「えっ、それだけ?」ファンもメディアも不満顔 今夏のドジャースのトレード戦略を考察してみた
大谷は「勝てそうで勝てないゲームが多い」という。ドジャースはいまが踏ん張りどきか 【Photo by Ronald Martinez/Getty Images】
もちろん今年は主力にけが人が続出。想定通りのメンバーで戦えたのは、シーズン序盤だけ。ムーキー・ベッツ、マックス・マンシー、山本由伸、ボビー・ミラー、ウォーカー・ビューラー。そしていま、フレディ・フリーマンが、子供の急病でチームを離れている。ただ、このところ、勝ったり負けたりが続いているのは、それだけでもなさそう。
ドジャースはこの1週間で2度も5点のリードをフイにした。
最初の試合は7月27日(現地時間、以下同)のアストロズ戦。六回表を終えて5対0としたが、八回に追いつかれ、九回にサヨナラを許した。
7月30日のパドレス戦では、初回に5点を先制。ところがその後、追加点が奪えない。2点をリードして九回を迎えたものの、ソロ本塁打2発で同点に追いつかれ、延長10回、またサヨナラ負けを喫した。勝ちパターンの継投が、いずれも機能しなかった。
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さらに八回、打撃では低迷の続くキャバン・ビジオがソロ本塁打を放ち、リードを2点に広げたときは、大谷も「(相手に)行きそうな流れをたぐり寄せた」と、一度は手放した流れを逆に引き寄せたと感じたほど。
ところが八回、マッチアップの関係で九回ではなく八回からマウンドに上ったダニエル・ハドソンが崩れた。7月30日は、アストロズ戦でサヨナラ本塁打を打たれたブレーク・トライネンが九回に2本のソロを浴び同点とされ、デイブ・ロバーツ監督の打つ手、打つ手が裏目に出た。
7月27日の試合後、大谷は「勝てそうで勝てないというゲームが多い。そういう意味ではもちろん、フラストレーションが溜まる」と話し、こう続けている。
「(いまが)踏ん張りどきだと思いますし、もう少しすれば、けがをしている選手たちも、帰ってくる時期なので、そこまでが踏ん張りどき」
その時点で、後半に入って6勝3敗。決して悪くなかったが、大谷は2度も「踏ん張りどき」という言葉を繰り返した。数字には現れない危機感を感じ取っていたのかもしれない。
必要なのは計算のできるリリーフ
ドジャースは7月30日のトレード期限当日に、タイガースから好投手ジャック・フラーティを獲得した 【Photo by Jason Miller/Getty Images】
ドジャースは先発としてジャック・フラーティ、ユーティリティとしてトミー・エドマン、アメド・ロサリオ、ケビン・キーアマイヤー、リリーフとしてマイケル・コペックを獲得したが、ピンポイント補強とはいい難く、むしろ、今後の火種さえはらむ。
先発に関しては、ミラー、ウォーカー、山本らけが人が遅かれ早かれ、復帰してくる。となると、必要なのはリリーフ。
ドジャースは開幕からクローザーを固定せず、エバン・フィリップス、ハドソン、アレックス・ベシアらを相手の打順や、状態を見ながら起用してきた。
ただ、いずれも登板過多気味。負担を減らすなら、あと2人は計算のできるリリーフが欲しかった。六回からハドソン、ベシアを投入した結果、ブレント・ハニーウェルを勝ちゲームの九回に投入しなければいけないような試合もあったのである。
確かに、パワー系のコペックを獲得したが、どこまで信頼できるか。元々彼はトッププロスペクトとしてMLB入りしながら、先発としては結果を出せず、今年からリリーフに回った投手。ドジャースデビューとなった7月31日の試合では三者連続三振とパドレス打線を圧倒したが、僅差の状況でマウンドを任せられるのか。9セーブを挙げているが、セーブ失敗も5回。2勝8敗、防御率4.63はなんとも微妙だ。
ちょうど昨日まで対戦していたパドレスが、18セーブ、防御率1.18のタナー・スコットと、2022年以降170試合に登板し、164回2/3を投げ、防御率2.30のジェイソン・アダムをトレードで獲得したが、ドジャースに必要なのは彼らのようなリリーバーではなかったか。