ハミルトンが25年に電撃移籍 スクーデリア・フェラーリが皆を魅きつけるわけ
没後30年となるアイルトン・セナも「キャリアの最後にはフェラーリに乗りたい」と話していたという。百戦錬磨のドライバーをも魅了する何かがスクーデリア・フェラーリにはあるのだろう。 【SAN-EI】
スタードライバーの宝庫
フェラーリがそこまでファンやドライバーたちから愛される理由のひとつは、「勝てないまでも、しぶとく選手権上位にとどまっている」ことだろう。2009年以降のコンストラクターズ選手権だけ見ても、2020年の6位を例外に、ほぼ毎シーズン2位あるいは3位の座を守っている。
逆にいえば、「ドライバーやクルマには勝てる実力が十分あるのに、なぜか勝てないフェラーリ」ということにもなる。かつての栄光を知るファンたちは、(浜島氏がまさにその代表だが)ヤキモキしながらそんな状況を楽しんでいるのかもしれない。
ファンにとっては、スタードライバーの存在も大きな魅力だ。フェラーリは最近まで、世界チャンピオンなどすでに評価を確立したドライバーを起用する伝統があった。古くはアラン・プロスト、ナイジェル・マンセル。アイルトン・セナも事故死していなければ、キャリアの最後はフェラーリで終えていたはずだ。
21世紀に入ってからもシューマッハー、アロンソ、セバスチャン・ベッテルと世界チャンピオンたちの移籍が続いた。彼らの存在が、フェラーリに独特の華を添えていたのは間違いない。
そんな伝統は、ルクレール、サインツの若手コンビになっていったん途絶えたかに見えたが、今季開幕直前にルイス・ハミルトンの2025年からの移籍が発表された。7度の世界タイトル保持者を獲ることで、フェラーリは再びスタードライバー路線へと方針変更したように見える。
だが浜島氏は批判的だ。「ハミルトンは確かに偉大な世界チャンピオンですが、明らかにキャリア末期です。なぜ今、ハミルトンなのか」。しかも第2戦サウジGPでは、フェラーリアカデミー所属のオリバー・ベアマンがサインツの代役で、とんでもない才能を披露した。
「そうなんです。ひょっとすると首脳陣も、『早まった』と思ってるかもしれない。そんな右往左往ぶりも、いかにもフェラーリらしいですけどね」
「勝てそうで勝てない」状況も含めて、ファンたちはフェラーリを愛し続ける。やはりフェラーリは、特別な存在ということなのだろう。
第2戦でF1入賞デビューを飾ったベアマンに代表されるように、有能なドライバーがこのチームには集まってくる。勝てそうで勝てない、それでも輝き続けるのがスクーデリア・フェラーリなのだ。 【Ferrari】