Bリーグ史上、類を見ないほどの熾烈な混戦となったワイルドカード争いは一体どうなる?【B MY HERO!】

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4月になると横浜アリーナで開催されるファイナルに向けた戦いが激化 【(C) B.LEAGUE】

23-24シーズンは過去にない最熱のCS進出争いが展開中

 Bリーグファンの皆様、お久しぶりです。今季も特派員の一員で島根スサノオマジックのホームゲームで解説を担当することの多い朴航生です。

 昨夏のワールドカップ、2月のアジアカップ予選と日本代表が盛り上がる中、国内トップリーグであるBリーグもいよいよ終盤戦となってきました。

 この時期になると、自チームの順位の行方によってはチャンピオンシップ(CS)出場枠の確定や地区優勝マジック点灯、降格圏内脱出などファン・ブースターの皆様にとっては毎試合にかける熱量もより一層増してくるのではないでしょうか。

 その中でも、現在リーグ内ではタイトルにも挙げたとおり、過去に類を見ないほどの熾烈な順位争いがワイルドカード(WC)を巡って行われているという前代未聞の状況に突入しています。

 本当にそんなことがなかったのかと、リーグの公式データベースで遡ってみたところ、過去に一番もつれたシーズンとなった21-22シーズンではWC下位で出場を決めた秋田ノーザンハピネッツの後に続く4チームが3.5ゲーム差を争った歴史がありました。では、今年は一体どうなのかと記事執筆時点の3月27日に行われた水曜ナイトゲーム直後ではありますが確認していきましょう。

現在、ワイルドカード1位は千葉J 【(C) B.LEAGUE】

 現在、WC上位の千葉ジェッツは宇都宮ブレックスに敗れ29勝17敗、続くWC下位に位置していた島根スサノオマジックが佐賀バルーナーズに敗れ27勝19敗としWC上位と下位のゲーム差を2としています。1ゲーム差で島根を追いかけていたWC3位に位置している群馬クレインサンダーズも秋田ノーザンハピネッツに敗れ26勝20敗と変わらず、さらにその後ろから1ゲーム差で背中を追いかけていた川崎ブレイブサンダースが富山グラウジーズに勝ち群馬と並びました。

 川崎と同率で並んでいた広島ドラゴンフライズは大阪エヴェッサに敗れ一歩後退してしまいました。ここまでなら、5チームが5ゲーム差と21-22シーズンと21-22シーズンと変わらない程度ですが、広島の後ろに佐賀、秋田、そしてサンロッカーズ渋谷の3チームが1ゲーム差で肩を並べて続いているという状況で、ここで挙げた全てのチームが勝率5割を上回っています。21-22シーズンの5割を超えていたのは、その年WC6位で終えた広島でしたから、現状の激しさを数字上で感じさせているのではないでしょうか。

 現時点でWCでのCS出場に手が届きそうなラインはおそらく先にあげた秋田までの8チームとなりそうです。そこに各地区の上位2チームを加えた14チームからCSへ出場できるのは8チームしかありません。地区上位ラインにいるチームも最後のタフスケジュールとなる4月の勝率次第では現状WC争いをしているチームに追い抜かれる可能性もまだ残っていますから上位チームにとっても一戦必勝が続くことは変わりないかもしれません。

 通常、最終盤を迎える前にある程度の順位が固まってくるとチームの状態をCSへ調整するような動きも見られますが、今季に関してはそういった余裕を作れるチームは少ないかもしれません。上位を走っているチームや勝率の上がっているチームも、ラスト2カ月のスケジュールの中でコンディションが崩れることは起こり得ますから、何か一つのきっかけで急浮上、急停止することも出てくるでしょう。そういったチーム状況にブレることなく、今季ここまで作り上げてきたチームを信じて戦い抜いたチームが辿り着くポジションがCS出場の切符をつかむこととなりそうです。

CS進出目指し「一戦必勝」の構えでクライマックスの1カ月を戦う

 ここからは私の個人的な視点が少し入りますが、前述した現状を頭に入れた上で、今後のそれぞれのカーディング(試合の組み合わせ)を確認しながら最終的な順位予想をしてみたいと思います。前提として各チームに与えられる14試合はどの試合も重要度は高いですが、勝つとチームの士気が上がり勢いがつきそうなカードや、落とすと黄色信号が点りそうなカードをピックアップしていきたいと思います。

 どのチームにとっても同地区対戦が多く残されている組み合わせとなっていますが、まずは千葉Jから見ていきましょう。

 日程的な順番は前後しますが、東地区上位のアルバルク東京と宇都宮が合わせて3試合、他地区との対戦は川崎と琉球ゴールデンキングスが各2試合とある中で、千葉Jを脅かす存在の群馬と2試合、秋田と3試合、そして降格争い中の茨城ロボッツと2試合となっています。天皇杯では圧勝してみせたアウェイでの琉球戦を2連勝することができればチームとしても勢いがつきそうです。EASL、天皇杯と今季すでに2つのタイトルを手にしている千葉Jがリーグ制覇までの完全制覇を見せてくれるのかを占う一節となるかもしれません。

島根、群馬もワイルドカードの争いを展開 【(C) B.LEAGUE】

 次に島根は西地区上位の琉球と名古屋ダイヤモンドドルフィンズと各2試合、追いかけられている広島と3試合の他に同地区の長崎ヴェルカ、大阪と各2試合に加え京都ハンナリーズと1試合、他地区とのカードは仙台89ersとの2試合のみとなっています。同地区対決の多い島根にとっては名古屋Dとの4月後半まで現在の順位をキープできていれば地区上位枠での出場にもギリギリ手が届くかもしれません。ホームで迎え撃つ唯一の他地区対決の仙台戦をきっちり2連勝できるかどうかがCS出場の行方を左右するカードになりそうです。

 中地区の川崎は他地区との対戦が千葉J、広島と各2試合と続きますが、この4試合を5割以上で乗り切ればその後に続く同地区対決に良い流れをつなげることができるでしょう。SR渋谷と3試合、同地区上位のシーホース三河と2試合を控えているので、川崎も今後の勝率次第で中地区上位での逆転出場も見えそうです。そういった意味でも先にあげた千葉J、広島との4試合は大きな意味を持ちそうです。

 9連勝と大波を掴みWC争いに一気に乗り上げた群馬ですが、広島そして信州ブレイブウォリアーズとの4試合が鍵を握りそうです。その後には宇都宮、千葉J、A東京と強豪との対戦が残っていますし、直近で敗れた秋田ともまだ2戦残っています。レバンガ北海道や仙台との試合もありますが、群馬のCS初出場を決めるためにも広島から始まる4試合は一つの山場かもしれません。

 広島は川崎や群馬にとって壁となることができればCSが大きく近づきそうです。今季最下位に沈んでいる富山グラウジーズと2試合残していますが、その他では直近で敗れてしまった大阪、同地区の長崎以外は全て上位チームとのカーディングとなっています。WC順位でも直接争っている群馬、川崎、そして島根までの5試合を勝ち越せれば最後までWCに手がかかるポジションにつけられるでしょう。

 同地区上位の島根を倒し勢いに乗る佐賀は同地区上位の名古屋Dと4試合、琉球と1試合、さらに中地区上位の三河と2試合ある上位チームからいくつ勝ち星を取れるかが重要になりそうです。一番早い名古屋Dとのアウェイ戦でまずは1勝取れるかどうかが逆転への道標となりそうです。

 こちらも同じく直近で上位の群馬を打ち破った秋田も千葉Jと3試合、宇都宮と2試合残していますが、他地区対決でWC同順位のSR渋谷2連戦を勝ち切ればまだまだ逆転の芽が大きくふくらむでしょう。仮に1敗したとしてもその希望の光が閉ざされることはないでしょう。SR渋谷から続く宇都宮、千葉Jの5連戦を4割以上で過ごせるかが一つの指標となりそうです。

B1初年度の佐賀にもCS進出のチャンスがある 【(C) B.LEAGUE】

 ここまででWC出場枠の順位争いを演じている各チームのカーディングに触れてきましたが、困窮するぐらいに先の見えない状況だということだけはつかんでいただけたのではないでしょうか。今季CS出場WC枠予想は、勝率5割5分となる33勝を超えるチームがWC下位で出場するための最低ラインとなるのではないでしょうか。そして、上位が6割の36勝は超える必要がありそうです。

 皆さんが応援するチームの勝敗の行方をこの数字を参考に一喜一憂しながら楽しんでもらえたらと願いを込めて置いておきます。

 一戦必勝という言葉を体現することの難しさをまたとなく感じる最後の1カ月強となりそうです。今季の締めくくりが、どんな結末となろうと「It’s our turn!」のシーズンテーマを推しチームが掲げられるよう、最後まで全力で応援し、楽しんでいきましょう。

朴航生(B MY HERO!特派員)

【(C) 朴航生】

岡山学芸館高校を卒業後、アメリカ留学を経て、SHIZUOKA GYMRATSの一員としてABAへ参戦。帰国後bjリーグトライアウトの門を叩き、現B1の島根スサノオマジックへ入団、2シーズン在籍した。その後、Bリーグ開幕に伴いご縁を頂き、現在はバスケットボールコメンテーターとして島根のホームゲームを中心に奮闘中。ホーム、アウェーを同様に解説する姿勢、わかりやすい戦術解説に多くのファンを持つ。

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