松山英樹はパターの修正でビッグスコアも可能 佐藤信人プロが語るマスターズウィナーの共通点とは?

野中真一

マスターズ初日は4オーバーと出遅れた松山英樹。2日目に巻き返すカギは? 【写真:青木紘二/アフロスポーツ】

 4月11日(木)に開幕した「マスターズ」(ライブ配信はU-NEXT独占、放送は地上波TBS系列、BS-TBSでは4日間連日生中継)。初日は雨天の影響でサスペンデットとなったものの、ほとんどの選手はホールアウト。日本期待の松山英樹は4オーバー(暫定75位タイ)と出遅れてしまったが、初日の結果と2日目の見どころについて佐藤信人プロに話を聞いた。

2日目の松山英樹はかなり攻めてくる

初日はパターでリズムがつかめずに出遅れた松山。佐藤信人プロはパティングの出来次第で十分に巻き返しは可能と分析する 【写真:ロイター/アフロ】

――今シーズン好調の松山英樹選手が出遅れてしまった要因は何でしょうか?

 すごく良いコンディションでマスターズを迎えていましたし、ドライバーもアイアンもショットは悪くありませんでした。ただ、初日に関してはショットとパットが上手く噛み合わなかったなという印象です。前半の3番、4番ホールでバーディパットのチャンスがあったのですが、2つ連続して外してしまった。特に4番ホールは難しいパー3でティショットを約1メートルにつけました。そのパットを決められなかったことが流れを悪くしたと思います。

――後半に入ってからも苦しい展開が続きました。

 スコアボードを見ても、上位の選手がスコアを伸ばしていたことはわかっていたと思います。だから13番パー5でもツーオンを狙ったのですが、届かずにクリーク(小川)につかまってしまった。16番でようやく初バーディが来ましたが、終盤の17番、18番で連続ボギーという本当に流れが悪い1日になってしまったと思います。本人としても「何で4オーバーなんだろう」という1日だったと思います。

――雨や風の影響は?

 雨でスタートが2時間くらい遅れましたが、予報ほどすごい雨ではありませんでした。ただ、グリーンは例年のオーガスタに比べるとソフトコンディション。昨日までの練習日とはスピードが違っていたと思います。スコアに影響したのは雨よりも風です。オーガスタは森に囲まれたコースなので、風がトリッキーで読みにくい。7番ホールでは松山選手がセカンドショットを打った直後に突風が舞ってしまって、バンカーに入れてしまう不運もありました。

――2日目にスコアを伸ばすポイントは?

 おそらく2日目の松山選手はかなり攻めてくると思いますので、グリーン上のパフォーマンスが良くなればビッグスコアも期待できるでしょう。

マスターズは初日のスコアがものを言う

初日から「65」のビッグスコアでトップに立った飛ばし屋のデシャンボー。シェフラーの追撃を振り切ってマスターズ初制覇なるか? 【ロイター/アフロ】

――初日はブライソン・デシャンボーが7アンダーでトップに立ちました。

 デシャンボーはメジャーチャンピオンで実力者ですが、今年のLIVゴルフでは決して調子は良くなかった。マスターズの初日が今シーズンのベストパフォーマンスだったと思います。デシャンボーは世界トップクラスの飛ばし屋なので、ドライバーの飛距離を生かしてスコアを伸ばしてきました。雨でグリーンが柔らかくなっていたので、強いボールを打つデシャンボーでも2打目を止めやすかったのもプレースタイルにマッチしていたと思います。雨天を考慮して初日はピンポジションを甘めにしたことも自己最高の「65」につながったと思います。

――2位には6アンダーのスコッティ・シェフラーがつけています。

 初日のプレーを見ても、やはりスコッティ・シェフラーが大本命だなと思いましたし、優勝の可能性はさらに高くなったと思います。6バーディ・ノーボギーの内容はパーフェクトでした。同じ組でプレーしたローリー・マキロイも「決してスーパーショットでスコアを伸ばしているわけではなくて、淡々と安定したプレーをしていて、上がってみたら6アンダーだった」とコメントしていますが、そこがシェフラーの強さだと思います。マスターズでは初日のスコアがすごく重要です。

――初日のスコアが重要と言うのは?

 2005年以降のマスターズを調べてみると、初日に上位に入っている選手が4日間を通して、優勝争いをしています。優勝した選手はほとんどが初日からトップ10に入っている。昨年優勝したジョン・ラームは初日トップタイ、2022年優勝のシェフラーも初日が3位タイ、2021年に優勝した松山選手も初日2位タイ、2020年優勝のダスティン・ジョンソンは初日トップタイでした。つまり、その年のオーガスタと相性がいいかどうかは初日のスコアで、ある程度わかるのです。

――グランドスラムを狙うマキロイも初日の重要性を語っていました。

 ローリー・マキロイは何年も前から初日が大事であることを知っているから、初日にすごく気合いを入れていますが、それが空回りしてしまうときもありました。今年は開幕前日の水曜日はパー3コンテストに出場せずにアウトコースをじっくり回っていました。結果は1アンダー(暫定17位タイ)だったので、まずまずのスタートだったと思います。17番のボギーがもったいなかったのですが、プレー内容的には3アンダーくらい出てもおかしくなかったと思います。

――注目のタイガー・ウッズは1アンダー(13番ホールアウト後にサスペンデット)でした。

 予想以上に良いプレーをしていましたね。スイングも良かったし、スピード感もキレもあった。11番や12番のアプローチはタイガーならではのタッチで素晴らしかったですね。さきほどマスターズでは初日からトップ10に入っている選手が優勝する可能性が高いと言いましたが、唯一の例外がタイガー・ウッズです。2005年には初日2オーバー(32位タイ)から逆転優勝をしています。初日のプレーを見ていると、体の調子さえ悪くなければ、最終日まで上位でプレーする期待が持てます。2019年も初日2アンダーから劇的な復活優勝を飾りましたが、そのときの雰囲気に近いと感じました。

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