「大阪エヴェッサ」における“推し”の調査 上位に入った選手は?【B MY HERO!】

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関西の伝統のクラブ、大阪エヴェッサについて考察 【(C) B.LEAGUE】

「大阪といえば」何と答えますか?

 B MY HERO!特派員の鈴木慶太です。突然ですが、皆さん「大阪」といえば何を思い浮かべますか? お笑い、たこ焼き、通天閣…阪神タイガースを思い浮かべる人も多いと思います。なぜなら、近年関西圏における阪神タイガースの知名度は抜群に高く、特に昨シーズンは日本一になったばかりか、“アレ(A.R.E.)”などの流行語もあり、全国的な話題として取り上げられたからです。

 では、大阪でバスケットボールといえばどこのチームでしょうか。そう、大阪におけるB.LEAGUEのチームは「大阪エヴェッサ」です。

「大阪エヴェッサ」の現在と輝ける歴史

 このコラムを執筆している現在、大阪エヴェッサは15勝27敗(勝率.357)で西地区8チームの中で7位と少し苦戦しています。昨シーズンから“神”と崇められたD.J・ニュービル選手が宇都宮ブレックスに移籍。“奇跡の40歳”と言われていた帰化選手のアイラ・ブラウン選手も千葉ジェッツへ移籍と、チームの顔と呼ばれた選手がチームを離れたことは決して些細なことではなかったはずです。

 しかし、2枚看板を失いつつもレバンガ北海道から元得点王のショーン・ロング選手が加入、新規外国籍選手としてマティアス・フィッシャーHCと縁のあるアンジェロ・カロイアロ選手、イアン・ハマー選手を獲得。見事! 開幕7連勝を飾りました。中でもカロイアロ選手はいち早く日本のバスケットボールにフィットし、平均20点を超える得点力を発揮、開幕連勝クラブ新記録樹立の立役者となりました。

チームマスコットは「まいどくん」 【(C) B.LEAGUE】

 ここで、大阪エヴェッサの歴史をひも解いていきましょう。大阪エヴェッサは、2005年クラブ創設と同時に当初Bリーグの前身としてプロ化に取り組んだ「bjリーグ」に所属し、なんと!チーム創設初年度2005-06シーズン、bjリーグ初代チャンピオンになっただけではなく、その後も3連覇を果たすという離れ技をやってのけた歴史と伝統のあるチームであります。また、「エヴェッサ」というチーム名も七福神の商売繁盛の神様「戎様」を大阪の人は親しみを込めて「えべっさん」と呼ぶことから名付けられており、人情・笑い・商売の街大阪を活気づける意味が込められています。チームマスコットも「まいどくん」といい、コテコテの大阪人に愛されるユニークなチームです。このような背景もあり、阪神タイガースに続く大阪エヴェッサの躍進が、大阪の街を活気づけるといっても過言ではありません!

大阪エヴェッサにおける“推し”の調査

 では、大阪エヴェッサが躍進するために、ファン・ブースターは何を求めているのでしょうか。今シーズン、大阪エヴェッサの許可を得て公式戦観戦者を対象にアンケートをさせていただきました。その中でも注目すべき項目は、ファン・ブースターが個人的に応援している選手、いわゆる“推し”と呼ばれる選手の有無です。

 大阪エヴェッサに“推し”がいると回答した人は55.5%、“推し”はいないと回答した人は42.2%でした。“推し”がいると回答した人が、どの選手を「推して」いるのか気になるところですが、上位4名が飛び抜けて多くの票を集めている結果となりました。

 1位から順にご紹介させていただくと、大怪我を乗り越えエヴェッサの「顔」でもある橋本拓哉選手、長らく日本代表を背負ってきたビッグマン竹内譲次選手、チームのムードメーカーとしても人気の高い合田怜選手、 「小さな巨人」としてチームをリードするポイントガード鈴木達也選手です。

1位は橋本拓哉 【(C) B.LEAGUE】

2位は竹内譲次 【(C) B.LEAGUE】

 当然ながら、複数年在籍している日本人選手の人気が高いことが示されました。また、上位3名の選手はいずれも大阪府出身の選手であり、試合前の選手入場の際も、「大阪府○○市出身! ○○選手!」としっかりアナウンスされています。

 興味深いところは、応援している“推し”の選手がいると回答した人の性別です。個人的には、女性が圧倒的に多いイメージを勝手に持っていましたが、結果を見ると男性48.7%、女性51.3%と男性の“推し”活ファンも意外と多いことがわかりました。

 スポーツマネジメントの分野では、「女性には、鑑賞の動機(初歩的な)学習の動機が男性より有意に強くみられ、女性はかっこいい選手を鑑賞し、そこから(観戦スポーツを)学ぼうとしている。※参考:木佐貫(1996)ら」という研究結果があります。やはり、“推し”の世界では女性が圧倒的な影響力があると思うのですが、大阪では少し様子が違うようです。

3位は合田怜 【(C) B.LEAGUE】

4位は鈴木達也 【(C) B.LEAGUE】

 そこで、まずは女性に人気の高い選手をみてみることにしました。上位は、やはり全体でも人気のあった橋本拓哉選手・竹内譲次選手・鈴木達也選手の3選手でした。 ここで疑問が発生します。ファン全体で3位であった合田怜選手が、女性が“推す”選手ランクではランク外であったことです。ということは、合田選手はどちらかというと、男性が“推す”憧れの選手なのではないでしょうか。合田選手は大阪市出身、大阪府立淀川工業高校(現淀川工科高校)では名将・西寺重信氏の指導を受け、大阪学院大学に進学してからも、実業団の強豪・松下電器(現パナソニック)の選手であった行広伸太郎氏のもとでその才能が開花しました。

 彼は中学時代、カテゴリーが上の高校生と練習試合をしてボコボコに叩きのめされた時、見かねた対戦相手の先生から「Bチーム(控え選手)にレベル落とそうか?」と尋ねられた際、「それやったら帰ります! 強いチーム相手だからおもろいねん!」と言い放ったという逸話が残っているほど。非常に気持ちの強い選手でプレーも常にアグレッシブ! ガッツあふれるプレースタイル、観客を惹きつけるパワー、男らしさ…。ぜひとも、大阪エヴェッサの看板選手として、これからも「男性」ファン・ブースターのハートを鷲掴みにするプレーを期待したいです。

大阪御堂筋パレードで男泣きする日は近い

 現在、15勝、勝率.357は前にも書かせていただきました。bjリーグ時代の3連覇を知るオールドファンも、強いエヴェッサの復活を心待ちにしていることでしょう。阪神タイガースも不遇にも勝てない時代を乗り越えて、日本一の栄冠を手にした経緯があります(甲子園のスタンドから、ファンが勝てないチームに向けてラジカセを投げ入れるという事件もありました)。今、大阪エヴェッサのホームアリーナである「おおきにアリーナ舞洲」のスタンドを見ると、皆さんが熱心に応援して選手の背中を押していただいています。その証拠に、15勝のうち10勝がおおきにアリーナ舞洲での勝利となっています。

 フィッシャーHCが、「アレ」と発言するところは想像できませんが、御堂筋に赤と黒のバスがゆうゆうと走る優勝パレードは想像ができます。その時、合田選手の活躍に男性ファン・ブースターのみならず皆さんが涙を流すことでしょう。

【参考文献】
・木佐貫久代・江刺正吾(1996)サッカーの観戦動機にみられる性差の検討. スポーツ社会学研究4: 106-114.

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鈴木慶太(B MY HERO!特派員)

【(C) 鈴木慶太】

昭和44年静岡県浜松市生れ。
高校(浜松西高)、大学(日本体育大)、実業団(松下電器)と13年間バスケットボール部のマネージャーを務める(この春、「(バスケ部)マネージャー養成講座」なる講座も開講)。
スポーツバー経営・大阪の中学校・高校教員を経て、大阪体育大学大学院も無事修了予定。B.LEAGUEコメンテーターをしながら、桃山学院教育大学女子バスケットボール部の監督とバスケ二刀流だが、家庭では4人の育児(全員男子)に追われる最高の毎日。

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著者プロフィール

B MY HERO!は「あなたのヒーローを見つける1時間」をコンセプトにしたBリーグ公認の応援番組(毎週火曜18時~)です。番組特派員が推しクラブの模様やゲームの演出など、Bリーグの楽しみ方をレポートしていきます。

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