識者が選ぶ夏の甲子園ベストナイン ドラフト候補が揃う遊撃手で今大会最も輝いたのは…

西尾典文

超大型左腕の東海大相模・藤田(左)は、ドラフト上位候補にふさわしい見事なピッチングを披露。今大会は2年生の活躍が目立ち、関東第一の越後(右)ら5人がベストナインに【写真は共同】 【写真は共同】

 ついに決勝戦を残すのみとなった夏の甲子園。この大舞台で見せたパフォーマンスから、ライターの西尾典文氏に今大会のベストナインを選出してもらった。

ピッチャーは右投手と左投手を1人ずつ選出

 選抜優勝の健大高崎、準優勝の報徳学園など前評判の高かったチームの多くが大会序盤に姿を消し、例年以上に混戦という印象が強い今大会。ドラフト候補としての評価ではなく、あくまで今大会での活躍ぶり、インパクトを基準としてベストナインを選ぶと、以下の顔ぶれとなった。ピッチャーについては右投手と左投手を1人ずつ選出している。

右投手:坂井遼(関東第一3年)
左投手:藤田琉生(東海大相模3年)
捕手:熊谷俊乃介(関東第一3年)
一塁手:越後駿祐(関東第一2年)
二塁手:柴田元気(東海大相模2年)
三塁手:高崎亘弘(早稲田実3年)
遊撃手:藤本陽毅(京都国際3年)
外野手:中村龍之介(東海大相模2年)
外野手:佐藤隆樹(青森山田2年)
外野手:長谷川颯(京都国際2年)

捕手は関東第一の熊谷が高校ナンバーワンの箱山を上回る

関東第一の坂井は準決勝までの4試合で全てリリーフ登板。15回2/3を投げて失点0と素晴らしい投球を続け、チーム躍進の原動力に 【写真は共同】

 まず右投手は今朝丸裕喜(報徳学園3年)、高尾響(広陵3年)などドラフト候補も多かったが、今大会の安定感ではナンバーワンだった関東第一の坂井を選んだ。

 初戦の北陸戦では6イニングのロングリリーフで無失点。その後の3回戦、準々決勝、準決勝でも全てリリーフで登板し、0点に抑え込んでみせた。選抜当時と比べてストレートの勢いが明らかにアップし、最速は151キロをマーク。勝負所でギアを上げられるのも持ち味だ。プロ志望という話も聞くが、支配下指名の可能性もあるだろう。

 左投手は馬庭優太(大社3年)、中村心大(早稲田実2年)らも見事な投球だったが、1人を選ぶならやはり東海大相模の藤田になる。準々決勝で関東第一に競り負けたものの、3試合、21回1/3を投げて自責点はわずかに2。初戦の富山商戦では7回で13奪三振、無失点と圧巻の投球を見せた。

 球場表示は最速147キロだったが、NPBスカウトのスピードガンでは149キロも計測。198センチの長身でも制球力が高く、高い位置から落差のあるカーブ、チェンジアップを駆使するピッチングは安定感十分だった。進路については明言を避けたが、プロ志望届を提出すれば1位指名の可能性もありそうだ。

 捕手では高校ナンバーワンの呼び声高い箱山遥人(健大高崎3年)も選抜に続いて見事なプレーを見せたが、大会を通じてのパフォーマンスでは関東第一の熊谷がトップと判断した。素早いスローイングと安定した捕球は高校生ではトップクラス。北陸、明徳義塾、東海大相模という機動力のあるチームが盗塁0に終わったのも熊谷の存在が大きかったはずだ。また打撃でも、北陸戦では貴重な追加点をもたらすタイムリー、準決勝の神村学園戦では同点打を放つなど存在感を示した。

1/2ページ

著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント