女子ダブルスの新・戦国時代を制するのは、どのペアか=バドミントン

平野貴也

混合複で五輪2大会銅メダルの五十嵐は、櫻本と躍進狙う

混合複で五輪銅メダルの五十嵐(右)は、櫻本とペアを組んだ 【平野貴也】

 もう一つ、注目の組み替えペアがある。混合ダブルスで渡辺勇大(BIPROGY)と組んで五輪2大会連続の銅メダルを獲得した五十嵐(旧姓:東野)有紗(BIPROGY)が、櫻本と組むペアだ。俊敏性と瞬発力に優れる五十嵐の前衛と、左の強打を武器とする櫻本の後衛の組み合わせは、高い攻撃力を誇る。攻撃に特化している印象だが、熊本マスターズでは志田/松山戦の第2ゲームで守備主体の戦い方に変えて善戦したように、レシーブから攻撃に持ち込む力も持っている。夏以降、すでにこれらのペア同士の直接対決も行われており、それぞれが、どのような対策を練るかも見どころとなる。

日本の課題、若手の台頭はあるか

石川(右)/古根川は、主力の欠場が目立った昨年の大会を、高卒1年目で準優勝 【平野貴也】

 ただ、上記ペアはいずれも、パリ五輪レース時からの主力選手。4年後のロサンゼルス五輪に向け、ベテランが組み替えによる刺激を得ながら現役を続行するのは、選手層に厚みを持たせる上で価値があるが、若手の突き上げが少ないのは日本の課題だ。福島は、国内リーグに後輩と組んで出場した際に「(ほかに)組み替えたペアも年齢が上の方になっている。この年齢でも続ける選手が多いのは、良いこと。ただ、正直(年齢が)下の子たちは、結構頑張らないといけないと思う。食ってほしい気持ちもあるし、食われないためにやっていきたい」と焚きつけた。

 日本B代表の石川心菜/古根川美桜(NTT東日本)は、高卒社会人2年目と若い。主力の欠場が相次いだ前回大会で準優勝。今度は、主力クラスへ挑戦する。同じくB代表の廣上瑠依/加藤佑奈(再春館製薬所)は、22歳の同級生ペア。今季後半、ともに後輩とのペアに組み替えてプレーすることで得た気付きを結果につなげたい。国内大会で代表勢に見劣りしない活躍を見せている大竹望月/高橋美優(BIPROGY)は、11月の熊本マスターズを高橋の負傷によって途中棄権。回復具合が気がかりだが、上位に挑戦する力を十分に持つペアだ。熊本マスターズで福島/松本に善戦した大澤佳歩(BIPROGY)/田部真唯(山陰合同銀行)のような伏兵の台頭もあり得る。

 大会は、初日の12月25日に予選を実施した後、本戦の組み合わせ抽選を行う。日本代表は、2024年の7組から2025年は6組に絞られる。代表入りをかけたサバイバルマッチとなる。新・戦国時代を迎えた女子ダブルスで国内最強の座を手にするのは、どのペアか。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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