さて、ここまでは今年の名鑑の表紙を見てきたが、球団ごとに過去10年の表紙の変遷をたどってみるのも面白い。歴史のあるベースボール・マガジン社のポケット版を対象に、起用された選手を列記していくと──。

■阪神（2015～24）
鳥谷敬→藤浪晋太郎→糸井嘉男→鳥谷敬→藤川球児→梅野隆太郎→近本光司→近本光司→青柳晃洋→村上頌樹

　鳥谷、糸井、藤川の引退で、現在は近本や青柳ら30歳前後の脂の乗った世代にチームの中心が変わっている。今後は村上頌（25歳）や佐藤輝明（25歳）などが表紙の常連になるか。

■広島（2015～24）
菊池涼介→黒田博樹→新井貴浩→丸佳浩→長野久義→鈴木誠也→鈴木誠也→栗林良吏→森下暢仁→床田寛樹

　過去10年、2年連続で表紙を飾ったのは鈴木誠也（現メッツ）のみ。直近3年は投手陣から選ばれてきたが、坂倉や小園ら野手からもチームの顔と呼べる選手が出てきてほしい。

■DeNA（2015～24）
筒香嘉智→筒香嘉智→筒香嘉智→山﨑康晃→山﨑康晃→山﨑康晃→佐野恵太→佐野恵太→今永昇太→牧秀悟

　筒香（FA）、山﨑が3年連続で、佐野が2年連続で表紙を飾る。今永（現カブス）のメジャー挑戦で、投手では東、野手では牧、そしてルーキー度会の登場回数が増えていくか。

■巨人（2015～24）
菅野智之→菅野智之→坂本勇人→菅野智之→菅野智之→坂本勇人→菅野智之→岡本和真→岡本和真→岡本和真

　長く菅野と坂本が主役の座を担ってきたが、今や“岡本時代”の到来だ。ただ、日刊スポーツや日本スポーツ企画出版社などは、昨年の顔に守護神の大勢をチョイスしている。

■ヤクルト（2015～24）
山田哲人→山田哲人→山田哲人→青木宣親→山田哲人→山田哲人→村上宗隆→村上宗隆→村上宗隆→村上宗隆

　“ミスター・トリプルスリー”の山田から、メジャーから復帰1年目の青木を挟んで“史上最年少3冠王”の村上へ、豪華なリレー。昨季12球団ワーストの防御率に終わった投手陣からスターは現れるか。

■中日（2015～24）
山本昌→大野雄大→大島洋平→京田陽太→根尾昂→大島洋平→大野雄大→柳裕也→大島洋平→小笠原慎之介

　充実の投手陣からの起用が目に付く。10年で3度起用された大島が39歳となり、京田（現DeNA）も退団した野手陣では、今後岡林の登場回数が増えていきそうだ。

■オリックス（2015～24）
金子千尋→糸井嘉男→金子千尋→金子千尋→吉田正尚→吉田正尚→吉田正尚→山本由伸→山本由伸→山下舜平大

　金子（引退）、吉田（現レッドソックス）、山本（現ドジャース）という絶対的な柱が相次いで去ったが、昨季新人王の山下、左のエース宮城、大型遊撃手の紅林など後継者は多士済々。

■ロッテ（2015～24）
今江敏晃→涌井秀章→角中勝也→鈴木大地→井上晴哉→佐々木朗希→唐川侑己→荻野貴司→佐々木朗希→小島和哉

　各誌が佐々木を重用するなか、ベースボール・マガジン社は表紙の人選を毎年変えている。過去10年を振り返ると、鈴木（現楽天）や荻野など、玄人好みの好タレントが並ぶ。

■ソフトバンク（2015～24）
松坂大輔→柳田悠岐→和田毅→デニス・サファテ→柳田悠岐→千賀滉大→柳田悠岐→栗原陵矢→柳田悠岐→近藤健介

　長く屋台骨を支えてきた和田が43歳で、柳田も35歳。千賀（現メッツ）がメジャーに渡った投手陣、松田宣浩（巨人に移籍後、引退）が去った野手陣ともに若手・中堅の伸び悩みが顕著だ。表紙を飾るような新たなスターの出現が待たれる。

■楽天（2015～24）
安樂智大→則本昂大→則本昂大→則本昂大→浅村栄斗→松井裕樹→田中将大→島内宏明→松井裕樹→浅村栄斗

　高卒1年目の安樂（現メキシコシティ・レッドデビルズ）、西武からFA移籍の浅村、メジャー帰りの田中と、その年の旬を表紙に。16年から3年連続の則本以来、連続起用がない。

■西武（2015～24）
中村剛也→中村剛也→中村剛也→秋山翔吾→山川穂高→森友哉→源田壮亮→森友哉→山川穂高→髙橋光成

　秋山（現広島）、山川（現ソフトバンク）、森（現オリックス）とチームの顔と呼べる選手がいずれも退団。40歳にして今なお健在の中村以来、表紙を飾る顔が定まっていない。

■日本ハム（2015～24）
大谷翔平→大谷翔平→大谷翔平→清宮幸太郎→吉田輝星→西川遥輝→近藤健介→上沢直之→松本剛→万波中正

　大谷（現ドジャース）の退団後、清宮、吉田（現オリックス）と2年連続でドラ1ルーキーを表紙に抜擢。西川（現ヤクルト）、近藤（現ソフトバンク）、上沢（現レッドソックス）がいずれもチームを去り、万波の時代へ。

（企画・編集／YOJI-GEN）