水と塩だけじゃ防げない!医師が教える「本当の熱中症対策」

MELOS -メロス-
「水分を摂ればいい」「塩分を摂ればいい」といった断片的な知識では、熱中症は予防できません。

熱中症になりにくい身体を作るための長期的な栄養対策と、いざ熱中症リスクが急激に高まる時期に意識したい短期的な栄養対策を、大正製薬の調査リリースより解説します。

文中の解説は、済生会横浜市東部病院 患者支援センター長/周術期支援センター長/栄養部部長で医師の谷口英喜先生です。

【MELOS】

暑くない時期からやっておくべき食事対策

●たんぱく質を摂る
「体内の水分は、約半分の量が筋肉に貯蔵されます。そのため、筋肉量を増加させるたんぱく質を積極的に摂取して身体を動かし、長期的に筋肉が維持できるようにすることが重要です。また、膠質浸透圧(※)を維持するためにも、たんぱく質が必要になります。とくにロイシンというアミノ酸は筋肉の合成を促す効果が高いので、ロイシンを豊富に含む肉や魚を積極的に食べましょう」
●タウリン
「また、暑熱順化のためには、タウリン、ビタミンCも重要です。魚介類や栄養ドリンクに豊富なタウリンは筋肉疲労を回復する効果でも有名ですが、身体のさまざまな機能を調節する働きがあることがわかっています。近年、深部体温を下げる働きがあることも研究結果からわかっており、熱中症対策として意識したい栄養素です」
●ビタミンC
「ビタミンCには抗酸化作用があり、体内の活性酸素を減らすことで細胞を守り、炎症を軽減し、暑熱順化をサポートする役割を果たしてくれます。タウリンもビタミンCも水溶性なので、魚介類や野菜を煮てスープのようにしたお料理を汁ごといただくのは、食事からのたっぷりの水分摂取にもつながり非常におすすめです」

いよいよ猛暑突入! どんな栄養を意識したらいい?

●ナトリウム
「ナトリウムは塩に含まれる栄養ですが、ナトリウムを適度に摂取しつつ水分補給をしないと体内には吸収されにくく、また残りにくいのです。水だけを多量に摂ると、いわゆる水中毒となり、体内の塩分濃度が極端に下がってしまうと低ナトリウム血症を起こすリスクもあります。逆に塩分のみで水分を摂取しないことも水分の実質的な補給に繋がらずに危険です」

【MELOS】

「塩飴だけ、梅干しだけではなく、必ず塩飴、または梅干し1つにコップ1杯の水分をあわせて摂ることを忘れずに。真水だけを1時間に1リットル以上飲むと危険です。必ず塩分が含まれた水分か食事とあわせて摂るようにしましょう」

●カリウム
「野菜や芋類、藻類に豊富なカリウムは尿を出しやすくし、体温を下げることに役立ちます。緑黄色野菜や豚肉に豊富に含まれるビタミンB1は熱中症の症状を緩和させてくれます。暑さによる疲労感をやわらげ、食事から摂取した糖質を体内で燃やして効率的にエネルギーを作ることで必要な身体作用をサポートしてくれます。これらをいっぺんに摂ることができるのが、ビタミンB群もビタミンCも豊富に含む、キウイをはじめとする果物やトマト、きゅうり、かぼちゃなどの夏野菜です。豚肉を入れた夏野菜カレーなどもおすすめのメニューです」
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