F1 日本GP特集(2024年)

ハミルトンが25年に電撃移籍 スクーデリア・フェラーリが皆を魅きつけるわけ

柴田久仁夫(auto sport)

没後30年となるアイルトン・セナも「キャリアの最後にはフェラーリに乗りたい」と話していたという。百戦錬磨のドライバーをも魅了する何かがスクーデリア・フェラーリにはあるのだろう。 【SAN-EI】

スタードライバーの宝庫

 しかしフェラーリは2008年を最後に、15シーズンもタイトルから無縁の状態が続く。浜島氏の在籍した2012〜14年も、フェルナンド・アロンソが最終戦までチャンピオンを争った時もあったが、結局勝てなかった。それでもフェラーリのオーラは少しも衰えていないように見え、多くのF1ドライバーが、「いつかはフェラーリで走りたい」と憧れる。

 フェラーリがそこまでファンやドライバーたちから愛される理由のひとつは、「勝てないまでも、しぶとく選手権上位にとどまっている」ことだろう。2009年以降のコンストラクターズ選手権だけ見ても、2020年の6位を例外に、ほぼ毎シーズン2位あるいは3位の座を守っている。

 逆にいえば、「ドライバーやクルマには勝てる実力が十分あるのに、なぜか勝てないフェラーリ」ということにもなる。かつての栄光を知るファンたちは、(浜島氏がまさにその代表だが)ヤキモキしながらそんな状況を楽しんでいるのかもしれない。

 ファンにとっては、スタードライバーの存在も大きな魅力だ。フェラーリは最近まで、世界チャンピオンなどすでに評価を確立したドライバーを起用する伝統があった。古くはアラン・プロスト、ナイジェル・マンセル。アイルトン・セナも事故死していなければ、キャリアの最後はフェラーリで終えていたはずだ。

 21世紀に入ってからもシューマッハー、アロンソ、セバスチャン・ベッテルと世界チャンピオンたちの移籍が続いた。彼らの存在が、フェラーリに独特の華を添えていたのは間違いない。

 そんな伝統は、ルクレール、サインツの若手コンビになっていったん途絶えたかに見えたが、今季開幕直前にルイス・ハミルトンの2025年からの移籍が発表された。7度の世界タイトル保持者を獲ることで、フェラーリは再びスタードライバー路線へと方針変更したように見える。

 だが浜島氏は批判的だ。「ハミルトンは確かに偉大な世界チャンピオンですが、明らかにキャリア末期です。なぜ今、ハミルトンなのか」。しかも第2戦サウジGPでは、フェラーリアカデミー所属のオリバー・ベアマンがサインツの代役で、とんでもない才能を披露した。

「そうなんです。ひょっとすると首脳陣も、『早まった』と思ってるかもしれない。そんな右往左往ぶりも、いかにもフェラーリらしいですけどね」

「勝てそうで勝てない」状況も含めて、ファンたちはフェラーリを愛し続ける。やはりフェラーリは、特別な存在ということなのだろう。

第2戦でF1入賞デビューを飾ったベアマンに代表されるように、有能なドライバーがこのチームには集まってくる。勝てそうで勝てない、それでも輝き続けるのがスクーデリア・フェラーリなのだ。 【Ferrari】

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