「PS得点圏打率.833」チャンスに強すぎる大谷翔平 勝負を決める本塁打の裏側【NLCS第3戦】
ドジャースのリリーフ投手、アンソニー・バンダは、渋い表情だった。「ブルペンには暖房も入っている。でも、そこにずっといると、肩を作り始める時に寒く感じるから、ある程度は外気に体を慣らしておく必要がある。その作業そのものが久々だから、そこが厄介かな」。
選手らは第2戦終了後、午後7時27分にロサンゼルス空港を出発。翌朝午前3時29分、ニューアーク空港に到着し、マンハッタンまでバスで移動。部屋に入ってベッドに横になれたのは、午前6時ごろか。午後4時35分から会見に応じた大谷翔平(ドジャース)は、「さっきまで寝ていた」と話し、実際、寝起きのような声だった。
「まだ今も眠い」
第3戦に向けては、「きょう、明日の睡眠が試合のパフォーマンスの中で大事」と話し、続けている。「質よりどれだけ寝たかを僕は気にしているので、寝れば寝るほど自分の中ではいい」。
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八回に飛び出した大谷の特大本塁打
最初の4打席は3打数無安打、1四球だったが、全て走者なしの場面。これでプレーオフに入ってから、走者なしでは22打数無安打となった。不思議なもので、大谷の目の前で打線が切れたり、本塁打が出たりして、ことごとく走者がいなくなる。
そのことは九番を打つキケ・ヘルナンデスも意識していた。「もちろん、塁に誰もいない場合と、いる場合の違いは知っていた。だから、なんとか翔平に打順を回そうと思っていた」。
よって、1打席、2打席と凡退したとき、「自分自身に腹が立った」と振り返っている。六回の3打席目も、「なんとか大谷に回そう」としてホームランを打ってしまったのは、ヘルナンデスらしい。
八回の4打席目は、ようやくヒットを放ち、スムーズに繋いだ。
1死一、二塁。走者なしの時とは対照的に、ポストシーズンに入ってから走者がいる場合は8打数6安打。得点圏では5打数4安打という大谷。史上初の「50-50」を達成した9月19日のマーリンズ戦から数えて、得点圏では19打数16安打(打率.842)で、さすがにいつまでも同じ傾向が続くとは思えなかったが、タイラー・メギルの2球目――内角低めのカッターを捉えた打球は、高々と右翼ポール付近に上がった。
入るのか? 切れるのか? 大谷も少しの間打席で体を傾けて打球の行方を追っていたが、着弾する前にフェアと確信したのか、三塁ダグアウトに向けて左手の人差し指を立てて、ゆっくりと走り出した。
打球はポールの上を通過しており、メッツがリプレイを求めたのは当然だったが、やがて一塁塁審のビル・ミラーが、クルクルと指を回した。
「通過地点は内側だったので、ホームランだなとは思っていました」
筆者の席はその逆――レフトポール際だったが、その上を打球が超えていくホームからの距離感は、写真からもイメージできるのではないか。
「翔平の打球は強いから、切れる前にスタンドに入ってしまう」
弱い打球であれば、スピンに負ける。しかし、115.9マイルという打球初速が、回転に負けない打球となった。