ドラフトの目玉・関西大の金丸夢斗 早川隆久、武内夏暉らの大学時代と比べても成績が突出
左打者の内角への制球力と奪三振能力が出色
侍ジャパンの井端監督も高く評価する。3月の欧州代表戦では第2戦の先発を任され、2回を投げて4奪三振、被安打0という圧巻の投球を見せた 【写真は共同】
特に驚かされるのが内角へのコントロールだ。左投手の場合は、“クロスファイヤー”と言われる右打者への内角のボールを操れる投手は比較的多いが、逆に左打者の内角に狙って速いボールを投げられる投手はプロでも決して多くない。しかし金丸は腕を振って150キロ前後の速いボールを左打者の内角にねじ込むように投げ込むことができるのだ。
侍ジャパンの井端弘和監督は、以前に関西学生野球のリーグ戦の解説を務めており、初めて金丸の投球を見た試合の初球が左打者の内角への149キロのストレートだったことに驚かされたという話をしていたが、これは金丸の高い制球力を裏付けるエピソードと言えるだろう。
もう一つ金丸が高く評価されるポイントとしては、三振を奪う能力が年々高くなっていることだ。2年秋までに先発した9試合で二桁奪三振を記録したのは1試合だけだったが、3年春以降は13試合に先発して9度も記録している。大学生投手の場合、リーグ戦で何度も同じチームと対戦するということもあって、下級生の頃に結果を残すと、上級生になって他チームから徹底的に研究されて苦しむというケースが非常に多いが、金丸はそんな厳しいマークのなかでも三振数を増やしている。この事実は金丸が大きく成長してきている証と言えるだろう。
名実ともにこの10年で最高の左腕になるには
国学院大から西武入りした武内は、大学最終年に目覚ましい活躍を見せて評価を大きく上げた。金丸はすでに高評価を得ているが、残りの大学キャリアでそれを絶対的なものにしたい 【写真は共同】
3年秋までの6シーズンで全国大会に出場したのは2年秋の明治神宮大会だけ。この大会では初戦で東農大北海道オホーツクを相手に7回を投げて無失点、8奪三振という見事な全国デビューを果たしているが、チームは続く試合で優勝した明大に敗れたこともあって、そこまで強いインパクトを残すことはなかった。また実力的には昨年の大学日本代表に選出されるだけのものが十分にあったものの、春のリーグ戦の最後に膝の故障を発症して候補にも選ばれなかった。
そしてもう一つ、金丸に求められるのが最終学年でのハイパフォーマンスだ。
早川は先に紹介した数字の通り4年間の通算ではそれほど目立った成績ではないが、4年秋には6勝0敗、防御率0.39という圧巻の数字を残している。隅田は4年春に出場した大学選手権で初戦敗退に終わったものの上武大を相手に14奪三振、1失点完投と見事な投球を見せ、武内も4年時はリーグ戦、大学日本代表でフル回転の活躍だった。金丸もすでにプロから高い評価を得ていると見られるが、名実ともにこの10年でナンバーワンとなるためには、大学最終年に盤石の成績を残す必要があるだろう。
今春の関大は京大を相手に連敗スタートとなり、早くもリーグ戦優勝に暗雲が垂れ込めている。しかし金丸にとってはまだまだ挽回のチャンスはあり、順調にいけば大学日本代表にも選ばれる可能性が極めて高い。今後のリーグ戦、そしてその後の国際大会でも改めてその能力の高さを示す投球を見せてくれることを期待したい。
(企画・編集/YOJI-GEN)