パナソニックの今季二冠を阻むのは、世界3位のサントリーか前年度王者のWD名古屋か? 2023-24 V1男子ファイナルステージ見どころ
2023-24シーズンが決着! 上位6チームがトーナメントを争う
西田有志(写真)や山本智大ら日本代表勢が加わったパナソニックが堂々のレギュラーラウンド1位通過。5季ぶりの王座奪還へファイナルステージに挑む 【VLPR-2023-062©JVL】
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攻撃力、守備力、選手層…すべてにおいて充実のパナソニック
2021年東京五輪で自身が率いて金メダルを手にした「フランス代表と並ぶくらい、いいチーム」と語るパナソニックのロラン・ティリ監督 【VLPR-2023-062©JVL】
それは数字にもはっきりと表れており、V・レギュラーラウンドにおけるチーム全体の成績ではアタック決定率(55.1%)、サーブ効果率(8.2%)、サーブレシーブ成功率(61.6%)といった主要項目で軒並みリーグ1位に君臨した。ベテランセッターの深津英臣が豊富な攻撃陣から的確なアタッキングチョイスを繰り出すほか、自身3度目のサーブ賞(サーブ効果率12.9%)に輝いた西田、そしてレシーブ力に長けた大塚や山本と、各々が武器を最大限に発揮している証しだ。
また今季から新たに外国籍選手として加わったアメリカ代表のアウトサイドヒッター、トーマス・ジェスキーの存在も大きく、総得点(504点)、アタック決定率(57.5%)、バックアタック決定率(72.3%/個人ランキング1位)、1セットあたりのブロック決定本数(0.44本)、サーブレシーブ成功率(65.6%)のいずれもチームトップの成績を残した。人柄のよさもあって早々からフィットし、今や欠かせないピースとなっている。
もちろん選手をそろえたからといって勝てるほど簡単な世界ではなく、戦況の見極めも好成績の理由の一つ。ロラン・ティリ監督が「エネルギーをもたらす存在」と語る西山大翔や仲本賢優らがベンチに控え、コートに送り出されるとしっかりと務めを果たす。さらにチーム全体として勝負どころにおける集中力も高く、「自分たちが25点目を取りきるまでプッシュし続ける意識が一人一人に備わっている」と山内キャプテン。V・レギュラーラウンド首位通過を果たしたが、決してギアを緩めることなく、2018-19シーズン以来の、そして今季国内二冠目となるリーグタイトルを獲りにいく。
世界クラブ選手権で銅メダルのサントリーは課題を克服できるか
前衛で高い貢献度を示すサントリーの小野寺太志。決意と覚悟を胸に、移った新天地でタイトル獲得なるか 【VLPR-2023-062©JVL】
サントリーにとって今季最大のトピックスは、昨年12月にインドで行われた男子世界クラブ選手権における銅メダル獲得。ヨーロッパや南米の強豪クラブと堂々と戦い、日本チーム史上最高成績を収めた。
14季ぶりの優勝に歓喜した2020-21シーズンから翌年の連覇、そして準優勝の昨季と直近3季連続でファイナリストに名乗り出ているサントリー。過去にはVリーグ5連覇の実績を持ち、常勝軍団にふさわしき成績を残しているが、今季のV・レギュラーラウンドにおける戦いぶりをひもとくと、ときおり山村監督が見せた苦い顔が浮かぶ。というのも、相手を圧倒する試合もあれば一転、反撃もままならずにコロリと敗北を喫する試合も見られたからだ。例えば、今年2月にパナソニックを迎えたホームゲームでは2試合続けてストレート負け。試合後、山村監督は「ディマ(ドミトリー・ムセルスキー)だけが決めれば勝てるチームではない。各々が仕事をしなければ、それがわかったのが収穫。パナソニックという国内で勝たなければいけない相手を確認できた」と引き締めた。
小野寺を除けば昨季からレギュラー陣の顔ぶれに大きな変化はないが、そのなかでも、貴重なサウスポーのミドルブロッカーである佐藤謙次のCクイックや、今年に入って日本国籍を取得したキューバ出身のアタッカー、アライン・デ・アルマスの成長度合いは今やチームの武器に。身長218cm、最高到達点375cmの大砲、ムセルスキーが繰り出す圧倒的なアタックは相手チームにとって脅威に変わりなくとも、周りのアタッカーがいかに気を吐き、得点を重ねるかは常に課題であり、タイトルを狙ううえで必要不可欠。セッターでキャプテンを担う大宅真樹の責務はここから重みを増す。