プレミア前半戦の最大のサプライズ 絶対王者の大不振と古豪フォレストの大躍進
今まで以上の運動量・インテンシティ・連係がブライトンには不可欠
7戦連続勝ち星なしで2024年を終えたブライトンだが、復調の兆しも見える。12月30日のアストン・ヴィラ戦では終盤のゴールで追いつき、敵地で勝ち点1を獲得 【Photo by Catherine Ivill - AMA/Getty Images】
しかし27日に行われたブレントフォード戦ではブライトンが果敢に攻めた。結果はスコアレスドローだったが、見どころ満載の試合で、ブライトンは後半戦の巻き返しを予感させるパフォーマンスを見せた。
ただし、この試合のブレントフォードがまさにそうだったように、技術の高い若手を中心とするブライトンの攻撃力に対抗するため、相手が守りに人数を割いてフィジカルで堅固な最終ラインを作り、三笘をはじめとする攻撃陣にフラストレーションを溜めさせながら、カウンター、もしくはセットプレーで得点を狙うケースが目立つ。
ブライトンの巻き返しのカギは、こうした相手の戦略を凌駕するパフォーマンスを繰り出すこと。それには今まで以上の運動量とインテンシティ、そして連係が不可欠となる。
ブレントフォード戦で積極的に仕掛けて貪欲にゴールを目指し、なかなか勝てない現在の逆境についても、「成長するチャンスだと思って、結果が出るまでやっていくしかないと思います」と語った三笘の言葉を信じて、ブライトンの逆襲に期待する。
10位のブライトンから14位のマンチェスター・Uまでが4ポイント差で(編集注:12月31日時点で5ポイント差)、ここまでがヨーロッパリーグ出場権獲得の可能性があると見る。3連勝でもすれば上位に食い込める状況。ブライトンをはじめ、トットナム、マンチェスター・Uなどその力があるチームが並んでいるので、このグループからも目が離せない。
4つに分かれたゴールを目指して
鎌田のいるクリスタルパレスは、12月29日の年内最終戦でサウサンプトンを撃破。12月の戦績は3勝2分1敗と復調著しく、後半戦に期待が持てる 【Photo by Stephanie Meek - CameraSport via Getty Images】
29日午前中の時点で、降格圏の3チームは勝ち点14の18位レスター、同12の19位イプスウィッチ、20位サウサンプトンと、昇格組3チームが揃って苦境に立たされているが、レスターと15位エヴァートンの差は3ポイント。イプスウィッチも2連勝で大きく状況を変えることができる(編集注:12月31日時点の順位は18位イプスウィッチ、19位レスター、20位サウサンプトン)。
16位のクリスタルパレスには今季加入した日本代表MF鎌田大地がいて、このチームの今後も気になるところだが、直近の5試合は2勝2分1敗で8ポイントを奪取。昨季後半の好調を取り戻しつつある印象で、降格圏に落ちる不安はかなり減少している(編集注:12月29日のサウサンプトン戦の勝利で、エヴァートンを抜いて15位に浮上)。
また元々地力がありながら今季は不振に陥っていたウルヴァーハンプトンも、12月15日にギャリー・オニール監督を解任し、ヴィトール・ペレイラをサウジ・プロリーグのアル・シャバブから引き抜く形で新監督に招聘すると、2連勝して降格圏から脱出。さらに、かつてバーンリーを何度もプレミアに残留させたショーン・ダイチ監督のエヴァートンもしぶとさに定評がある。となると、前出の昇格3チームが揃ってチャンピオンシップ(2部)に逆戻りするというシナリオが大きく浮上する。
ただし、まさに“サバイバル”といえるこの争いは、プレミアリーグの最低でも1億5000万ポンド、日本円にして約300億円という途方もないテレビ放映権料収入を保持するための戦いで、経済的には優勝争いよりも厳しい条件が突きつけられる。したがって1月の移籍解禁で思い切った補強も考えられ、現段階で崖っぷちに立たされているサウサンプトンだって残留を諦めることは許されない。
と、ここまで書き進めて、プレミアリーグは競馬と違い、シーズンが進むと20チームがいくつかの集団に分かれて、それぞれが独自のレースを形成することに改めて気付いた。
今季のプレミアリーグの場合は、リバプールという逃げ馬が優勢のなか、アーセナル、チェルシーという先行馬がどこまで追い込めるかという3頭による優勝争いがまず1つ。それにフォレストを筆頭に11頭に可能性が残されている欧州CL出場権争いと、これに並行してしのぎを削るヨーロッパリーグ&カンファレンスリーグの出場権争いの2つの混合レース。そして一流クラブのステータスと経済的な存亡をかけた残留争いが加わり、今後は4つに分かれたゴールを目指してレースが展開されることになりそうだ。
(企画・編集/YOJI-GEN)
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