スマイルジャパン、得点力とコミュニケーションを強化 “氷都”苫小牧でミラノ五輪出場権獲得を目指す

沢田聡子

決戦に臨むスマイルジャパンをラミレス氏(右端)が激励 【提供:日本アイスホッケー連盟】

飯塚監督「チームの差は本当にタイト」

「日本、地元の苫小牧でこういう大きな大会が開催されるということで、すごく背中を押されて、自信にもなっています」

 アイスホッケー女子日本代表(スマイルジャパン)のキャプテン・小池詩織は、2026年ミラノ・コルティナ五輪最終予選メンバー発表会見で、意気込みを語った。

 スマイルジャパンが臨むミラノ五輪最終予選は、2月6~9日、北海道苫小牧市で行われる。この日の会見には、小池、オルタネイトキャプテン(副将)・細山田茜、飯塚祐司監督、日本アイスホッケー連盟理事・広報委員長のアレックス・ラミレス氏が出席した。

 会見では、今シーズンの合宿・国際大会に選考してきた28名から最終的に選ばれた代表23名が発表された。選手代表として会見に臨んだ小池と細山田は、2人とも苫小牧を本拠地とする道路建設ぺリグリンに所属する。

「苫小牧に来てから、もう10年以上経ちます。やはり苫小牧はアイスホッケーの盛んな街で、そういう中でプレーできるのは本当に光栄に思います」

 小池がそう述べるのに続き、苫小牧で7年ほど暮らしているという細山田もコメントした。

「地元の方もアイスホッケーが好きな方々がすごく多くて、その中で最終予選を迎えることができて、本当に光栄に思っています」

 ミラノ五輪出場国は、全部で10カ国。世界ランキング1~6位、開催国イタリア、そして最終予選グループG・H・Iの各グループ1位通過国だ。1998年長野五輪に開催国として出場した日本は、2014年ソチ五輪には最終予選を勝ち抜いて出場。2018年平昌五輪にも最終予選を経て、2022年北京五輪には世界ランキング上位国として出場した。今回の最終予選には、4大会連続5回目となる五輪出場を目指して臨む。

 苫小牧開催の最終予選Gグループに臨む4チームは、日本(世界ランキング7位)、中国(同12位)、フランス(同13位)、ポーランド(同20位)。世界ランキングが最も高い日本は、ホスト国としてこの最終予選を迎える。しかしチームを率いる飯塚監督は、「ランキングはまったく気にしていなくて」と気を引き締める。

「本当に1試合1試合タイトなゲームになるでしょうし、フランス・ポーランド・中国、すべてのチームがオリンピックに出る可能性を持って、戦いに挑んでくると思います。古い話になってしまいますが、実際私たちもソチオリンピック予選のとき、第3シードという立場で優勝して、出場権を獲得しております。(最終予選まで)もう1カ月を切っていますけれども、本当にここからの勝負、ここからの過ごし方が最後の勝敗を分けると考えております」

 飯塚監督が鍵になる試合として挙げるのは、初戦となる対フランス戦だ。フランスとは昨年12月に行われた4NationsTournamentで対戦し、2-3で負けている。

「世界ランキング的に差はあるのですが、これはただ過去4年間のオリンピックと世界選手権の成績が反映されているだけ。フランスは前回の(北京)オリンピックに出ていないのでポイントを稼げていないというだけの差であって、チームの差は本当にタイトだと思っております」

 さらに飯塚監督は、中国には昨年4月の世界選手権で負けたこと(ペナルティーショットシュートアウト戦での敗北)、過去に対戦していないポーランドについてもミラノ五輪予選で韓国に5-0で勝利したことを挙げ、厳しい戦いを予想した。

 飯塚監督は2010年バンクーバー五輪最終予選でも監督としてチームを率いたが、このときは五輪出場権を得ることはできなかった。一方、2014年ソチ五輪最終予選では監督、2018年平昌五輪最終予選ではコーチとして五輪出場権獲得に貢献しており、女子日本代表を熟知する指導者である。その飯塚監督が力を入れてきたのは、得点力の強化だという。

「日本女子アイスホッケーの歴史の中で一番の課題は、オフェンスゾーンでパックを奪い、守りを崩して点をとるというパターンが、今まで圧倒的にできなかったこと」

「不得意としている、オフェンスゾーンでパックを奪いコントロールして得点するパターンの中で最終的に生じる動作、シュートやコンタクトプレーに磨きをかけてきた。それが徐々にいい方向に向かっていると感じております」

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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