「成熟」と「補強」で強さを取り戻したガンバ大阪 「青黒復活」の原動力は守備にあり
チームスタイルと補強の合致
ガンバ大阪の下部組織育ちの21歳FW坂本一彩、レンタル復帰から欠かせない戦力となっている 【(C)J.LEAGUE】
昨季、柏レイソルでプレーしていた山田康太は、先発時90分平均のプレス数が58.0回でリーグ1位を記録していた。青黒のユニフォームを身にまとった今季も山田はリーグ7位となる44.9回をたたき出しており、先鋒としての役割を十分に果たしている。
それ以上に忘れてはならないのは坂本一彩だ。武者修行から帰ってきたアカデミー育ちの21歳は、第2節のアルビレックス新潟戦を除くすべての試合に出場している。同プレス数は48.4回でチームトップ、リーグでも3位にランクイン。チームとしてのスタイルを遂行しつつ、キャリアハイの7ゴールを挙げるなど、なくてはならないアタッカーの1人に成長した。
中盤では鈴木徳真の加入が大きな安定をもたらした。今季、同じ大阪のライバルチームからやってきた背番号16は、過去に共闘した指揮官をよく知る貴重なプレーヤーとしてレギュラーの座を獲得。ボール奪取数220回とシュート関与パス数78本(3プレー以内にシュートに至ったオープンプレーでのパス)はボランチ出場時の選手の中でリーグ3位の数字を残しており、攻守で欠かせない選手となっている。
今季リーグ戦フル出場を続けるDF中谷進之介(中央)とGK一森純(左)。絶大な存在感と貢献度を示している 【(C)J.LEAGUE】
攻撃面では、ウェルトンが相手陣ペナルティエリア内へのドリブル成功数が26回でリーグ1位タイ、20ⅿ以上のボールキープであるキャリー数は50回でリーグ3位タイの数字を残し、加入初年度で見事にJリーグに適応、攻撃面で絶大な存在感を放っている。
ガンバの攻撃の象徴と言えば「宇佐美貴史」だが、Jリーグ復帰後どちらも最多となる11ゴール8アシストを記録している中で、昨季よりプレス数(先発時90平均:33.5回→37.7回)や相手保持時のスプリント数(同3.8回→5.4回)を増やしており、チームの勝利のためにハードワークを惜しまない献身的なプレーも光っている。
リーグ戦は残すところあと3試合。3位のFC町田ゼルビアとは勝点3差で、アジアへの切符をつかむことも十分可能だ。さらに、来たる11月23日には天皇杯の決勝が控えている。就任2年目でソリッドなチームを作り上げたポヤトス監督の下、9つの星を胸につける名門は久々のタイトルをつかめるのか、注目したい。