花咲徳栄、伝統の強打は健在 個性派集団が同じ方向を向いて2度目の日本一へ

大利実

「スタンドから下」で野球をやる

4番の石塚を中心とする強力打線が売りだが、ドラフト上位候補と言われるその注目のスラッガーは投手陣がカギを握ると話す 【YOJI-GEN】

 石塚に夏のキーマンを聞くと、「バッテリーを中心にした守り。特に投手陣には期待したい」と、エース格の上原の名が挙がった。

 上原は昨秋までリリーフを務めることが多かったが、春から本格的に先発に回っている。

「これまでの試合は、『ピッチャーで負けた』と言われることが多いので、夏は自分たち投手陣がカギを握っている。ピッチャーがゼロに抑えれば負けることはない。夏はピッチャーで勝ちたい。自分がすべて先発するぐらいの気持ちで練習に取り組んでいます」

 優勝候補として注目が集まる夏。一投一打に観客の視線が注がれ、歓声があがることもあれば、ため息が漏れることもある。高校生にとってはなかなか経験できない雰囲気の中で、力を発揮していかなければいけない。

 だからこそ、岩井監督が毎年のように送るメッセージがある。

「スタンドから下で野球をしなさい。目線を上げず、音が聞こえないぐらい集中して野球をやろう」

 恐怖や緊張を感じやすい夏だからこそ、同じ方向を向いて、“全員”で戦い抜く。目指すのは甲子園、そしてその先にある2度目の日本一だ。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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