宗山ら侍ジャパン選出の4人だけじゃない!「大学生のドラフト候補10傑」

西尾典文

2月末に右肩を骨折し、侍ジャパンでの出場機会がなかった宗山は、春のリーグ戦出場も絶望的。それでもアマ球界屈指のショートはドラフトの1位競合が必至だ 【写真は共同】

 3月6、7日に行われた侍ジャパンの強化試合(対欧州代表)で話題をさらったのが、招集メンバーに名を連ねた4人の大学生選手だった。メディア最注目の明治大・宗山塁は残念ながら怪我で試合出場はならなかったが、残りの3人はプロの精鋭たちにも負けない好パフォーマンスを披露。プロ野球ファンを大いに驚かせた。ただし、今年のドラフトで人気を集めそうな大学生の逸材は彼らだけではない。ここでは有力なドラフト候補を10人厳選し、紹介する。

宗山塁(明治大/遊撃手/広陵)

【評価】ドラフト1位競合必至

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 大学球界では鳥谷敬(元阪神、ロッテ)以来の大物ショート。フットワーク、ハンドリング、スローイングのすべてが一級品で、侍ジャパンの井端弘和監督も「すでに守備はプロでもトップクラス」と評するほどだ。確実性とパンチ力を兼ね備えた打撃も魅力で、東京六大学野球リーグでは通算94安打、8本塁打、打率.348をマークしている。攻守ともにプレーの形が良く、社会人チームの練習にお手本として呼ばれたという逸話も持つ。

 2月29日のオープン戦で死球を受けて右肩甲骨を骨折し(全治3カ月の診断)、春のリーグ戦出場は絶望的な状況だが、それでも今年のドラフトの目玉という評価は不動だ。

金丸夢斗(関西大/投手/神港橘)

【評価】ドラフト1位競合必至

武内(國学院大→西武1位)や常廣(青学大→広島1位)など逸材揃いだった昨年の大学生投手よりも実力は上。侍ジャパンの強化試合でも圧巻の投球を見せた 【写真は共同】

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 野手の目玉が宗山なら、投手の目玉は金丸だ。高校時代は全国的には無名の存在だったが、関西大では2年春からエース格となり、関西学生野球リーグでの3年間で通算19勝2敗、防御率1.07と圧倒的な数字を残している。左腕からコンスタントに150キロ前後のスピードボールを投げ込み、厳しいコースを狙って突けるコントロールも申し分ない。

 3月7日の侍ジャパンの強化試合では先発を任され、2回をパーフェクト、4奪三振と圧巻の投球を見せた。ハイレベルと言われた昨年の大学生投手と比べても実力は上で、先発投手が不足している球団にとっては垂涎の存在と言えるだろう。

中村優斗(愛知工業大/投手/諫早農)

【評価】ドラフト1位有力

最速157キロのストレートで押し、調子がいい時は手が付けられない大学ナンバー1の剛腕だ。最上級生となった今年は、本人が夢だと語る160キロ到達を目指す 【写真は共同】

 金丸とともに、侍ジャパンの強化試合で“完全試合リレー”に貢献した最速157キロ右腕。京セラドームの球場表示では投じたストレートすべてが155キロを超え、スピードに関してはすでにプロでもトップクラスと言える。また、スピードばかりがフォーカスされがちだが、愛知大学野球リーグでの9イニングあたりの与四死球は約2個とコントロールも安定しており、鋭く変化するスライダーと打者の目線を変えるカーブも一級品だ。

 全国大会や大学日本代表の経験がなく、侍ジャパンのトップチームに選ばれたのは中村だけで、つまりはそれだけ個の力が際立っているということだろう。

西川史礁(青山学院大/外野手/龍谷大平安)

【評価】ドラフト1位有力

ミート力とスイングスピードがスカウトから高く評価される右のスラッガー。昨秋は成績を落としたとはいえ、重要な場面での一発など勝負強さにも定評がある 【写真は共同】

 大学で急成長を遂げた右のスラッガー。高校時代はショートで、大学では2年まで定位置をつかめなかったが、3年春に外野手に転向するといきなり3本塁打、10打点で東都大学野球リーグMVPに輝いた。その後に行われた日米大学野球でも日本代表の4番として活躍。3月7日の侍ジャパンの強化試合では2試合で3安打を放ち、センターの守備でも好プレーを披露した。

 高い弾道でスタンドに放り込める打力が持ち味で、打った瞬間にホームランと分かる当たりも多い。昨年秋は厳しいマークに苦しんで成績を落としただけに、最終学年では圧倒的な数字を残したいところだ。

渡部聖弥(大阪商業大/外野手/広陵)

【評価】ドラフト1位有力

俊足&強打の外野手は、広陵の同級生・宗山にも匹敵する有力なドラフト1位候補。ボールを正確にバットの芯でとらえる技術に優れ、広角に強烈な打球を飛ばす 【写真は共同】

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 侍ジャパンに選出された4人と並んで、有力なドラフト1位候補と見られている強打の外野手だ。高校時代はそこまで目立つ存在ではなかったが、大学では1年春からレギュラーをつかみ、2年秋には関西六大学野球リーグ記録となるシーズン5本塁打を放って脚光を浴びた。全国大会にも5大会、11試合に出場し、打率.476、1本塁打、6打点と見事な成績を残しており、昨年の日米大学野球でもホームランを放っている。

 センターを中心に広角に長打が打てて、打撃の安定感では宗山、西川を上回るものがある。俊足と強肩を備えた外野手としての能力も高く、有力なドラフト1位候補と言っていい。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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