プロ野球選手名鑑の「表紙の顔ランキング」 対象の全8誌を制覇したのは万波中正と──

YOJI-GEN

対象の名鑑8誌すべての表紙に起用された若きスラッガー、万波。かつての大谷のように、数年にわたって“日本ハムの顔”となれるか 【写真は共同】

 プロ野球選手名鑑の表紙に並ぶのは、基本的に各球団から1人ずつの12選手。知名度や前年の活躍度、そして新シーズンへの期待度が選考基準となっているようだが、そこからは各誌の思惑も見て取れる。ここでは今年2月に発売された8誌の選手名鑑を対象に、球団ごとにどの選手が表紙を飾っているのかをランキング形式で見ていく。また、併せてベースボール・マガジン社のポケット名鑑で、過去10年の表紙の変遷もたどる。

各誌で分かれた広島の表紙起用選手

 シーズンの開幕に先駆けて、2月に相次いで発売されたプロ野球選手名鑑。雑誌の顔である表紙には、文字通り各社が今季の顔として推す選手たちが並んでいる。

 基本的には12球団から1人ずつ選ばれた12選手が、同じサイズで均等に扱われている。例外は宝島社発行の『プロ野球パーフェクトデータ選手名鑑2024』(ワイド版)と『プロ野球選手データ名鑑2024』(ポケット版)、中日新聞社発行の『2024プロ野球選手ガイドブック』(ポケット版)で、いずれも表紙は3人構成。宝島社の2誌は大山悠輔(阪神)、山下舜平大(オリックス)、万波中正(日本ハム)が、中日新聞社の名鑑は当然ながら中日の3人、高橋宏斗、根尾昂、石川昂弥が、それぞれ表紙を飾っている。

 ベースボール・マガジン社のワイド版『2024プロ野球全選手カラー写真名鑑&パーフェクトDATA BOOK』も独自路線だ。表紙には各球団から投手と野手の1名ずつが選ばれ、計24人の顔が並んでいる。

 こうした例外を除き、ここでは「12球団横並び、12人構成の表紙」を条件に8誌をピックアップ。各誌が今季、誰を表紙に起用しているのかを球団ごとにランキング形式で見ていく。

 取り上げた8誌は1.『プロ野球全12球団選手名鑑2024』(コスミック出版)、2.『野球太郎No.050 プロ野球選手名鑑+ドラフト候補名鑑2024』(竹書房)、3.『プロ野球選手カラー名鑑2024』(日刊スポーツPRESS)、4.『2024プロ野球オール写真選手名鑑』(日本スポーツ企画出版社)、5.『プロ野球2024 最強データ選手名鑑』(双葉社)、6.『プロ野球カラー名鑑2024』(ポケット版/ベースボール・マガジン社)、7.『スポニチ プロ野球選手名鑑2024』(ポケット版/毎日新聞出版)、8.『プロ野球12球団全選手カラー百科名鑑2024』(ミライカナイ)だ。

■阪神
1位:村上頌樹(7誌)、2位:大山悠輔(1誌)


 8誌中7誌が、昨季セ・リーグ史上初めてMVP&新人王を同時受賞した村上頌を表紙に起用。唯一スポニチだけが、不動の4番・大山をチョイスしている。村上頌はもちろん各誌初の登用だが、スポニチが8年目の大山を表紙に使うのもこれが初めてだ。

■広島
1位:床田寛樹(3誌)、2位タイ:大瀬良大地、小園海斗、坂倉将吾、堂林翔太、森下暢仁(各1誌)


 各誌の好みが分かれた。コスミック出版、日本スポーツ企画出版社、ベースボール・マガジン社が昨季2桁勝利の床田を選んだが、それ以外の5誌はバラバラ。野球太郎(竹書房)がオフの右肘手術を経て完全復活を誓う大瀬良、日刊スポーツが新選手会長の堂林、双葉社が侍ジャパンにも選出された小園、スポニチが強打の正捕手・坂倉、そしてミライカナイが右の先発の柱・森下を、今季の広島の顔に選んでいる。

■DeNA
1位:牧秀悟(5誌)、2位:東克樹(2誌)、3位:度会隆輝(1誌)


 昨季、打点王と最多安打のタイトルを獲得した牧の人気が高かったが、日本スポーツ企画出版社と双葉社は最多勝に輝いた東を選択している。この投打の柱を差し置いて、ドラフト候補名鑑にも力を入れる野球太郎(竹書房)はルーキーの度会を大抜擢。オープン戦首位打者の活躍を予見していたかのような人選だ。
■巨人
1位:岡本和真(7誌)、2位:戸郷翔征(1誌)


 2年ぶりに本塁打王に輝いた主砲・岡本が、今や疑いようもない巨人の顔だ。ベースボール・マガジン社は3年連続で表紙に起用している。そんななかで唯一野球太郎(竹書房)だけが、エースの戸郷をチョイスした。

■ヤクルト
1位:村上宗隆(6誌)、2位タイ:田口麗斗、山田哲人(各1誌)


 村上宗の独占とならなかったのは、昨季序盤戦の不振が影響したか。野球太郎(竹書房)がリーグ2位の33セーブを挙げた守護神の田口を、双葉社が完全復活への期待を込めてか、昨季は自己ワースト打率だった山田を選んでいる。

■中日
1位:岡林勇希(4誌)、2位:中田翔(2誌)、3位タイ:小笠原慎之介、細川成也(各1誌)


 ヒットメーカーの岡林が一番人気で、日刊スポーツは2年連続の起用。日本スポーツ企画出版社とミライカナイは新戦力の中田の登用で、新シーズン感を打ち出している。コスミック出版は昨季チーム最多24本塁打の細川、ベースボール・マガジン社は左腕エースの小笠原を選択した。

『野球太郎』は12球団最年少監督を選択

他誌より発売日が遅い双葉社(左)と野球太郎(右)の名鑑は、“変化球”がやや多めだ。楽天からは前者が39歳の岸、後者が今江監督を表紙に選んでいる 【YOJI-GEN】

■オリックス
1位:山下舜平大(4誌)、2位:頓宮裕真(2誌)、3位タイ:西川龍馬、宮城大弥(各1誌)


 吉田正尚(現レッドソックス)に続いて山本由伸(現ドジャース)も抜けて、誰をチームの顔にすべきか各社とも頭を悩ませたようだ。それでも昨季新人王に輝いた新時代のエース候補、山下を最多の4誌がチョイスしている。首位打者の頓宮を選んだのが、コスミック出版と野球太郎(竹書房)。新シーズン感にこだわる日本スポーツ企画出版社は広島からFA移籍の西川、老舗のスポニチは3年連続2桁勝利中の左腕・宮城を推す。

■ロッテ
1位:佐々木朗希(6誌)、2位:小島和哉(2票)


 “令和の怪物”佐々木を最多の6誌が推したが、満票を阻止したのは、双葉社とベースボール・マガジン社が選んだ昨季10勝の左腕エース、小島だ。ちなみにベースボール・マガジン社のロッテの表紙起用選手は、過去10年で一度も「2年連続」がないが、その伝統は守られた。

■ソフトバンク
1位:近藤健介(8誌=満票)


 近年、千賀滉大(現メッツ)と柳田悠岐がほぼ独占してきたソフトバンクの表紙写真だが、今年は近藤が全8誌を制覇。昨季、日本ハムから加入1年目で本塁打王と打点王の2冠に輝いただけに、文句なしだろう。
■楽天
1位:浅村栄斗(6誌)、2位タイ:今江敏晃監督、岸孝之(各1誌)


 昨年、多くの媒体が表紙に起用した松井裕樹(パドレス)が退団し、ソフトバンクの近藤らと本塁打王のタイトルを分け合った浅村に人気が集まった。39歳のベテラン右腕・岸を起用した双葉社も霞む驚きは、12球団最年少指揮官の今江監督を表紙に持ってきた野球太郎(竹書房)。度会(DeNA)、田口(ヤクルト)など“変化球”の多い野球太郎(竹書房)だが、これが極めつけだ。

■西武
1位:髙橋光成(8誌=満票)


 日本スポーツ企画出版社が選んだ過去5年の西武の表紙選手は、2019年:山川穂高→2020年:森友哉→2021年:平良海馬→2022年:森友哉→2023年:源田壮亮。森(現オリックス)と山川(現ソフトバンク)が退団したこともあって、チームの顔がなかなか定まらない。3年連続2桁勝利の高橋光が今年は満票を得たが、このエースも今季終了後のメジャー挑戦が濃厚と言われている。

■日本ハム
1位:万波中正(8誌=満票)


 昨季急成長を遂げた24歳の若きスラッガーが、全8誌の表紙を飾った。わずか1本差で本塁打王のタイトルは逃した万波だが、オールスターのMVPなど派手な活躍が多く、スター性は抜群だ。かつての大谷翔平(現ドジャース)のように、数年にわたってチームの顔となるか。

1/2ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント