対談の最後はセ・パそれぞれから期待の投手、野手を両氏に一名ずつ挙げてもらった。赤星さんがセ・リーグの期待の投手として名前を挙げたのは、「2023年ルーキーの1年目をプレイバック」でも名前を挙げた阪神の2年目左腕、門別投手。「一軍で5勝くらいしてくれたら十分ですか？」と聞く西尾さんに、「そうなるとまた優勝ですよ」と赤星さん。現時点の立ち位置は、誰かが疲れたり調子が悪かったりという時に「控えている投手の一人」だと話すが、それでも「タイガースが連覇するには必要なピースかもしれないですね」と期待を膨らませる。

　西尾さんが名前を挙げたのは巨人の5年目左腕、井上温大投手。高校時代からフォームが綺麗で、昨年は二軍の成績も素晴らしく（7勝0敗、防御率0.75）、三振も取れるピッチャー。赤星さんも「左というのも大きいですね。助っ人以外は右投手が多いので横川凱投手と井上投手、二人の左が出てくると巨人もとても楽しみ」と話した。

　セ・リーグの野手では、赤星さんがヤクルトの2年目の外野手、澤井廉選手を挙げ、西尾さんは広島の3年目の外野手、田村俊介選手の名前を挙げた。澤井選手は、昨年は二軍で18本のホームランを放ったバッティングがセールスポイント。二軍とはいえ「なかなか残せる数字ではない」と赤星さんは評価し、「ヤクルトの外野は、サンタナ選手以外は守備と足に特徴がある選手が多いため一気にブレイクしてレギュラーのポジションを掴む可能性もあるかもしれない」と話す。

　田村選手は、実績がほとんどない中で侍ジャパンに選出されたことも話題になった。「去年後半戦から出てきたが、骨折がなければもう少しできたと思う」という西尾さんは、「逆方向にも強い打球が打てる。前田智徳選手のような、ホームランも打てる選手になれる可能性を秘めた選手」と話す。西川龍馬選手がFAで移籍し、秋山翔吾選手もベテランということもあり田村選手のチャンスも多くなりそうだ。

　パ・リーグの投手では赤星さんはオリックスの2年目右腕、齋藤響介投手の名前を挙げた。去年投げているボールを見たときに「これは来るな」と思ったと言い、まだ体は細いが「1年目であれだけ投げるというのは中嶋聡監督の相当な期待の表れ」と話す。山本由伸投手、山﨑福也投手が抜けたこと、毎年若手投手が出てくる土壌を考えれば、齋藤投手へ集まる期待が高くなることも頷ける。山本投手も2年目にリリーフから頭角を現しただけに「これからのオリックスの将来を担う投手の一人だと思う」と赤星さんの期待は大きい。

　西尾さんから名前が挙がったのはまだ一軍登板のない、西武の3年目左腕、「和製ランディ・ジョンソン」の異名を持つ羽田慎之助投手。八王子学園八王子高校時代から「モノが違った」という左腕は、二軍でも短いイニングであればすごいボールを投げているという。髙橋光成投手の近い将来のメジャー移籍も噂されるだけに、将来を見据えた起用も増えるかもしれない楽しみな投手だ。

　野手で赤星さんが名前を挙げたのが、西武の4年目のショート、山村嵩嘉選手。昨シーズン終盤に一軍でそのプレーを見て「これは近い将来出てくる選手」と感じたと話す。松井稼頭央監督が入団時につけていた背番号32を与えられていることからも球団の期待の大きさが窺えるとし、体も強く長打も打てて率も残せる山村選手は「チームが長距離ヒッターから、足を使える中距離ヒッターに打線をシフトチェンジしつつあると感じているので、山村選手はもってこいの選手」と話す。

　西尾さんは「毎年期待している」と話す日本ハムの4年目の外野手、五十幡亮汰選手を挙げた。怪我さえなくシーズンを通して出場したら「余裕で盗塁王が獲れるんじゃないか」と俊足を高く評価。赤星さんは新庄剛志監督が1年目の時に臨時コーチとして五十幡選手を指導したと言い、「馬力がありすぎて体ついていっていない。新庄監督も『お前は7割以上の力を出すな』と言っていた」と話す。とんでもないスピードを持っている選手だけに、４年目の今シーズン、１シーズンを通して自分の力をセーブできるか、コンディションを維持できるかがブレイクできるかどうかのポイントになってきそうだ。

　昨年のセ・パの新人王は共に3年目だった村上投手（阪神）と山下舜平大投手（オリックス）だった。今年はどんな若手選手がブレイクするだろうか。