女子ダブルスの新・戦国時代を制するのは、どのペアか=バドミントン

平野貴也

女子ダブルスは、組み替えや新勢力の台頭で新たな戦国時代を迎える 【平野貴也】

 全日本総合バドミントン選手権が、12月25日に武蔵野の森総合スポーツプラザで開幕する。各種目の決勝進出選手および、大会後に更新される日本ランキングの各種目1位は、2025年の日本代表入りが決まる。特に注目されるのは、夏のパリ五輪後に主力に大きな変化が生まれた女子ダブルスだ。

パリ五輪の出場権を争った5ペアの3組が解消

 パリ五輪の出場権獲得レースでは、パリ五輪で銅メダルを獲得した志田千陽/松山奈未(再春館製薬所)の「シダマツ」が1番手。2大会連続の五輪出場を果たした松本麻佑/永原和可那(北都銀行 ※松本は11月にチームを退団、ほねごりとプロ契約)の「ナガマツ」が2番手。以下、東京五輪出場の福島由紀/廣田彩花の「フクヒロ」、櫻本絢子/宮浦玲奈(ヨネックス)、中西貴映/岩永鈴(BIPROGY)が後に続き、5組が五輪レースランク12位以内にひしめいた。しかし、五輪後に「ナガマツ」と「フクヒロ」はペアを解消。宮浦は6月に引退。5組のうち3組が、ペアを解消し、新たな歩みを始めている。

初優勝狙う「シダマツ」、五輪後の低迷から復調

年明けの1月に松山(右)が休養に入るが、その前にしっかりとエースの強さを見せつけたい 【平野貴也】

 依然として、志田/松山が筆頭格であることに変わりはない。10月以降はデンマークオープン、熊本マスターズジャパン、中国マスターズと3大会連続でベスト4入り。年間成績上位者が集うBWFワールドツアーファイナルズでは、パリ五輪金メダルの中国ペアを破って2度目の準優勝を果たした。

 五輪直後は、表彰等のイベントや取材対応などが増え、練習時間の確保は難化。満足のいく準備をできず、試合でも力を出し切れない状況に苦しんでいた。しかし、熊本マスターズの際に、志田は「(力はあるから)自分のできることを、気持ちが(上がって)うわーってならなくても、今の自分を受け入れて、冷静に、でもちゃんと出しきれれば勝ちはついてくると思って今回できたので、 これだというのが掴めた」と戦い続けるために自分を納得させる臨み方のヒントを得ていた。松山もワールドツアーファイナルズを終えて「五輪のときに比べてしまうと不安はいっぱいあるけど、自分が今できることでどこまで行けるか、楽しみにはしていた。その結果が準優勝だったので、少し自信になった」と話しており、好調時とのギャップに対する向き合い方が安定した印象だ。今大会では当然、優勝候補の筆頭。追われる立場の難しさはあるが、初優勝を狙う。

中西/岩永は欠場

今季、成績を上げていた中西(右)/岩永 【平野貴也】

 五輪後に勢いを見せていた中西/岩永は、3月のスペインマスターズ以降は、国際大会12大会で優勝が5回、ベスト4が3回と好成績を挙げた。課題だった守備が改善。8月のダイハツジャパンオープンでは、中西が「最近は、リードされていても違うプレーを選べるようになっている」と試合中の戦術変更に手ごたえを示していた。国内のS/Jリーグでは、エースペアの仕事を託されるようになった中で3戦全勝と結果を残しているが、12月21日に棄権が発表され、上位候補が1ペア欠けることとなった。

福島/松本の組み替えペアは、デビュー戦で国際大会を準優勝

組み替えてすぐに国際大会で上位に入っている福島(右)/松本 【平野貴也】

 パリ五輪後、最も大きな変化を見せているのは、福島/松本だ。これまで長くライバルとして対戦してきた2人が、11月からペアとして活動を開始。デビュー戦となった熊本マスターズジャパンでは、いきなり準優勝。翌週の中国マスターズでもベスト4と地力を示した。組んで間もなく、連係面のスムーズさは欠くが、前後を入れ替えても攻撃力が落ちないどころか、別の強みを持つ。熊本マスターズでは長身の松本が前に入って驚異的な高さで相手のシャトルを打ち落とし、中国マスターズでは、福島が前で左右に素早く動いて相手の返球コースを遮断した。全日本総合には主催者推薦で出場するため、予選からのスタート。しかし、日本ランキングで上位のため、本戦に進めば第3シードに入り、優勝候補の一角となる。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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