慶應高校野球部―「まかせる力」が人を育てる―

慶應高を蘇らせた上田誠監督はどんな人物? 「軍隊式」指導者だった過去も…

加藤弘士(スポーツ報知)
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【写真は共同】

「高校野球の常識を覆す!」を合言葉に、慶應高校野球部は107年ぶりに全国制覇を成し遂げた。彼らの「常識を覆す」チーム作りとは、どんなものなのか? なぜ選手たちは「自ら考えて動く」ことができるのか? 選手、OB、ライバル校の監督等、関係者に徹底取材。見えてきたのは、1世紀前に遡る「エンジョイ・ベースボール」の系譜と、歴代チームの蹉跌、そして、森林貴彦監督の「まかせて伸ばす」指導法だった。

 歓喜にわいた全国制覇から1年、慶應高の歴史・強さにせまった書籍『慶應高校野球部:「まかせる力」が人を育てる』(加藤弘士著)から一部を抜粋して掲載します。

上田誠、監督への道のり

 慶應高校野球部の歴史を上田誠抜きに語ることはできない。

 恩人である前田から授けられた「エンジョイ・ベースボール」を高校野球の世界で実践し、2005年には45年ぶりのセンバツ甲子園へと導き、8強入り。2008年には春夏連続で甲子園に出場し、選手権大会では優勝した1916年以来92年ぶりの「夏3勝」を挙げた。1990年秋に監督就任。その一期生が森林だ。

 上田は懐かしげに言う。

「前田さんから言われましたよ。『君が高校野球を改革しなさい。大学は僕がやるから』ってね」

 強烈な個性で慶應高校を再び強豪へと甦らせた上田とは、どんな人物なのか。
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著者プロフィール

1974年4月7日、茨城県水戸市生まれ。水戸一高、慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、1997年に報知新聞社入社。2003年からアマチュア野球担当としてシダックス監督時代の野村克也氏を取材。2009年にはプロ野球楽天担当として再度、野村氏を取材。その後、アマチュア野球キャップ、巨人、西武などの担当記者、野球デスクを経て、2022年3月現在はスポーツ報知デジタル編集デスク。スポーツ報知公式YouTube「報知プロ野球チャンネル」のメインMCも務める。

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