「パリの結果に下を向くべきではない」 星奈津美が考える競泳ニッポン復活の条件

田中凌平

“本当の五輪”を経験した日本の復活に期待

今大会の日本勢で唯一メダルを獲得した松下を筆頭に、平井、成田ら10代の注目選手の今後のさらなる活躍を期待したい 【写真は共同】

 パリ五輪を見て、あらためて前回の東京五輪が特殊だったなと感じました。自国開催で無観客だった東京五輪と、観客が埋まって大歓声の中でレースをするパリ五輪はまったく異なる環境です。東京五輪で銀メダルを獲得した本多選手が「身体がすくんでしまった」と言うように、東京五輪から引き続き2回目の出場となった選手は大きな差を感じたと思います。

 しかし、東京五輪は例外で、今大会が“本当の五輪”の雰囲気です。メンタルがうまく保てなかったとネガティブになるのではなく、本当の五輪を体験できたと前向きに捉えてほしいですね。特に今回は地元のレオン・マルシャン選手(フランス)への歓声はすさまじいものがありました。そうした“五輪の本物の熱狂”を感じながら泳げたことを糧にして、4年後のロサンゼルス五輪ではまた強い姿を見せてほしいですね。

 日本競泳界の発展にはファンの皆様の応援も含めた一体感、盛り上がりが欠かせません。現役選手の鍛錬はもちろんのこと、私たちOB/OGも競泳界を盛り上げるために、できる限りのサポートしたいと思います。そうした日本競泳界全体を取り巻く気運を高めることが、競泳ニッポンの復活の条件となるはずです。

星奈津美(ほし・なつみ)

【株式会社RIGHTS.】

高校1、2年生でインターハイを連覇し、3年時には日本選手権で高校新記録を出して北京五輪代表に選出された。その裏で、16歳で患ったバセドウ病に苦しみ一時的に競技を離れるも、難病を乗り越え2012年ロンドン五輪、2016年リオデジャネイロ五輪の女子200メートルバタフライでは2大会連続で銅メダルを獲得した。また、世界水泳ロシア・カザン2015で獲得した金メダルは、日本競泳女子初の快挙だ。現在は、全盲のパラ競泳・木村敬一選手にバタフライのフォームコーチを務めつつ、講演や水泳教室、アニマルドネーションの介在犬アンバサダー活動を行っている。

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著者プロフィール

東京都出身。フリーライター。ラグジュアリーブランドでの5年間の接客経験と英語力を活かし、数多くの著名人や海外アスリートに取材を行う。野球とゴルフを中心にスポーツ領域を幅広く対応。明治大学在学中にはプロゴルフトーナメントの運営に携わり、海外の有名選手もサポートしてきた。野球では国内のみならず、MLBの注目選手を観るために現地へ赴くことも。大学の短期留学中に教授からの指示を守らず、ヤンキー・スタジアムにイチローを観に行って怒られたのはいい思い出。

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