福永祐一著「俯瞰する力 自分と向き合い進化し続けた 27年間の記録」

福永祐一が騎手人生最大の絶望を味わった13年ダービー 「これ以上難しい馬は現れなかった」と振り返る名馬は?

福永祐一
アプリ限定
 誰もが「天才ジョッキー」と評する父・福永洋一が果たせなかった日本ダービー制覇、無敗のクラシック三冠。まさに全盛期のトップジョッキーが突如、調教師に転身――。その大きな原動力になったものとは?
 自身の才能を見極め、己と向き合い続けた男の「思考」と「決断」の軌跡。

 福永祐一著「俯瞰する力 自分と向き合い進化し続けた 27年間の記録」から、一部抜粋して公開します。

【写真は共同】

勝てない自分への言い訳──「ダービーなんて価値がない」

 その後もダービーの舞台には毎年のように立たせてもらい、エイシンチャンプ(2003年・5番人気10着)、マルカシェンク(2006年・5番人気4着)、セイウンワンダー(2009年・3番人気13着)など上位人気馬で出走する年もあったし、2007年にはアサクサキングスで2着(14番人気)、2012年のワールドエースでは1番人気も経験した(④着)。

 こうしてダービーでの経験値は着々と増えていったし、父親が勝てなかったレースということで、ダービーの時期になると毎年のように「福永家の悲願」といったフレーズが使われた。

 だが、当時の自分は、インタビューなどで勝ちたいレースのような話題になると、「有馬記念を勝ちたい」とか「ジャパンカップを勝ちたい」と言ってみたりなど、ダービーに対する思いを口にすることはなくなっていた。

 今だから明かせる話だが、それどころか、雑談をいいことに「世界的に見れば、もはや日本ダービーなんて価値がない。だから、別にダービーなんて勝たなくてもさ」なんて言う始末。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント