“八村抜き“の影響は否めず、反省も多かったブラジル戦 それでも選手が「世界の差は縮まっている」と口にする理由
日本は第4クォーターの途中までブラジルと互角に渡り合った 【写真は共同】
8月2日に対戦したブラジルは、オリンピック最終予選でラトビア(世界ランク6位)を退けて勝ち上がっている。ただ、連敗していたチーム同士でもあり、日本にとってはもっとも手の届きそうな相手でもあった。ブラジルを下してグループBの3位に入れば「ベスト8入り」の目標達成に大きく前進するはずだった。
ただし八村塁がブラジル戦の直前に古傷の左ふくらはぎを傷めてチームを離脱。日本はチーム最高のタレントを欠いて、大一番へ臨むこととなった。
ブラジルが見せた3Pシュート攻勢
「チームに帯同したかったというところで、彼もすごく落ち込んでいました。チームと一緒に最後までいたかった様子がありました。僕たちは彼がどのタイミングで来ようが、チームにとってプラスしかないので『いつでも本当に気にせず帰っておいで』と言葉を掛けました」
日本は八村が参加しなかった2023年のワールドカップを3勝2敗で終え、「アジア最上位」に入ってパリオリンピックの出場権を48年ぶりに自力で得ている。特に1次ラウンドでフィンランドを下したことは、日本バスケの歴史に残る快挙だった。
もっとも32カ国が出場するW杯と違い、五輪の出場国はわずか12。世界ランキングが26位の日本にとって、相手はすべて格上といっていい。厳しい戦いとなることは大前提だった。
前半のスコアは44-55。ブラジルが強みとする3ポイント(3P)シュートを驚異的な確率で決め続ける展開だった。前半に限ると3P成功率は驚異の84.6%で、55得点のうち33得点が3Pシュートだった。
馬場はこう振り返る。
「普段ならもう少し意識して外のシュートを止められるのですが、(ブルーノ・)カボクロがすごく乗っていたので、(中に)意識がいってしまっていました」
ブルーノ・カボクロはこの試合でチーム最多の33得点を挙げ、インサイドプレイヤーながら3Pシュートを「4分の4」で決めている。日本戦の立役者は間違いなく彼だった。
トム・ホーバスヘッドコーチは少し呆れたような様子で、展開を振り返る。
「カボクロはもともとNBA選手で、すごく良いプレーヤーだった。彼も3点(シュート)が入ったし、全員の3点が入った」
日本が盛り返した理由と反省と
馬場雄大は過去2試合から出場時間を伸ばし、11得点と貢献している 【写真は共同】
もっとも八村不在の影響がなかったと言えば嘘になる。馬場はこう振り返る。
「ここ1カ月、塁と一緒に練習してきて、塁ありきのバスケットボールにもなっていたと思います。本当に積み重ねてきたところに塁の離脱があったので、やりづらさも正直ありました」
相手DFを引き付ける、連携でズレを作るといった「数字に出ない貢献」で、八村と同等レベルを他の選手に望むことは難しい。彼のインサイドでボールを預かる安定感が奪われたため、前半はペイントタッチ(ペイントエリアへのアクション)も減っていた。
そんな中で、後半は河村勇輝がゲームをコントロールした。
「相手がスイッチをして、自分の3ポイントを警戒してきたので、もっとドライブを増やして、ペイントアタックをしていこうと意識を切り替えました。ワイドオープンのスリーを演出できて、単発のシュートも減りました。後半のバウンスバック(回復)できた時間帯は、そこがうまく生きたと思います」
一方で23歳の司令塔は反省も口にする。
「塁さんがいることによって、ポストへボールを簡単に落とすことができていましたし、ズレが簡単に作れたところもあります。いない影響は大きかったと思いますが、だからこそ僕がポイントガードとして、もっとペイントアタックをしたりとか、ボールを落としていくようなコールを使ったりするべきでした。そういった修正が遅かったです」