YouTubeで深めたファンとの絆 大声援を全米OP制覇に繋げたブライソン・デシャンボー

北村収

YouTubeで自分がどんな人間かを知ってもらえるようになった

優勝会見で記者からの質問に答えるデシャンボー 【Photo by Andrew Redington/Getty Images】

 優勝会見では、現在のファンとの良好な関係について質問が飛び、「YouTubeのおかげで、私がどんな人間かを知ってもらえた」と語る。彼のYouTubeチャンネルは約72万人の登録者を誇り、「私が本当の私であることを示す素晴らしいプラットフォームだ」と説明した。

 YouTubeなどでつながったファンが、全米オープンでの勝利に欠かせなかった。「ファンの人たちが、今日の私を後押ししてくれた。今回も(18番ホールで)バンカーに入れたにもかかわらず、ファンが僕の名前を呼んでくれた。だから、あの1打が生まれたんだ」と話し、ファンの大声援が全米オープンでの勝利に大きく寄与したことを強調した。

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PGAツアーとLIVゴルフの問題については「早く解決したい」

最終日、18番ホールのバンカーショット。ファンの声援がスーパーショットを生んだ 【Photo by David Cannon/Getty Images】

 デシャンボーはLIVゴルフの選手だ。昨年6月にPGAツアーとLIVゴルフの統合との話しが始まったとされたが、具体的なプランは何一つ決まってなく、分断は続いている。この問題の関しては、「率直に言って、早く解決したい。分断されたゴルフ界の溝を埋めたいです。私がしたいことは、ゴルフを楽しんでいただき、ゴルフのためにベストを尽くし、ファンに素晴らしいエンターテインメントを提供することですし、ファンはそれを望んでいます。過去のことは水に流して解決したいです。多くのポジティブさを生み出すこの素晴らしいゴルフを、あるべき場所に戻して解決したいです」と話した。

全米OP優勝後、暗くなるまで続いたメディア対応

 優勝会見の後、米国などで視聴できるテレビのゴルフチャンネル(日本では視聴できない)に出演。コメンテーターとともに勝利を振り返った。

 すでに暗くなっていた18番ホールのバンカーでは、ゴルフチャンネルの番組内のレポートでPGAツアー3勝のジョンソン・ワグナーがデシャンボーのショットを再現。撮影用に照明で明るくしている中で、ボールはグリーンを大きくオーバーした。そこに突然、トロフィーを抱えたデシャンボーが登場。二人は最終ホールでのプレーについて少し話をした後、ワグナーはデシャンボーからアドバイスを受け2度目の挑戦。そのショットは60センチについた。このスーパーショットにはデシャンボーも大喜びし、トロフィーをワグナーに手渡すパフォーマンスも! 試合中も試合後も、ギャラリーとメディアへの対応をしっかりと行い続けた。

 他のどの選手よりもファンやメディアとの関係を重視し、ゴルフというスポーツの素晴らしさを広めるために努力を惜しまないデシャンボー。彼のその姿勢は、今後のさらなる勝利だけでなく、PGAツアーとLIVゴルフの問題解決、そしてゴルフ界全体の発展にも大きな影響を与えることになるかもしれない。デシャンボーの卓越したプレーとパフォーマンスは、ゴルフ界の未来を切り開く期待を担っている。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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