【スポナビGolf座談会】識者3人はどれを選ぶ?テーラーメイドの最新作「Qi10」ドライバー3モデルを語る!

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ゴルフライターの鶴原弘高さん、クラブフィッターの小倉勇人さん、ティーチングプロの石井良介さんに、2024年に発売されるテーラーメイド最新シリーズ「Qi10」について語っていただきました。今回はドライバー編です。

高慣性モーメントに進化した「Qi10」

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石井:2023年の「ステルス2」シリーズから、2024年は「Qi10」シリーズになりました。

ドライバーは前作同様3タイプです。ステルス2は、スタンダードモデルに対して少しつかまるHDというモデルと、セレクトストア限定で発売されたつかまりを抑えた強弾道のPLUSというモデルの3つでした。今作はスタンダードと、MAX、セレクトストア限定モデルのLSというロースピンモデルがラインナップされました。

二人はもう試打されていますよね?

鶴原:打ちました。Qi10とQi10 MAXは、ステルス2シリーズとは全く別物になりましたね。

石井:クラウンがカーボン、ソールもカーボンでリングで挟んでフェースがカーボンという構造そのものは大きな変化はないと思うけど、上から見た感じや打音、打感は全然別物ですよね。

鶴原:今回はQi10 MAXがフラッグシップモデルです。Qi10の「10」は慣性モーメントの10K(10,000)のことで、10Kを超えているのはQi10 MAXだけなんです。だけど、それをシリーズ名に使うくらいだから、このMAXが完全にメインモデルになっている。この時点で、今までとは全然違いますよね。

構えてみたらヘッドの投影面積が大きくて、フェースはちょっとシャローかなくらいで全然変わった。それに、ここでまた慣性モーメントを押し出してくるんだという驚きがまずありましたね。

石井:「Qi」=「クエストイナーシャ」ですからね。

鶴原:クエストは「探求」ですね。ドラゴンクエストのクエスト(笑)。

石井:イナーシャは「慣性」という意味ですね。

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鶴原:ステルス2は形状的にはどれも洋梨だったから、打つと上がってつかまるけど、見た目がちょっと難しそうな感じがあったと思う。今回のQi10は見た目にもやさしい感じがするし、実際に打ってもやさしい。

小倉:今までステルスやステルス2が打てなかった人も絶対に試した方が良いです。それくらい違うモデルですね。

鶴原:これならドライバーが苦手な人も打つ気になると思う。

石井:このクラブは球が上がりやすいですね。同じロフトでステルス2と比べても、こっちの方が球が上がるなというのが最初の感想だった。

鶴原:やっぱり慣性モーメントを高めるために後ろ側を重くしているから、球は上がりやすいですよね。インパクト時にフェース面が上側に向きやすいし。あとスピンも入るので上がりやすいと思う。

石井:操作性を好む人は「慣性モーメントが大きくなると振りづらい」と言うじゃないですか?振りづらくないですか?

鶴原:どうですか、小倉さん(笑)?

小倉:数字を想像して振ると「あれ?振れる!」という感じでした。やはり慣性モーメントが高いと今まではヘッドが戻ってこないイメージがあったし、もっと振りづらいだろうなと思っていたのに、意外とさらっとヘッドが動いてくれるのには本当にびっくりした。

鶴原:僕はめちゃめちゃびっくりした。ひっくり返るくらいびっくりしたのは、振りやすいところ。よく見るとウェイト位置もギリギリで、よく設計上強度持たせられるなというくらい際につけている。やはりヒール側に重心を寄せることで、後ろにも重心を持っていってるけど振りやすさが担保されていますね。

小倉:カーボンフェースは普通の金属フェースより軽くできます。フェースが重いと慣性モーメントを高めるのにより後ろにウェイトを持って来なくてはいけないけど、フェースが軽い分そこまで重くしなくて良いので慣性モーメントが高められる。予想外の振り心地と言ったら言葉が合っているか分からないですけど、思ったより振れるというのはありました。

鶴原:テーラーメイドはカーボンフェースにしたから振りやすさも可能にしたと言っていましたね。振りやすい=ヘッドスピードも落とさないと考えていいと思う。その辺はちゃんと作られている。

そして構えやすい。左に向いても見えないし、ポンと置くときれいにターゲットも向くようにソールの座りもいい。今回からドライバーにレーザーアライメントラインが入ったことで、分かりやすいですし。テーラーメイドは構えやすいドライバーを作るのがすごい上手だなと思いますね。

小倉:クラウンがフルカーボンになってツートンでなくなったので、フェースの向きがはっきりしましたね。

鶴原:フェース面とクラウンを接続する部分のチタンも薄くなっている。クラウン部分が97%カーボンで強度がとれるから、下のチタンも薄くなっている。

小倉:フレーム自体が細くなっていますよね。

鶴原:だから、ただ上にカーボンクラウンを着けただけでなく、ちゃんと意味があるんですよね。

小倉:より低重心になっているってことですよね。

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小倉:石井さんはどのモデルが気に入りました。

石井:僕はQi10 LSです。前作のステルス2 PLUSだと、ラウンドでミスをしたときの右に滑る球がどうしても消せなかった。シャフトを変えたりしたものの、なかなかそれを克服できなかったんです。でも、今作のQi10 LSは練習場と屋外で試打をしてみたところ、意外と暴れないし安定感がある。だけどスピンは少ないというモデルだなと思いました。使いこなせるかどうかは分からないけど、魅力はたっぷり詰まっているクラブです。

Qi10 LSを打った後にQi10 MAXを打つと「やさしい」(笑)。タイプの違う2本のどっちを選ぶのかと考えたときに、Qi10 MAXが安定感がありますね。実際にローリー・マキロイも使っているみたいですし。実際にコースで打ったらMAXもスピンは少ないんですよ。シャフトとかを合わせたらLSなみにスピンも減らすことができると思う。

鶴原:前作比でいうとちょっと後ろ側が重くはなったのかな。

石井:LSとMAXを比較して振ると、MAXの方が振り心地は軽く感じましたね。でも、ヘッド重量はMAXの方が重いんですよ。人間の感覚と実際に測った数値は違うので、その辺が設計の妙だったりするんだろうと思いました。

鶴原:小倉さんが使うなら?

小倉:僕もQi10 LSですね。ステルス2 PLUSは全然つかまえられなくて、全部右に逃げていたんです。でも、Qi10 LSは前作と同じスイングでポンと打った時にきちんと狙ったところに出てくれた。これならQi10 LSがいいなと思いました。正直ヘッドのローテーションがそんなに動くわけではないのに、思ったところにポンと出てくれるようになったのはちょっと不思議でした。その辺は前よりも少し抵抗が減った感じがするんです。

石井:抵抗が減る?

小倉:慣性モーメントが高くなると回転しにくくなるので抵抗を感じるところがあるはずなんですけど、意外とスルッとヘッドが動いてくれた。その辺は重量配分とかの違いなのかなと。3本打ってどれも良かったんですけど、一番弾道的に飛びそうで狙ったところにも出るならLSがかなと思いました。

鶴原:飛びそうだし、重心が浅い分一番速く振れるのはどれかとなると、やはりLSなんですよ。速く振れてボールスピードも出しやすいし、球さえ上がって振り動く感じが嫌じゃないなら、LSは魅力がある。

ただ、懸念点は打つ人によってスピンが増えちゃうんですよね。僕が打つとLSが約2000回転で、スタンダードが2500回転、MAXが3000回転という感じになる。なので、スイングタイプやヘッドスピード、どんなシャフトと組み合わせるかでスピン量はゴルファー次第かなと思いました。

小倉:そんな鶴さんは何を選ぶのかな?

鶴原:使うならスタンダードのQi10です。

石井:MAXじゃないんですね。

鶴原:自分はMAXだとスピンが入っちゃうので、減らしたいと思ったらスタンダード。スタンダードのヘッドは、ステルス2と比べても4〜5mm後ろが伸びてるんですよ。形状的にはSIM2 MAXとかに似てて、安心感もある。コースでも打ったんですけど、想像よりこのモデルはやさしかった。球も上がりやすいので、この9°とかで自分の好きなシャフトを入れて使ってみたいなと思います。

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※本記事はスポーツナビが独自で企画したものです。記事内の商品選定や評価はスポーツナビまたは出演者の方の判断にもとづいています。記事内で使用している商品画像はメーカーから画像・サンプルをお借りした上で使用、撮影しています。
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ゴルフメディアで活躍する識者たちが、人気のギアを徹底解説! ドライバーからアイアン、パターといったクラブ一式はもちろん、シューズやウェア、距離計など、ゴルファー必須のあらゆるギアをご紹介していきます。

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