夏の甲子園・注目プレーヤー厳選10人 高校最強投手&野手、超大型左腕、九州のスピードスター…

西尾典文

今夏の甲子園で必見の選手たち。高校野球に精通する識者が選んだ10人の顔ぶれは…… 【写真は共同、YOJI-GEN】

 8月7日に全国高校野球選手権が開幕する。出場49校の中には多くの魅力的な選手がいるが、ここでは特に注目したい10人を紹介。ドラフト上位候補に挙がる高校最強投手や超高校級スラッガー、圧倒的なスピードを持つ韋駄天、下級生の逸材など、夏の甲子園を大いに沸かせるであろう選手たちだ。

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今朝丸裕喜:報徳学園(兵庫)/3年/投手

県大会では尻上がりに調子を上げて、決勝では目を見張るピッチングを披露。甲子園では選抜大会からさらに成長した姿が見られそうだ 【写真は共同】

 今年の高校生ナンバーワンの呼び声高い大型右腕。春の選抜では愛工大名電、大阪桐蔭の強力打線を抑え込み、前評判通りの投球を見せて、チームを2年連続の準優勝に導いた。長身で、ボールのスピードがありながら高い制球力を誇り、鋭く落ちるフォークなど変化球のレベルも高い。すでに完成度は高いが体つきは細身であり、ここからまだまだ成長しそうな雰囲気があるのも魅力だ。

 今夏の兵庫大会では初戦こそ5回を投げて4失点と打ち込まれたが、その後の4試合はいずれも無失点、四死球0と好投。特に決勝の明石商戦では5安打完封と圧巻の投球を見せた。この夏は、春に果たせなかった全国制覇を目指す。

藤田琉生:東海大相模(神奈川)/3年/投手

2019年以来の夏の甲子園出場となる東海大相模のエース。この数カ月で加速度的に成長し、世代を代表する左投手に 【写真は共同】

 日本人離れしたスケールの大きさが魅力の超大型サウスポー。198センチという長身でありながら、体の使い方が上手く、バランスの良いフォームでしっかりとコーナーに投げ分けることができる。昨年秋までは140キロ程度だったストレートもこの夏はコンスタントに140キロ台後半をマークするようになるなど、驚きの急成長を遂げた。直球だけでなくカーブでもストライクが取れ、チェンジアップ、スプリットと落ちるボールにもバリエーションがあり、多彩な球種を操る。勝負どころではギアを上げて、球威で押せるのも強みだ。

 左投手でここまで上背があり、スケールと完成度を備えた存在は貴重。今大会でのパフォーマンス次第では、今朝丸と並ぶ評価を得る可能性があるだろう。

高尾響:広陵(広島)/3年/投手

甲子園は4季連続出場。同じU-18代表候補でもある只石とのバッテリーは高校球界を代表する名コンビだ 【写真は共同】

 実績はこの世代で屈指の実戦派右腕。入学直後から名門・広陵の背番号1を背負い、過去3度出場した甲子園では全て先発で7試合に登板し、4勝をマークするなど大舞台での経験は申し分ない。172センチと上背はないものの、躍動感あふれるフォームから繰り出す140キロ台中盤のストレートは勢い十分。走者を背負っても全く動じることなく、落ち着いたマウンドさばきが光る。

 この夏の広島大会では4試合、19回を投げてわずか1失点と抜群の安定感で4季連続の甲子園出場を決めた。体格的には大学や社会人を経由してプロ入りするタイプに見えるが、プロ志望であれば多くの球団が指名を検討するのではないか。

石垣元気:健大高崎(群馬)/2年/投手

切磋琢磨してきた同級生の佐藤が故障欠場。エースナンバーを背負って臨む今大会では大車輪の活躍が期待される 【写真は共同】

 来年のドラフトの目玉の1人と見られている本格派右腕。入学直後から同学年の佐藤龍月とともに投手陣の中心となり、今春の選抜でもリリーフ、先発とフル回転してチームの初優勝に大きく貢献した。選抜後も順調に成長を続け、夏の大会前の紅白戦では154キロをマーク。公式戦でも度々150キロ以上を計測しており、2年生ながらスピードに関しては高校球界ナンバーワンであることは間違いない。一方でスピードはありながらも、単調になって痛打を浴びるシーンが多いのは課題だ。

 佐藤が故障でメンバーを外れただけに、チーム内外からかかる期待は大きいが、それを乗り越えてさらに成長した投球を見せてくれることを期待したい。

箱山遥人:健大高崎(群馬)/3年/捕手

強肩強打に抜群のリーダーシップも持ち合わせる。春夏連覇を目指す健大高崎の太い柱だ 【写真は共同】

 選抜で主将としてチームを初優勝に導いた高校ナンバーワン捕手。素早い動きで勢いのあるボールを投げられるスローイング、木製バットでも軽々とフェンスを越えるバッティングはいずれも超高校級で、強肩強打という言葉がピッタリ当てはまる。

 タイプの異なる投手の持ち味をしっかり引き出すリード面もセールスポイントで、夏の群馬大会ではエースの佐藤龍月の調子が上がらないなかでも上手く投手陣を牽引してみせた。これまでに多くの捕手をプロに輩出してきた健大高崎でも、総合力では歴代最高という声も多い。春夏連覇を目指すチームのまさに大黒柱であり、他の選手への指示などプレー以外の面にも注目だ。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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