王者・コンサドーレを止めるチームは? カーリング日本選手権男子を展望

竹田聡一郎

Dブロックに入ったコンサドーレの優位は揺るがない

 王者コンサドーレの入ったDブロックには2023年大会準優勝のKiT CURLING CLUB(当時は北見協会のチーム名で出場)、東北代表のチーム佐藤、中部代表の長野県CA、西日本代表のチーム京都CAが入った。

 やはりコンサドーレの優位は揺るがないだろう。

 オフに札幌国際大学を卒業した佐藤剣仁(はやと)を新加入選手として迎え、佐藤ー大内遥斗ー阿部晋也ー清水徹郎のラインナップを組むと、夏の北海道ツアーでは稚内みどりチャレンジカップ、アドヴィックスカップと連続で優勝。しかもその間、今大会に出場するSC軽井沢クラブ、TM軽井沢、LOCOSOLARE、KiT CURLING CLUBら有力チームからすべて白星を記録している。カナダ遠征中にLOCOSOLARE、軽井沢国際でSC軽井沢クラブにそれぞれ黒星を喫しているが、国内チームとの戦績は抜きん出ている。

 今季ツアー3勝はもちろん日本勢最多で、日本代表として出場した11月のパンコンチネンタル選手権ではアリーナアイスも経験した。佐藤の加入によってリザーブに回ることが多くなった敦賀爽太だが、パンコンチネンタル選手権や軽井沢国際で出場し好プレーを見せた。何かトラブルに遭っても対応できるチームとなった。札幌で練習公開をした際の阿部の「仕上がりも非常にいい状態」というコメントも力強い。全勝優勝した昨年より強化の色合いは強いのではないか。

 ただ、王者に挑むKiT CURLING CLUBにとって、3日の初戦で顔を合わせることになったのは、ひょっとして幸運かもしれない。アイスリーディングが進んでないアリーナアイスでリスクを恐れずに仕掛ければ、何かが起こる可能性は小さくない。

 リードの三浦善也とセカンドの目黒良太のフロントエンドはコンサドーレと比較してキャリアも長く、ここで投げ負けなければ、チャンスメーカーとして国内でも3本指に入るであろうサードの臼井槙吾につなげる。フィニッシャーである平田洸介にどんなショットを投げさせるか、チームとしてビジョンをしっかり共有できれば番狂せも狙える。まずは試合前練習を効果的に消化し、LSD(※)で後攻スタートを持って舞台を整えたいところだ。

 プレーオフ進出戦線でいえば、チーム佐藤も面白い。スキップの佐藤航英は昨年12月に行われたミックスダブルスの日本選手権で、SC軽井沢クラブの山口やLOCOSOLAREの前田らを擁する、前年度優勝、準優勝ペアを次々と破り4位に入賞したスーパー高校生だ。その勢いを持ったままノープレッシャーで横浜入りすれば、面白い存在になるかもしれない。

 コンサドーレの出鼻をKiT CURLING CLUBがくじくことができるか。まずは初戦に注目だ。

※.ラストストーンドローの略で、試合前練習後にハウス中心に向かってドローを投げ、精度が高いほうが後攻を持って試合をスタートできる。また、その平均値「DSC」(ドローショットチャレンジ)は勝敗などが並んだ際に優劣をつける数字として用いられる。

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著者プロフィール

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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