張本智和「悔いは残るけどこれがスポーツの素晴らしさ」 卓球男子団体、3大会連続のメダル獲得ならず

スポーツナビ

日本はフランスとの3位決定戦に、ゲームカウント2ー3で惜敗。張本は「今が1番スッキリしている」と前を向く 【写真は共同】

 パリ五輪の卓球男子団体3位決定戦が現地時間9日に行われ、日本は開催国・フランスと対戦。約3時間に及ぶ死闘の末、ゲームカウント2-3で敗れた。2016年リオ大会の「銀」、21年東京五輪の「銅」に続く、3大会連続のメダル獲得とはならなかった。

 第1試合のダブルスは、篠塚大登/戸上隼輔組がシモン・ゴズィー/アレクシ・ルブラン組と対戦するも1-3で敗戦。続く第2試合のシングルスでは、張本智和がシングルス銅メダルのフェリックス・ルブランとエース対決も、フルゲームの激闘の末に敗れた。

 追い詰められた日本だったが、シングルスの第3試合で戸上がF・ルブランの兄、A・ルブランに3-1で勝利。続く第4試合では再び登場したエース張本が、ゴズィーを3-1で破り土壇場で2-2のドローとした。命運が託されることとなった最終第5試合は、篠塚とF・ルブランの対戦。格上相手に1ゲームを奪った篠塚だが、最後は連続ポイントを奪われ力尽きた。

 現地情報を伝える、LINEオープンチャット「スポナビ 現地取材情報」では、試合後の張本のコメントを掲載。

篠塚が出場した第5試合が「1番感動した試合だった」

――お疲れ様でした。激闘だった試合を振り返って。

 もちろん、メダルを獲れなかったことは悔しいが、最後の篠塚(大登選手)の試合を見て、 本当にこの3年間頑張ったなって思った。篠塚が0対3で負けたらそんなにスッキリしなかったけど、 あれだけ格上に果敢に立ち向かって、最後の最後までもしかしたらって思わせてくれたのは、この大会の中で1番感動した試合だったかもしれない。

――後半の3~5試合の3人が非常に良い戦いをしたと思ったが。

(準決勝で逆転負けした)スウェーデンにされたことを自分たちがするしかないという気持ちが多分全員どこかであったと思う。僕が(第2試合で)負けた時点で(準決勝のスウェーデンと)同じ状況だったので、特に戸上がすごかった。前回はチャンスがなく負けた相手に対して、アウェイで勝ったので、今日1番頑張ったのは戸上だと思う。そこに僕は乗っかって、4試合目の勝てる相手に勝っただけなので。あそこ(5試合目開始時点)で2勝2敗で回せたのは、戸上の力が大きいかな。

――自身の2試合を振り返るとどうか。

 内容云々あるが、またこういう負け方をしてしまったかなって。(スウェーデン戦で自身が敗れた試合含めて)全部あと1点差や2点差。あと少しに見えるかもしれないし、まだたくさんあるかもしれないけど、そういうのも含めてちょっと笑ってしまった。「またこれか」と。でも、プレー自体は出し切れたかな。最後の1点が取り切れなかっただけで、95%ぐらいは出し切れたかなと思う。

――2回目の五輪が終わったが、今はどういう気持ちか。

 多分今が1番スッキリしている。帰国した後の(卓球)女子の取材だったり、今後のほかの競技の取材を見るたびに絶対悔しい思いは湧いてくるので。たくさんの方がメダリストになって、僕たちは獲れなかったけど、今だけで言えばすごくスッキリしている。メダルが獲れなかったし、一昨日(のスウェーデン戦で)あんな気持ちになったのに、こうやってスッキリした状態でパリを去れるのは、幸せなことなのかなと思う。

「今まで僕が勝ってきた試合の裏でも…」

――スウェーデン戦のショックな状態から、どのように気持ちを切り替えたか。

 今でもまだ切り替えられていない。あの時に戻れるなら戻りたいし、今日のこのアウェイの試合をしなくてもよかった。決勝で中国と楽しく試合ができたかもしれないと考えると一生悔いは残るが、これがスポーツの素晴らしさなのかなって。悔しがる分だけ喜ぶ人がいると思うので。

 逆に今まで僕が勝ってきた試合の裏でも、負けて涙をのんできた選手がたくさんいるので、負けがあるから勝った時に嬉しい。全部勝ってばかりじゃ楽しくないかなって、そう思うしかないので。とは言ってもやはりメダルを持って帰りたかった。負けた以上はそう考えるしかないかなと思う。

――悔しさや喜びを感じたこの五輪を今はどう捉えているか。

 スウェーデン戦、(準々決勝の)台湾戦ぐらいから、自分の信念のボロが出てしまった。どこで負けても気にしない、次の試合に集中するだけっていうのが台湾戦から少しだけ崩れてしまったかな。ちょっと前掛かりになってしまった。そこで見放されてしまったかな。最後まで貫き通すべきだったのか。でも、 あそこで(台湾の)林(昀儒選手)との負けを取り返したいって気持ちは間違ってなかったし、(スウェーデンの)モレガルドには勝てたので。自分の選択に後悔はない。自分が決めたことなので。

――10日、妹の美和さんが女子団体決勝戦に挑むが、どのような気持ちか。

 混合(ダブルス)でメダルを獲れなかった時点で兄妹メダルが危うくなったと正直思っていた。こうやって達成できなかったのは悔しいが、昨日(の準決勝ドイツ戦)も1人で自分の負けを取り戻していて素晴らしかったし、 1回負けたからこそ中国に向かっていける部分もあると思うので、本当に全力で頑張ってほしい。

 あとは金メダルの夢を託して、早田(ひな)選手、平野(美宇)選手、渡辺(武弘)監督なら達成できると思うので頑張ってほしい。
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