝つためには新しいこともどんどんしていかないといけないと思っています。

直接対決はお互いに嫌!?

髙橋藍は「あえて小川選手を狙う」と予告。小川智大はどう対応するか注目だ 【写真提供:SV.LEAGUE】

――その幕開けとなるのがオールスターを終えて最初の対戦、2月1、2日は直接対決です。ここまでの対戦は1勝1敗、どんな戦いになると思いますか?

小川 僕個人的には嫌ですよ。見ている方々はムセルスキー選手に注目が集まると思いますし、実際に世界を代表する素晴らしいトップ選手であるのも間違いない。でも、ムセルスキー選手だけでなく、どの選手も確実に得点を取れる力があるし、崩れそうになっても藍やリベロの藤中颯志が上手くコントロールしているから強い。僕たちは豪快な一発がある分、もったいないミスが出たり、まだ粗さがありますけど、でも僕は勝ちたいので、勝ちます。

髙橋 僕も嫌ですよ。ずっと気を張った状態で戦い続けなければならない相手であるのは間違いないし、小川さんも言っていた豪快な一発もある。そこで流れをつかんで勝つ、ジェイテクトのスタイルがあるので、自分たちの戦い方も考えないといけない。しんどい試合になるのは間違いないですよね。

小川 ここから後半戦、前半に出た課題を理解して同じミスを繰り返さないこと。単発のミスが多いのも現状なので、僕たちパスをする人間が起点となって、セッター、スパイカーに少しでも楽をさせてあげられるように1本目のパスの精度をもっと上げていきたいです。

髙橋 サントリーもチーム力が上がってきているからこそ、さらにチーム力を上げていきたいし、この1点は欲しい、というシチュエーションを確実に取り切れるように。リードしている状況から追いつかれてしまうこともあるので、この1本、という1点を逃さず、1点に対する集中力を高めて、勝つための1点を取る強さを求めたい。初代王者を目指しているので、そこは突き詰めていきたいです。

小川 負けずにやらないとね。正直、ムセルスキー選手のボールは拾えていたけど、藍が得意なインナーへ打ったボールは逃していたので、次は絶対に拾います。3本打たれたら1本は拾わないと(笑)。

髙橋 小川さんと対戦するのは本当に嫌ですからね(笑)。決まった、と思うボールも簡単にレシーブで上げられてしまうし、そうなるとジェイテクトが乗ってくるので、小川さんがいるポジションに打つのは嫌ですけど、逃げずに、フェイントも交えながら小川さんがいるところにあえて勝負していきたいですね。

小川 嫌だなぁ(笑)。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。著書に『高校バレーは頭脳が9割』(日本文化出版)。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)、『青春サプリ』(ポプラ社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など女子アスリートの著書や、前橋育英高校硬式野球部の荒井直樹監督が記した『当たり前の積み重ねが本物になる』『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(カンゼン)などで構成を担当

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