吉井理人『聴く監督』

ロッテを常勝軍団に変えたい吉井理人 野球界の常識から逸脱していても積極的に取り組みたい改革

吉井理人

目指すものは過程ではなく結果

 ここに記した様々な取り組みが、2024年のロッテにどのような変革をもたらすのかは未知数だし、僕がその変革をどこまで見届けられるのかも分からない。ただ新しいものを導入することで、チーム、そして選手たちがどんな化学変化を起こすのか、楽しみで仕方がない。

 このチームは若手主体のチームで、何かの拍子に一気に成長しそうな選手がたくさんいる。いろいろ試していく中で、多種多様なチャンスを選手たちに与えられればと考えているし、そのきっかけを少しでも示せるように、もっと貪欲にチャレンジしていきたい。

 また、2023年に監督として選手と時間を共有し、彼らと対話を続けてきたことで、すでに少しずつ変化が始まっていると思っている。その分2024年の選手たちへの期待度も自然と高まっている。先に掲げた新たな文化の構築は、絵空事のように聞こえるかもしれないが、選手たちが着実に変化していけば不可能ではないはずだ。

 これまで野球界に長く身を置いてきたが、周りの人たちから多少、異端児扱いされている面は否めない。旧来の常識にとらわれない僕の言動が、型破りに見えてしまうのかもしれない。だがその常識は、野球界の中でしか通用しないものではないだろうか。

 僕が筑波大学大学院で学んだように、野球界の枠から飛び出して別の世界の視野、価値を学ぶことで、人はより成長できるはずだ。これからも、選手、そしてチームにとって有益だと思うことがあれば、野球界の常識から逸脱していても、積極的に取り組むべきだと考えている。

 まだ結果が出ていないうちから取り組みだけを見て疑問の声を挙げられても、まったく気にならない。僕が監督として求められているのは過程ではなく結果だ。僕はその結果だけを追い求めて日々研鑽を重ねている。

 僕の野球人生も、そしてロッテで取り組み始めた改革もまだ道半ばだ。

 これからも多種多様な意見に耳を傾けながら、自分自身も成長し続けていきたい。

書籍紹介

【写真提供:KADOKAWA】

WBC 2023では投手コーチとして世界一。
ロッテでは指揮官としてチームをAクラスへ。
ダルビッシュ有、大谷翔平、佐々木朗希らと共闘した
球界きっての名伯楽が実践する「傾聴法」とは?
対話重視、教えないコーチング等の独自の理論に磨きをかけ
チームと向き合うプロ野球の新たな監督像。
異端の理論派が実践する育成術。
本心を引き出す武器は「平常心」

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