名古屋ダイヤモンドドルフィンズの齋藤拓実が4月・5月の月間MVPに…日本人の受賞は今季初

大島和人

ドルファミへ感謝「皆さんと目標を達成できて、すごく特別なシーズンになりました」

司令塔としてもチームを引っ張った 【(C)B.LEAGUE】

――4月・5月の12試合のなかで、特に印象深い試合はありますか?

 本当に難しいですね。最後に佐賀で地区優勝が決まった時はすごく嬉しかったですし、琉球との連戦もすごく記憶に残っています。試合の内容では水曜アウェーの琉球(4月10日/98-95で勝利)です。オーバータイムに入って、相手もこっちも出し尽くして、シーズンをとおしてベストに近いゲームだったと思います。

 ただ最後に6連勝して、逆転で地区優勝を決めた佐賀戦(5月6日/80-68で勝利)は特別でした。終わった時は「スタート地点に立てた」、「ここから」というような引き締まった気持ちがありましたし、喜びはもちろんありました。地区優勝は名古屋Dとしても初めてなので、歴史をみんなで作り出せたという部分でいくと、やはり佐賀戦かなと思います。

――優勝が決まったのは第2戦ですが、81―77で勝利した5月5日の第1戦もギリギリまでわからない展開でした。

 勝つことはできましたが、琉球と広島が直接対決をしていて、他力本願の部分もありました。日程も少しズレていて(琉球と広島は5日、名古屋Dは6日に最終戦が組まれていた)、最後の最後で「勝ったら優勝」という一番シンプルな形になって、プレッシャーを跳ね返して勝てましたが、(その状況が)すごく良かったと思います。

――島根、琉球とチャンピオンシップ出場や順位を争う相手にいわばチャレンジャーとして4連勝して、最後に佐賀戦というのはメンタル的な難しさもあったと思います。

 もちろん、そうだったと思います。チーム全員が佐賀に対してのリスペクトを持って、簡単に連勝できると油断している選手もいなかったはずです。ただ前日の練習で「集中していないぞ」という話はしました。試合の当日に喝を入れても、遅い気がしたんです。僕から「試合当日からの準備ではなく、前日練習が終わった今から準備しておかないと、FE名古屋、大阪のときみたいにコロッと負けてしまうよ」という話をしました。「島根戦からの連勝も、チームとしてだけでなく、個人の準備をしっかりしていたからだ」という話もしました。直接対決で4連勝していても、佐賀に連勝するのは本当に難しいことだよ……としっかりチームに伝えられました。ポイントガードとして、しっかりリーダーシップをとって、コミュニケーションができたのも、大切なことだったと思います。

――今シーズンのチームとご自身について、自己採点をするなら何点ですか?

 チームとしても個人としても同じで、(10点中)7点くらいです。

――足りない3点はどういうところですか?

 やっぱりチームとしてのムラがまだあったこと、立て直すことはできたけど……という部分です。12月も負け越していますよね。個人のパフォーマンスもムラがあって、過去数シーズンに比べると、今シーズンはかなりターンオーバーが多くなっています。ゲームクロージングの部分も、まだ課題の残るシーズンでした。今シーズンは自分個人のパフォーマンスが、かなりチームに直結していたシーズンだったとすごく思うので、同じ点数をつけました。

――最後は日本のバスケットボールファン、ドルフィンズファミリーにメッセージをお願いします。

 昨年の夏にワールドカップが開催され、今シーズンはバスケットボールが注目される年になりました。そういったなかで、ドルフィンズも初めて地区優勝することができて、歴史を作れました。いろいろな方がバスケットボールに興味を持ってくれて、お客さんも増えたタイミングで、地区優勝ができた。ドルフィンズはこういうチームだと証明できて、僕たちにとってもすごく大きな意味を持つシーズンだったと思います。最後の1試合までどうなるかわからない、見ている方からしたら、面白いシーズンだったはずです。まあ、やっている側はすごくしんどかったですけど……(苦笑)。

 Bリーグは何かに向かって頑張っている人に勇気、元気を与える力を持っています。それが今シーズンで終わらず、オリンピックをとおしてさらにバスケットボールが注目されて、Bリーグがもっともっと盛り上がってくれればいいなと願っています。

 最後はドルフィンズファミリーの皆さんに向けてです。西地区優勝はドルファミの皆さんの声援がなければ、成し得ることもできなかったものです。自分たちもシーズンがどうなるかわからない、チャンピオンシップに出られるかどうかわからないと感じているなかで、きっとドルファミの皆さんも、そう感じる時期があったと思います。でも本当に最後の1試合まで、どんな時も諦めずに、ずっと一緒に戦って、応援し続けてくれた。それを選手の1人として強く感じました。ドルファミの皆さんと目標を達成できて、すごく特別なシーズンになりました。

ファンへ感謝の思いを語った 【(C)B.LEAGUE】

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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