矢野燿大がアジアプロ野球チャンピオンシップを総括 3年後の人選が難しいのはショートとキャッチャー
12球団がショートのレベルを上げなくては
この小園も侍ジャパンでショートのレギュラーを任せられる有力候補だが、絶対的な存在は見当たらない。NPB全体で底上げを図る必要があるポジションだ 【写真は共同】
守備では今大会はセカンドを守った門脇誠(巨人)が良かったね。小園海斗(広島)も将来の侍ジャパンのショートを守っている可能性は十分あると思う。ただ、侍ジャパンのフル代表ともなると、ショートとキャッチャーの選出はなかなか難しい。門脇も小園も代表のショートになり得る1人ではもちろんあるんだけど……やっぱり大切なのは守備だね。
小園はストレートにも強いし、どの打順でも打てる選手。それでも、ショートは守れないことには話にならない。これからNPB12球団で各チーム内のショートのレベルを上げていかないと。
──近年で言えば坂本勇人(巨人)、過去だと松井稼頭央(元西武ほか)のようなショートはなかなか現れません。
今年のWBCでは源田壮亮(西武)がショートに入っていたが、守備のスペシャリストという位置付けの9番・ショート。守備がずば抜けて上手くないと務まらない。
──捕手に関してもかつての城島健司(元ソフトバンクほか)や阿部慎之助(元巨人)のような、攻守に長けた人材がなかなか見当たりません。
現状、どのチームを見ても1シーズンを通してレギュラーで出場しているキャッチャーは少ない。ポジションの特性上、ある程度は年齢が高くても侍ジャパンのフル代表に選出されてくる可能性はあると思う。それでも3年後のWBCで、代表のキャッチャーを選ぶのは正直難しいだろうね。
打てる捕手であれば、森友哉(オリックス)という選択肢はあると思う。それから、今年のドラフトで上武大から日本ハムに2位指名された進藤勇也にも可能性を感じるが、1年目から活躍できたとして、はたして3年後に代表としてプレーできるのか。自分が選ぶ立場だとしても悩むね。であれば、打力という部分を考えず、捕手としての守りを優先していくんじゃないかと思う。
侍ジャパンを体感できたことに意味がある
門脇の劇的なサヨナラ打で韓国を下し、井端監督の初陣となったアジアプロ野球チャンピオンシップを制覇。若い選手たちにとって間違いなく貴重な経験となった 【写真は共同】
対戦相手が嫌がるからね。周東のような選手が出てくれば、超スペシャルなカードになると思う。1点を争う拮抗した展開では特に。これに関しては3年後に誰が出てくるかは分からないが、その枠というものはどの監督も考えるだろう。
──国際大会では、基本的に投手中心の守りの野球を実践することが重要になりますか?
それがあって当然の中でのプラスアルファ。自分がもし監督だとしたら、打つ、点を取るというのはプラスアルファの部分と考える。まずはいかに最少失点で抑えるか。日本の投手は優秀だし、守備や足は調子の波もなく計算ができるからね。
──いずれにしても、今大会に出場した若い選手たちは確実に経験値を上げましたね。
日の丸を背負ってプレーできたということ自体が大きい。侍ジャパンというのがどういうところなのか、それを体感できたことが重要。国対国の戦いというのはペナントレースとは違う。そういう舞台で戦って、きっとレベルアップできたと思う。
出場した各選手は、侍ジャパンを経験したことで、来シーズンからの目標が見えてきたんじゃないかな。自分の何が通用して、何が通用しないか──。若手選手たちはそういう意識で新しいシーズンを迎えられると思う。年齢制限がある侍ジャパンであっても、日の丸の付いたユニホームを着てプレーしたことに、大きな意味がある。
(企画・編集/YOJI-GEN)