【Vリーグ男子】日本代表MBがファイナルで激突! 互いを知り尽くした山内晶大&小野寺太志に独占インタビュー

市川忍

パナソニック・山内晶大「勝って当たり前のプレッシャー」

パナソニックのキャプテンとしてプレッシャーをはねのけ、チームをファイナルの舞台まで牽引した山内 【(C)JVL】

――順調に勝ち進んでセミファイナル進出を決めたように見えますが、山内選手から見てチームの戦いぶりはいかがだったでしょうか?

 そうですね。ただ、レギュラーラウンドの終盤になってケガ人が何人か出てしまって、ゲームからは離脱せざるを得ない時期がありました。チームが危機的状況に陥るんじゃないかと思う時期もあったのですが、そういった中で、リザーブの選手が試合に出て期待以上の活躍をして、離脱した選手の穴をしっかり埋めてくれました。むしろ穴を埋める以上の活躍をしてくれて、その選手にとっては成長する良い機会になりましたし、チームとしては選手層に厚みが増しました。その層の厚さを、他のチームや見ているファンの方たちに見せることができたと思います。

――天皇杯の優勝も含め、強いパンサーズをより認知したシーズンでした。すべてのチームから追われるプレッシャーは?

 そのプレッシャーは少なからずありましたね。Vリーグ(今シーズン)が開幕する前からですが「代表選手をたくさん集めた」と言われることも多かったですし。「ほぼ日本代表の選手なので勝てて当たり前でしょう」と言われることもありました。そんな僕たちを「どう倒すか」と、おそらく他のチームは捨て身でガンガン攻めてくると予測していましたし、実際に勢いも感じました。その雰囲気に圧倒されないように、自分たちは自分たちらしくプレーすることができればいいなと思っていました。レギュラーラウンドではそうやって自分たちのバレーボールに徹することで、良い試合展開で勝ててきたので、ファイナルでも同じ心境で戦うつもりです。今日(セミファイナル・JTサンダーズ広島戦)は競った場面やビハインドの場面でも自分たちでリズムを作って、話し合って試合を立て直すことができたので、ファイナルも同じように戦えればいいなと思います。

――セミファイナルの試合もですが、終盤のここぞという場面でブロックポイントが出ますね。経験のなせる技でしょうか?

 そう捉えていただけるとありがたいですね(笑顔)。今日は3対0で勝てて、自信を持って来週を迎えられると思いますし、途中、西田(有志)選手も出てきて、久しぶりに試合感覚も取り戻せたと思います。途中から出場しても活躍していましたし、チームは非常にいい状態です。

――ファイナルの相手、サントリーサンバーズにはどんな印象を持っていますか?

 小野寺(太志)選手以外は昨年とほぼ同じメンバーで、チームが一丸となっている印象ですね。(レギュラーラウンドで)4試合、戦ったのですが、2月に相手のホームで試合をしたときには2試合とも3対0で勝ちました。当初はもっと厳しい試合になると覚悟していたんですけど、ふたを開けてみたらストレート勝ちすることができましたし、3月のパナソニックアリーナでの試合は、こちらは西田選手が出場していなくて……。どちらに転んでもおかしくない展開でしたが、そういった中でも、敗れはしたものの2試合ともフルセットまで持ち込めました。ファイナルはこちらのメンバーが万全で戦えれば、自分たちのやりたいバレーボールができるんじゃないかと思っています。まずは個人個人がしっかりコンディションを整えてファイナルに向かいたいと思います。

「小野寺選手が僕のことを熟知しているように、僕もわかる」

若い頃から日本代表でともに戦ってきた山内と小野寺。しかも同じポジションだけあって互いに意識せずにはいられない 【Photo by Foto Olimpik/NurPhoto via Getty Images】

――サントリーにはドミトリー・ムセルスキー選手という世界的エースがいますが、特別な対策はありますか?

 ムセルスキー選手には、決められる時は決められるので(苦笑)、そこに対してフラストレーションをためないことが大事だと思っています。そこばかりにフォーカスするのではなく、他の選手をいかに、気持ちよくプレーさせない状況に持っていく方が大事かな、と。ムセルスキー選手は良い状態であればほとんどの攻撃を決めてきますし、たとえ悪い状態であっても、ブロックを利用して決めたりするテクニックも持っています。素晴らしい選手であることはわかっているので、そこに気を取られて自分たちがイライラしてしまい、自分たちのプレーが疎かになってしまう展開が最も良くないと思っています。

――この企画、サントリーは小野寺太志選手がインタビューを受けてくれました。最も気になるのは山内選手だそうです。「考えていることがわかります」と語っていました。

 じゃあ裏をかいて普段と逆のことをします(笑)。小野寺選手はすごく柔軟なプレーをするので、その場、そのシチュエーションによって、多くの引き出しの中から最も決まる確率が高いコースに打ってきます。向こうが僕のことを熟知しているように、僕も小野寺選手のことはわかります。若いときから日本代表で一緒に戦ってきた選手なので、もちろん意識はしますね。日本代表では同じチームなので、対戦する機会はありませんが、こうやってリーグ戦で対戦するときには負けたくないです。それは小野寺選手に限らず、日本代表で仲が良い選手には全員、そういう感情があります。負けたくないし、でも一方で「どういうプレーをしてくるんだろう」とワクワクするような面白さがあります。

――ではそんな対戦にも注目ですね。改めて、ファイナルに向けて意気込みをお願いします。

 ここまで来たらどちらが勝ってもおかしくないと思うので、あとはもう気持ち……精神論は好きじゃないんですけど(苦笑)、でも本気で勝ちたいと思っている方が、望む結果を手にできると思っています。レギュラーラウンドではホームであるパナソニックアリーナをファンの方がいつも満員にしてくれて、僕らがプレーしやすい雰囲気を作ってくださいました。本当にありがたかったです。ファイナルもチケットが完売間近(現在は車いす席を除き完売)と聞いていますし、9000人くらいの観客の前でVリーグの試合をするのはなかなかないシチュエーションなので楽しみです。自分たちの気持ちも盛り上がりますし、そういった状況でプレーできることに感謝しつつ、優勝という結果でファンの方々を楽しませたいです。うちの選手は個性豊かなヤツが多くて、試合中もとても明るい。バレーボールを心から楽しんでいますので、ファンの方にもぜひ一緒に楽しんでほしいですし、最後は喜びを分かち合えたらいいなと思います。

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著者プロフィール

フリーランスライター/「Number」(文藝春秋)、「Sportiva」(集英社)などで執筆。プロ野球、男子バレーボールを中心に活動中。

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