センバツを逃した秋の号泣から2カ月 慶應義塾・加藤右悟主将が今思うこと

大利実

消防士の父が名付けた「右悟」に込めた想い

前チームの正捕手だった、渡辺憩のフレーミングは今でもお手本。先輩に少しでも近づくために、キャッチング技術を磨いている。 【筆者撮影】

――ずっと気になっていたんですけど、名前の「右悟」の由来はわかりますか。「右」を使っているのはどんな意味があるのでしょう。

加藤 お父さんが消防士をやっているんですけど、消防の組織で指揮を執る人は右前に立つそうです。そこから、「みんなを引っ張って、悟りを持って動ける人間になるように」と名付けてくれたみたいです。

――めちゃくちゃいい話じゃないですか。

加藤 ありがとうございます。

――もうひとつ気になっていたのが、好きな言葉に「This ball」と書いていることが多いですよね。

加藤 あれは、アンケートを書くときにたまたま見つけた言葉で(笑)、本当に好きなのは、コービー・ブライアント(元NBA選手)の「マンバメンタリティ」です。「常に最高の自分を更新し続ける」という意味で、自分もそうありたいと思っています。

――かっこいい言葉ですね。バスケ好きなんですか?

加藤 結構、好きです。中学のときに、友達とよくバスケで遊んでいました。

――次のアンケートからは、その言葉をぜひ。

加藤 自分がメンタル的に落ち込んだときには、「マンバメンタリティ」を言い聞かせるようにしています。チームで取り組んでいるSBT(スーパーブレイントレーニング)と少し似ているところがあって、たとえば試合で打てなかったときに落ち込んでいる暇があるのなら、自分の力不足を認めて練習すればいい。プレッシャーとか緊張とか関係なく、打てなかったのは力がなかったから。その気持ちがあれば、ずっと練習を重ねて、昨日の自分を超えようと思うもの。だから、こじつけかもしれないですけど、秋の負けも単なる力不足。もっともっと練習します!

――慶應は勉強もなかなか大変のようですが、そのあたりはどう乗り越えていますか。

加藤 本当に大変です(笑)。勉強がやばい選手は、練習よりも勉強が優先になります。何とか、今回のテストは乗り切れたと思います。

――栃木から慶應に進学して、慶應の良さはどんなところに感じますか。

加藤 野球部だけでなく、クラスにもたくさんの考えを持った友達がいて、話していて本当に面白いです。フェンシングやレスリングで、アジアや世界を目指しているクラスメイトもいて、めちゃくちゃいい刺激をもらえています。慶應に来なければ出会えなかったので、楽しいです。

――最後に、来年に向けての誓いを。

加藤 先輩たちのチームを超えて、『KEIO日本一』を果たしたいです。キャプテンとして技術面でも精神面でも引っ張っていけるように頑張ります。

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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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