超プロ野球 ULTRA 出場選手に聞く

DeNA・東克樹語る手負いの日本シリーズ、指笛騒動、新年の決意 「体感被打率は8、9割」天敵封じて200回狙う

加賀一輝

ベイスターズを日本一に導いた、エース・東の心のうちは? 【写真は共同】

 DeNAの「下剋上日本一」や、プレミア12における侍ジャパンの奮闘に沸いた2024年の野球界。オフに入ってもその熱は冷めやらず、新たな1年を迎えようとしている。

 そんな中、スポーツナビでは新年1月5日14時から読売テレビ・日本テレビ系で放送される『大和地所スペシャル 超プロ野球 ULTRA』の収録現場を取材。収録に参加する12球団計26人の選手にインタビューを行った。

 本稿ではDeNA・東克樹のインタビューの模様をお届けする。

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2024年は「投げました!」

 リーグ最多タイの26試合に先発。投げたイニング数は183回を数え、こちらは12球団最多。昨季の東はよく投げた、という印象を持つが、本人はどう捉えているのか。

「先発として役割を果たせたシーズンだったなと思います。イニングも一番投げることができたので、すごく充実した1年間を過ごさせていただきました」

 CSと日本シリーズを含めたら計194イニング。「本当によく投げましたね」と振ると、「投げました!」と屈託のない笑顔を振りまく。こちらもつい笑顔になる。

 しかも、チームは26年ぶりの日本一に輝いた。

「ベイスターズは日本シリーズからもなかなか遠ざかっていました。その中で日本一になれて、非常にいいシーズンを過ごせたかなと思います」

今だから明かせる“指笛騒動”の真相

 自身のベストパフォーマンスは、その日本シリーズから。

「やっぱり、日本シリーズの3戦目。肉離れからの復帰登板で、しっかりとチームに勝ちをもたらすことができた。そこはすごく印象に残っているというか、覚えていますね」

 CSファーストステージ初戦で痛めた左太もも裏は、まだ完治していなかった。チームは本拠地で連敗、重いムードが漂う中で敵地へ。負けたら王手をかけられる崖っぷちの一戦だ。東は「テーピングをガチガチに固めて、痛み止めを飲んで」大一番のマウンドに上がった。

 初回に1点を失い、その後も毎回走者を背負う苦しいピッチング。それでも最後は間違えず、追加点を与えない。

 そして6回裏、あの指笛騒動が起こる。

「あの回は山川(穂高)さんが先頭打者でした。山川さん、指笛上手いので、最初は自分でやったんかな?と思ったんですよね。自分を鼓舞するためにというか。でもパッと見たらやっていなくて、そこからもう一気に気になり始めてしまい、耳にすごく入ってくるようになって。このまま投げて打たれたら後悔するなと思って、一度審判の方に言おうと思いました」

 事の真相はこういうことだった。

 思わぬ“妨害”に遭いながらも、結果7回まで投げて1失点。10本の安打を浴びながらも無四球に抑え、怪我のことを思えば“大熱投”だったと言って良い。チームも東の“大熱投”に応えて4-1で勝利。ここから4連勝を決めて、日本一に駆け上がった。

 11月末の優勝パレードには、約30万人にも及ぶ大勢のベイスターズファン、横浜市民が駆けつけた。

「本当にたくさんの方がパレードに足を運んでくださって、『こんなにベイスターズファンっているんだ』っていうのを改めて思いました。こんなにたくさんの人にベイスターズが愛されて、応援されていることを改めて実感して。ファンの方々が笑顔になるような試合をすることが、僕たちの使命かなと思いました」

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著者プロフィール

1988年3月6日、愛知県生まれ。成蹊大学卒業後、一般企業を経て独立。ライティング、MCなど幅広く活動する。2016年〜23年まで『スポーツナビ』にて編集・編成を担当。在職中に五輪・パラリンピックへの派遣、『Number』『文春オンライン』等への寄稿を経験。趣味は草野球で、1週間で20イニング投げることも。

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