卓球・早田ひなが銅メダル獲得「本当によく頑張った、私の左手」 乗り越えた試練、木原美悠らのサポートにも感謝

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早田ひなが女子シングルス日本勢2大会連続となる銅メダルを獲得 【Photo by Michael Reaves/Getty Images】

 パリ五輪の卓球女子シングルス3位決定戦が現地時間8月3日に行われ、世界ランキング5位の早田ひなが、同8位の申裕斌(シン・ユビン)にゲームカウント4-2で勝利し、銅メダルを獲得した。第1ゲームを落とした早田だったが、その後3ゲームを連取。その後、第5ゲームを取られたものの、最後は粘る申を振り切り、表彰台入りを果たした。女子シングルスでは東京五輪の伊藤美誠に続き、2大会連続の銅メダル獲得となる。

 現地情報を伝える、LINEオープンチャット「スポナビ 現地取材情報」では、試合後の早田のコメントを掲載。

「神様に意地悪されたのかな」

負傷もあった中での銅メダル獲得は「金メダルを取るより価値がある」と早田は語った 【Photo by Michael Reaves/Getty Images】

――おめでとうございます。銅メダルを取った率直なお気持ちは?

(左腕を)怪我した時は部屋に戻っても1人でお風呂に入れない、左手が使えない、ドライヤーとかも何もできないという状況の中で、いろいろな方に支えていただいた。準決勝の後は朝4時までケアしてもらったり、もう本当に皆さんができることを全てやってくれて、ここまで戻ってくることができた。もちろん準決勝があのような試合になってしまったのはすごく悔しかったが、この状況でメダルを取れたというのは、金メダルを取るよりも価値のある銅メダルだと思う。

――第3ゲームは最後5連続得点があって、山場だったと思うが。

 あのタイミングで相手にタイムを取らせたということが自分の中では上出来だと思った。まだまだ自分の感覚も(怪我の影響で)戻っていないので、 それはそれでという感じで、本当に目の前のやるべきことに集中していた。

 あとはその次のゲームである4ゲーム目をどうやって戦うかを(第3ゲームで)試行錯誤しながら試していたような状況だった。でも、しっかり相手を見て冷静に戦うことができたので、あのゲームを取れて良かったなと思う。


――バックハンドがなかなか効かない中で、早いタイミングで崩してフォアハンドで決めていたように見えたが?

 相手もやはりメダルを取りたいと思っているので、申選手のプレーが全てゆるい感じになっていた。それもあって、自分のフォアで勝負していった。やはりバックを使うことで多少は腕の負担が大きくなるので、(フォア側に)回れるところは勝負して行き、相手に圧をかけていたという部分もある。

――この状況で怪我したことを恨んだりすることはあるか?

 この3年間の中で何かの行動が悪かったから、神様に意地悪されたのかなと。何が原因かは分からないけど、何かが悪かったんだろうなというのもあった。でも、逆に言うとまだ乗り越えられる試練を与えてくれたのかなとも思った。

 今日もほとんど試合前は全然練習できないような状況だったけど、やるべきことは最後までやり切りたいと思っていたし、最後までどんなことになっても諦めずにやるということだけは、ここ何日間か思って過ごしていた。そういうことを考える暇がないぐらいというか、周りの方が本当に必死に動いてくださったので、もうその方たちのために最後までコートに立ち続けたいなと思った。

「誕生日プレゼントで、ひなちゃんの銅メダルを見たい!」

負傷後は周囲から多くのサポートがあった。それもあってか勝利が決まった瞬間、早田は泣き崩れた 【Photo by Michael Reaves/Getty Images】

――この10年間、1番近くで支えてくれた石田大輔コーチへの思いは?

 銅メダルになってしまい、チームひなの皆さんやパリ五輪で一緒に金メダルを取るために頑張ってくださった皆さんには申し訳ないなと。「銅メダルですみません」というような気持ちなのだが、普通に行けば今日はもう「絶対に負け」というところから始まったので、たぶんこれから誰に会っても「銅メダルおめでとう」と言ってもらえると思うし、私は今できる最大限の恩返しができたかなと思う。

――このような怪我をする状況というのは、大会前は予想が難しかったと思う。その中で獲得した銅メダルの価値は?

 この状況で取った銅メダルは金メダルよりも価値がある銅メダルだなと思う。怪我はどうしようもないというか、誰も恨めない、誰も悪くないものなので、誰かを恨むとかもない。

 でも、今日も木原(美悠)選手が最後ユニフォームを取りに行って、もう急いで戻ってきてくれたり、今日は木原選手の誕生日だが「誕生日プレゼントでね、ひなちゃんの銅メダルを見たい!」と言ってもらえた。リザーブの難しさや、人の気持ちを考えて行動する難しさを私は東京五輪の時に経験したので、銅メダルを獲得できて木原選手に見せられることが本当に嬉しい。

――ここ数日間、非常に苦しかったと思うが、勝利が決まった瞬間はどういった感情が湧き上がってきたか?

「うん、本当によく頑張った、私の左手。よく頑張ったな」と、それしかない。左手にいろいろな人の思いが詰まっていたのかなと思ったので、そのいろいろな人のパワーが力に変わって最後決め切ることができたかな。

――怪我している中、支えになったのがドライブだと思う。ここまで積み重ねてきたドライブへの思いは?

 神様が意地悪してきたが、その大事な「フォアハンドドライブ」だけは残していてくれてたのかなと。フォアで最悪回り込むこともできるし、オールフォアで動くこともできるので、それだけは残してくれてありがたいなと思った。

――団体戦に向けた思いは?

 明日1日空くので、今日終わってからまたたくさんの方にケアしていただいて、すごく長い時間かけてたぶんサポートしていただくと思うが、まずは個人で銅メダルを獲得できたことは良かった。平野(美宇)選手と張本(美和)選手はまだメダルを持ってるわけじゃないし、そのメダルに向けて、自分はどうなってもいいと思っているので、とにかくメダルを取るためにやっていきたい。そして、3人で一致団結して金メダルを目指して頑張る。
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